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国内航空の旅客需要動向は?

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 2007年(歴年)の国内航空の総利用旅客数が確定しました。 速報ベースですが、年間利用者数は9,631万人で対前年比±0.0%です。 最近の5年間では年平均+1.5%、10年間では+2.0%の増加を示していましたが、ここにきて成長がとまりました。 国土交通省では空港整備計画の基礎となる需要として、平成24年度には10,316万人(平成18年度以降年平均2.1%の成長)、平成29年度には10,855万人(同じように年平均増率1.8%)になると予測しています。 日本人人口が減少していく状況で、今後はそのようなペースで伸びていくのでしょうか?

 

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交通機関別の分担率は?

 国土交通省の地域流動調査によると、国内を何らかの交通機関を利用して移動した利用者数は2005年度実績で、67,624百万トリップです。 利用交通機関は、(新幹線を含む)鉄道、(バスを含む)自動車、旅客船、そして航空です。 それぞれのシェアは鉄道32%、自動車67%、旅客船0.1%となり、航空を利用する人は94百万トリップですが、シェアは0.1%にすぎません。 通学のためにJRを利用しても1トリップ、北海道から沖縄に観光旅行に出かけても1トリップとしての統計では、交通機関の果たす分担を正当に表現しないことになるかもしれないので、トリップごとに移動距離(km)を乗じた旅客キロで比較してみると、全体で1,166十億人キロで、航空利用は83十億旅客キロになりますが、それでも全体の7%にすぎません。 

航空は長距離移動を分担

利用者が何らかの目的で国内移動をする場合、それぞれの移動目的に応じて交通機関を選択利用します。 当然のことながら、航空のはたす役割は長距離の輸送で、地域流動調査の距離帯別の交通機関別分担率分析によると、長距離輸送では、JR (鉄道)と航空のはたす役割が高く、その中では、距離が長いほど航空の分担率が高くなります。 下記の表の通り、距離750kmを超える距離の旅行では航空の分担率が5割を越えます。 

距離帯               100~          300~           500~           750~         1000km以上
  ~100km未満 300km未満 500km未満 750km未満 1000km未満  
全機関    100.0     100.0           100.0           100.0           100.0           100.0
JR                9.4      18.5              45.7             66.1              28.1               5.6
航空              0.0        0.1                4.7             21.2              64.5             94.0
(出典) 国土交通省 旅客流動調査分析 「距離帯別輸送機関分担率」

 

 

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需要予測の手法

 このように、利用者が複数の交通機関の利用できるマーケットでの需要を予測するには、単純に航空需要の統計から将来を予測するのではなく、すべての交通機関を利用する地域間総流動をまず予測して、次に交通手段別の分担率を予測するという2段階の手法をとります。 そして各地域間ごとの予測結果を積み上げると、全体の航空需要の予測値となります。 国土交通省ではそのような手法で予測をしています。
ここでは、個別の積み上げは行わず、複数の交通機関が利用可能な国内長距離移動に着目して、マクロ的にレビューしてみましょう。

前述の分担率の分析にみられるように、国内で500kmを超える地域間の移動は、概ね航空あるいはJR(新幹線)利用と考えられます。 500kmを超える地域間の流動は、 2006年の航空輸送実績は82,636千人で10年前に比較して1.27倍(年平均増率2.4%)、JR輸送実績は64,538千人で最近の10年前に比較して1.04倍(年平均増率0.4%)と成長率におおきな差があります。 1996年には航空のシェアが51.1%だったものが、2006年には56.1%になっています。 利用者が交通機関を選択するにあたって考慮する点は、①移動に要する所要時間、②スケジュール、③運賃、料金、④快適性 です。 利用者にとっては、短い時間で、自分のスケジュールにあわせて、手ごろな料金で、快適に移動できる交通機関を選択します。 この10年間を調べると、新たな航空路が開設されたこと、あるいは羽田空港発着の航空便が増えてスケジュールが便利になったことにより、JRから航空への転位がみられました。 国内旅行の6割は首都圏の羽田空港利用で、羽田空港発着便の増加により航空利用者の増加したことは明らかです。 また、1999年に航空運賃の規制が緩和されて、その後、事前購入型の低廉な割引運賃が提供されたことにより、航空便利用が割安になったことももうひとつの大きな要因です。 時系列的には
 
1997年 羽田空港の発着増にともない羽田発着便の増便
1998年 前年と同様に羽田空港の発着増にともない羽田発着便の増便そして大館能代、佐賀空港開設による新路線開設
    スカイマーク社、エアドゥー社の新規航空会社の参入
1999年 運賃届け出制による割引運賃の拡充/事前購入割引運賃の導入
    による航空運賃の引き下げ

 

ということになります。

今後は?

まず、500km超の地域間流動のデータを分析してみましょう。JR+航空の500km超地域間流動は、至近の5ヵ年で年平均1.8%の伸び、10ヵ年で年平均1.5%の年平均伸び率です。 その間の経済指標(GDP)の伸びはそれぞれ、 1.8%、1.1%なので弾性値は1.0~1.4程度です。
国内旅行の内訳は、業務目的6割、親族訪問等1割 観光は3割程度です。 業務目的の旅行は経済活動の活発さに左右されますし、観光旅行はその母集団である人口に左右されます。 今後、日本経済が踊り場の経済停滞期に入る、そして人口減少時期を迎えるため、これまで以上の伸びは期待できません。  
一方、JRとのシェア争いは激しさを増してきています。 今後、シェアに影響を及ぼす要因として想定されるのは、
2010年に予定されている羽田空港の第四滑走路の整備による発着枠の増です。 日本のマーケットの6割は羽田発着。 羽田発着の便が増加して時間的にも便利になればさらに航空が便利になる可能性があります。 逆の要因は航空運賃の高騰です。 燃油費は高騰しており、国内航空運賃も高くなっています。 一人のお客様を同じ距離を輸送するのに必要なエネルギー効率はJR1:航空10. 今後さらに燃油価格が上昇し、それを運賃、料金に転嫁すると、鉄道運賃料金が航空運賃料金よりも優位にたつ可能性があります。 また、新幹線は700系のスピードを向上した「のぞみ」の増発を今後計画しております。 以上の考察から結論的に言えば、今後は国内旅行者全体の伸びも、その中での航空シェアも、これまで以上の伸びは期待できないのではないかと思われます。  

                                航空経営研究所 主席研究員 橋本邦夫