JAL上期決算の概要
JALは11月7日に第2四半期(累計)連結決算を発表した。
内容は決算短信や決算説明会資料としてHPでも公開されているところであるが、第3者の目でスクロールオーバーしてみた。
①損益の概況(前年上期対比、単位;億円)
連結対象から外れた会社(AGP,PFTC)の影響で、営業収入/営業費用ともに減少した。
燃油高等のインパクトを受けたメインの航空運送事業の減益で、連結営業利益も567⇒302億円と減少(▲265)した。
航空運送事業と航空運送関連事業や旅行業などの「その他」と分けてみると、
・航空運送事業;営業収入は102億円(+1%)の増となった。国際線旅客収入・貨物収入が増加し、、国内旅客収入もほぼ前年並みを維持したためである。
一方営業費用は350億円と収入の増加を大きく上回った。燃油費増(+450億円)の影響が大きく、他の費用での減(▲100億円)を大きく超えたためである。
その結果営業利益は498⇒250とほぼ半減した。
・その他事業;収入/費用ともに大幅減。収入減がやや大きく17億円の減益となった。主な事業は;
◇ 航空運送関連事業;連結対象会社減の影響が大きく、▲730億円の減収、営業利益も▲7億円減って16億円であった。
◇ 旅行企画販売事業;㈱ジャルパックの集客減等で、▲195億円の減収となったが、営業利益はほぼ前期並み(▲1億円)の9億円を維持した。
営業外損益は、支払利息や航空機材処分損等によりマイナスであるため、今期の経常利益は180億円となり、前期の587億円を大きく下回った。(前期は為替差益の効果等で営業外損益はプラスであった。)
特別損益は、関連事業株の売却効果等で287億円のプラスがあり、これに法人税を加味した当期純利益は367億円となって、前期の73億円を上回った。(前期は特別退職金や独禁法関連引当金繰入等多額の特別損失が発生。)
②旅客収入の概要
1)国内旅客
供給(座席キロ)の規模は前年を1%下回ったが、旅客数は小幅ながら上回り、座席利用率は63.2⇒64.6%と1.4ポイントとかなりの向上となった。
他方平均収入単価が16,509⇒16,477円と僅かながら低下(団体旅客の構成比増等)したため、国内旅客収入としては、ほぼ前年並み(▲2億円)となった。
2)国際旅客
供給座席規模(座キロ)は4%減少したが、旅客数はそれを上回る9%の減少(▲62万人)となり、座席利用率は71.4⇒67.4%、▲4.0ポイントと大きく低下した。
他方収入単価は、プレミアム旅客の構成比増に燃油サーチャージの改定等もあって13%上昇したため、旅客収入は96億円(+2%)増加した。
収支としては燃油高騰による費用増のために、国内線、国際線ともに悪化したものと推測される。
③旅客収支の簡易分析
得られるデータの関係で、際内を纏めた形で、また貨物等の収入は費用から控除(貨物等の収入はそれに要する費用と同額とみなすバイプロダクトの考え方による)する形で、簡便的に分析した。
・供給(座席キロ)は減少(▲3%)、輸送(旅客キロ)はそれを上回って減少(▲6%)。
そのため内際平均の座席利用率は68.3⇒66.3%と低下。
・収入単価(旅客キロ当り)は15.80⇒17.05円と8%上昇したものの、費用単価(座席キロ当り)はそれをやや上回る9%の上昇となった。
そのため、費用単価÷収入単価で算出される損益分岐利用率は63.1⇒63.6%と小幅悪化した。
・その結果、損益分岐ラインの上昇(悪化)と、利用率の低下とが重なって、567⇒302億円と、▲265億円の収支悪化となったもの。
④貸借対照表の状況
前期と大きく異なる点にスポットを当てて簡便整理すると、
(資産)・借入金返済等の財務活動、新機材購入等の投資活動での支出により、キャッシュ※(手元現預金)は637億円減少した。
・他方新機材の取得や有価証券の取得等にがほぼ同額増え、資産合計では期首とほぼ同じの2兆1千億円強であった。
※ここではキャッシュフロー計算書の期首(3540)、期末(1749+定期預金1154)の数値を
採用した。
(負債)・借入金返済や社債償還等で有利子負債は435億円減少し、8,716億円となった。
・他方デリバティブ債務の増等があって、負債合計では111億円の減となった。
(純資産)・利益増で株主資本が366億円増加した。
・他方「評価差額」が▲294億円とマイナス値となった。
将来分の燃油ヘッジ平均価格が9月末の実勢より高めとなったこと等によると考えられる。
⑤キャッシュフローの状況
・営業活動;上期の利益と減価償却費で1,044億円のキャッシュインがあったことが貢献して、906億円のインとなった。
・投資活動;子会社株式売却によるイン(223億円)があったが、航空機等固定資産取得の支出1,108億円のほか、有価証券の取得もあって、1,056億円の支出※となった。
※ここでは定期預金の預入による支出はキャッシュとみなして、計算から除外した。
・財務活動;借入金返済と社債償還で887億円の支出があり、新たな借入金によるイン451億円があったが、全体として451億円のアウトとなった。
・期首残高3,540億円に、当期の減637億円があり、9月末のキャッシュ残高は2,903億円となった。
⑥通期見通し
・営業収入は当初の見通しより910億円下回る20,930億円、営業利益も220億円下回る280億円。
・下期は営業利益~当期純利益が赤字を想定し、通期の経常利益は50億円(当初の見通し比▲250億円)、当期純利益は130億円(当初見通しと変らず)としている。
・下期の燃油価格は製品ベース(シンガポールケロシン)で90ドルを、為替は$=106円を想定。
・なお燃油1ドル/バレルの年間影響額は40億円であり、為替1円(/$)の影響は30~35億円である。
以上 (Y.A)
(データ)JALプレスリリースhttp://press.jal.co.jp/ja/release/200811/001045.html
JAL決算短信http://press.jal.co.jp/ja/uploads/JGN08100.pdf
JAL決算説明会資料http://www.jal.com/ja/ir/management/pdf/setsumei_081107.pdf