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Air Asia、7~9月は赤字だったが、環境は追い風に展開?

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これまで好調な業績を続けてきたAir Asia(AK)も、2008年に入り収支は悪 AirAsia2.JPG化、79月は赤字転落となった。

しかしながらここに来て環境はAKにむしろ追い風に展開していると考えられる。

即ち燃油価格低下は収益性を回復させ、景気後退は、ネットワークキャリアーの供給減と、ビジネス目的を含む旅客のLCCシフトが予想される。

ここではAKFinancial Reportsの200849月のデータ(前年同期対比)をもとに、筆者の手法で加工を加えた数値に基づき分析している。

なお金額については理解の便宜上円貨表示とした。(1リンギット=30円で換算、またオリジナル数値は末尾に添付)

 

なお20074月~20083月の実績については、日本航空協会発行の冊子「航空と文化」に掲載されている赤井の記事「日本にLCCは成立するか? -スカイマークとエアアジアの比較から-」をご参照頂きたい。

http://www.aero.or.jp/koku-to-bunka/kokutobunka.htm

 

 

1.7~9月は大幅赤字

  AKの収益性は2008年に入って急激に悪化、79月は▲140億円という未曾有の赤字となった。

主に燃油高騰の影響で収支が悪化して経常的損益(Core Operating Profit)が赤字(▲23億円)となったこと、加えて長期ドル購入契約に起因する損(49月で▲87億円;詳細不詳)と燃油のデリバティブ損(9月末価格での評価で▲65億円)が重なったことによる。

なおAKは、国の税務上の優遇策(投資の一定割合について税を軽減)を受けており、純利益が税前利益を上回るという見慣れない形になっている。

           (13月)(46月)(79月)

   当期純利益   48   3     ▲140 億円

  《経常的損益》   33   9     ▲23  億円

 

2.49月収支、前年同期対比

 ① 49月(6ヶ月間)の収入は268394億円と112億円(+42%)の大幅増。

   しかし経常的費用が149億円(+61%)とそれ以上に増加したため、経常的損益は     14億円の赤字となった。費用増の大半(126億円)は燃油費である。

   この間供給座席(座席キロASK)は+33%と大幅に拡大しており、旅客実績もそれなりに増加している。(旅客キロRPK23%)。

   なお機材数(末日ベース)は3746機と9機増である。

 

       旅客数は、4,7995,841千人と+22%増加している。

収入はそれを上回る+42%増である。

運賃収入(含燃油サーチャージ)の増が旅客増を上回っている(単価UPが、補助収入はそれを大きく上回る増となっている。機内での飲食や販売、優先チェックイン、そして手荷物料金などである。


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3.収入単価、費用単価

① 旅客1人当りの平均収入単価; 5,5876,507円と920円(+16%)上昇している。

  もちろん燃油サーチャージも含まれている。

  中でも補助収入の伸びが大きく(+44%)、1人当り617円を得ている。

  長距離路線化している(平均区間距離が+6%)ことによるUp要素も含まれているものの、実質収入単価増が大きい。

  これに連動して旅客の単位当り収入(1000KM当りの収入)も15%上昇した。

 

       座席の費用単価; 1座席を1000KM運ぶのに要する費用は、3,4764,213円と737円(+21%)上昇して、収益を圧迫している。

その原因は燃油であり(952)、それ以外の費用は低下(▲214円)している。

費用効率が高いとされているA320の構成比増や規模拡大効果(単位当りコストの低下)によるものと考えられる。

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4.座席利用率・損益分岐利用率

① 座席利用率(Load Factor); 供給の伸び(ASK33%)に対して、需要の増がそれより下回ったこと(RPK23%)で、座席利用率RPK÷ASK10077.471.8%とかなりの低下となった。急激な供給拡大に需要の伸びが追いつかなかったと言える。

  しかしながら71.8%という利用率は依然十分高く、今後路線定着が進むに伴い需要の更なる伸びが予想される。

(注)AKの公表利用率はこれよりやや高い(路線構成、No Show客の扱いの差などが想像されるものの詳細不詳)。但し損益分岐利用率と関係付けて分析するには、上述数値が適切。

 

     損益分岐利用率(Break Even Load Factor、経常的損益がトントンとなる利用率); 費用単価の上昇率(21%)が、収入単価の上昇率(15%)を上回ったため、損益分岐利用率(B/E)は上昇(悪化)して、74.4%となった。

このB/Eは利用率(L/F71.8%)より高く、その差(71.8%-74.4%⇒▲2.6ポイント)が赤字となったものである。

しかしながらB/Eの悪化は燃油費UPによるものであり、その他の費用では改善(下降)に機能している。燃油要素が改善すれば、収益性は以前より高くなる可能性が大きい。

 

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5.タイとインドネシアのAir Asiaの状況

 ① 両社は、出資比率(49%)の関係で、Air Asia決算に含まれていない。

   両社とも依然赤字ではあるが、業績は上向いている。

   【純損益(持分)の推移】

                  (13月)(46月) (79月)

   タイ・エアアジア       ▲13   ▲7   ▲4億円

   インドネシア・エアアジア     23   ▲4   ▲1億円

 

       収支改善の理由は両社ほぼ同じである。

     B737からA320への機材更新によってコスト効率が上昇。(座席も増加)

     景気後退によって他社が減便・運休等で供給を絞り込み、また旅客のLCC志向も高まり、旅客がエアアジアに流れ込んでいる。 その結果利用率はタイが79%、インドネシアが78%(いずれも79月)と高いレベルにある。

     収入単価が大幅に向上している。

 

 

6.今後の展望

 ① AK社による見通しは以下のとおりであるが、筆者も基本的には是と考えている。

          燃油単価の下落によって費用負担が減る。

     規模拡大効果とA320への機材更新効果によりコスト効率は更に高まる。

     燃油サーチャージは廃止しても、補助収入増による収入単価向上はある。

     景気悪化でビジネス目的を含む旅客のLCC志向が高まり、需要のシフトが起こる。

     ネットワークキャリアーの供給縮小が、AKの規模拡大に有利に働く。

     為替(リンギット安)は埋め合わすことができる。(これについては詳細不詳)

 

       今後注目したいのは利用率の低下である。

急激な規模拡大は、相対的に需要の小さい路線まで路線拡大していくことになるが、その場合高い利用率を達成できるかどうか?

通常は規模拡大に伴って需要拡大も低減していくが、供給を絞る他社からの需要シフトが追い風となることが期待され、大幅な低下にはならないとも思われる。

とすると、燃油費減でコスト低下⇒B/E改善(下降)効果が効いて、多少の利用率低下をカバーし、規模増と相俟って利益は増えることとなろう。

 

 ③ 財務状況と金利負担

9月末時点のAKの有形固定資産(主に航空機)は1,851億円、借入金残高もそれと同規模の1,898億円である。そして借入金依存度は72%と非常に高い。

即ち、高い収益性と成長性を背景に、借入金によって航空機を調達し、事業を拡大しているわけである。

金利は5%強であり、利息負担は無視できない。(それを緩和するために、長期ドル購入契約をしているが、それが今回は裏目に出たようである。)

9月現在A32050機であるが、数年のうちには225機(含オプション)に達する。

それに伴い借入金の規模と金利負担は増加することになる。

当面は追い風が吹くであろうが、長期に見た場合、一端業績が悪化(グループ会社を含む)すると、急速に資金繰りも悪化する懸念もあり得よう。

 

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なお、Finance Reportのデータ(抜粋)についてはこちらをご覧下さい。

AirAsia data.pdf                                                                                         

 

                                              以上(RT/YA)