TOP PAGE

4~6月決算、JAL/ANA比較

|

JAL/ANAは、燃油高騰、旅客需要減少の中で、供給の絞り込み、収入単価の改善、費用の削減により、揃って営業利益を計上した。
但し当四半期の純損益は、JALが34億円の赤字、ANAは66億円の黒字であった。
両社の決算の比較し、その共通点と差を明らかにした。
(データはJAL/ANA両社のプレスリリース・IR情報による)

① 連結損益の比較;

・営業損益; JALは大幅に改善して赤字(▲85億円)から黒字(39億円)に転換。
         ANAは増益。(132⇒146億円)

・税引前損益; JALは臨時償却費等の特別損失によって、赤字(▲21億円)
          ANAは有価証券売却益等があり、黒字(119億円)

・当期純損益; JALは法人税等を控除して34億円の赤字、ANAは66億円の黒字

a①Q1損益比較.jpg

② 部門別営業損益の比較;

・ 航空運送事業は、JAL/ANAともに増収となり、JALの損益は141億円改善して赤字から黒字に転換、ANAも24億円改善して増益となった。

・ 旅行部門は、両社ともに減収、かつ赤字となった。

・ それ以外の事業部門では、JALはAGPとPFTCの2社が連結から外れたことで連結営業収益は大幅減、利益も減少した。 ANAも減収減益となった。

a②部門別営業損益.jpg


③ キャッシュフローの比較;

・ 手元資金(キャッシュ)は、JALが3,540億円から2,789億円へと▲751億円減少。
ANAも1,800億円から1,598億円へと約▲200億円減少。

・ JALの手元資金の減少は、有利子負債の返却(約380億円)、有形固定資産の取得(売却とのネットで約400億円)によるもの。
ANAの減少は、前年度分の法人税等の支払負担(787億円)が大きくて営業キャッシュフローがマイナスとなり、加えて固定資産への投資(売却とのネットで約150億円)や有利子負債返済(約37億円)があり、新規の資金調達(約700億円)をしたものの、全体として200億円減少したもの。

b③キャッシュフロー.jpg

④ 貸借対照表の比較;

・ 手元資金(現預金・有価証券)
JALは前年度期末(2008.3月)より約750億円減少して、2797億円となった。
ANAも約200億円減少して、1605億円となった。

・ 借入金等(短期・長期借入金、社債等);
JALは前年度期末(2008.3月)より約350億円減少して、8793億円となった。
ANAは逆に約440億円増加して、8,116億円となった。
  
・ 繰延ヘッジ損益(推定);
両社ともに、当年度に入ってデリバティブ絡みの資産・負債・純資産(評価差額)が大幅に増えている。
JALの純資産中の評価・換算差額は前期末より1,208億円以上増えて、1,275億円
となっている。
ANAも910億円増えて1,213億円となっている。
この数値から、燃油を中心に両社のヘッジが進んでおり、このまま高値推移した場合に比べて、短中期的に1,200億円ほどの効用を持っていると推定される。

b④貸借対照表.jpg

⑤ 航空運送事業、営業収支の比較;際内別輸送実績と合わせて比較分析

1)営業収入の、対前年同期からの変化の傾向は両社ほぼ同じ
・国際旅客:需要減の中で単価改善により増収、
・国内旅客;需要減の影響で減収
・貨物郵便;JALは需要減の中で単価改善により増収、ANAは需要増により増収
・その他の収入;附帯事業収入等であるが、両社ともに減収

2)営業費用の、対前年同期からの変化の傾向も、両社類似点が多い
・供給絞り込み、小型化・低燃費機材化、燃油の積極的ヘッジ、一般コストの削減は両社ほぼ同じ
・ 燃油費は、価格高騰にも拘らず、消費量削減やヘッジ効果で、対前年同期で小幅な費用増に抑制。 空港使用料は減少。
因みにJALの燃油費は、市況ベースでは前年より約500億円の負担増(理論値)となるが、為替やヘッジ効果で約400億円を吸収し、消費量を60億円削減した結果、36億円の増加に留まったとしている。
・ 但し人件費は、JAL減少に対し、ANAは小幅ながら増加。
・ その他費用は、両社ともに減少。

3) 国際旅客の状況;
・ JALは供給(座席キロ)を3.5%絞り込んだが、需要(旅客キロ)は5.7%と更に下回り、この結果利用率は67.8%⇒66.3%と1.5ポイント低下した。
しかしプレミアム戦略拡充等によるビジネス旅客構成増や燃油サーチャージ等による収入単価改善(約+10%)により、増収となった。
・ ANAは、供給を約1%増やしたが、需要は小幅減少となり、利用率は73.6%⇒72.3%と1.3ポイント低下した。
しかし収入単価改善(+3%)により増収となった。

4) 国内旅客の状況;
・ JALは供給(座席キロ)を2.6%絞り込んだが、需要(旅客キロ)は0.3%の減に留まった(旅客数は7万人の減)。
この結果利用率は59.2%⇒60.6%と1.4ポイント上昇した。
一方収入単価が小幅低下したことで、前年同期に比べて17億円の減収となった。
・ ANAも供給を3.6%絞り込んだ。 これに伴い需要も2.7%減少した(旅客数は30万人の減)。
収入単価は若干改善したが、需要減をカバーするに至らず、減収となった。

a⑤際内別収支.jpg

【参考】燃油高騰の影響(JALの場合)

   前年同期比で燃油高騰の影響は、JALだけでも500億円規模(理論値)となっている。
   但しヘッジ効果や、為替(ドル安円高)の効果でそれを減殺し、ダウンサイジングや低燃費機化
   等で消費量を抑制した結果が、実績の燃油費となっている。

a0JAL燃油.jpg

 

⑥ 2008年度の見通し;

・ 燃油は以前高いレベルにあり、需要は減速傾向を示しているが、
更なる路線リストラ、増収施策、コスト削減によって、
両社ともに、当初の見通しを据え置いている。

a⑥通期見通し.jpg

以上 
(Y.A)