2.経営危機の引き金
2.経営危機の引き金
JALの経営危機の引き金となった直接原因として、次の2点があげられます。
1)国際線の著しい収支悪化;
不況は世界の大手航空会社の収支を軒並み悪化させましたが、日本の大手2社にも大幅赤字をもたらしました。特に国際線は、需要波動が大きいことから収入の振れ幅が大きく、燃油費も多いため、その規模が大きいJAL(収入でANAの約2.4倍)が、より深刻な事態に追い込まれました。
JALとANAの間にある経営力の差を否定するものではありませんが、この1年余りにおきた収支悪化幅の差は、主に国際線の規模差がもたらしているわけです。
(補足1)2008年度の国際旅客収入(前年比)は、JALが500億円減(概数、以下同)、ANAが200億円減、また燃油費は、国内国際合わせてJALが960億円増、ANAが370億円増でした。
なお2009年4~6月の国際旅客収入(前年同期比)は、JAL830億円減、ANA350億円減となっています。
JALはプレミアム戦略を重視しましたが、経済不況によりビジネス需要減の影響を大きく受けることとなりました。因みに2009年4~6月の実績では、JALの国際線旅客数は前年比17%の減ですが、収入は46%も落ち込み、ほぼ半減しました(この傾向は内外の大手航空会社に共通しています)。
2)金融環境の悪化;
JALの中期的な資金計画は、おおまかに言って、借入金を利益と減価償却費で返済し、新機材等の設備投資に必要な資金については、外部調達するというものでした。
しかしながら収益性悪化で信用力が低下し、そのサイクルが成り立たなくなりました。
利益どころか、減価償却費すら赤字補填に振り向けなければならない状況となり、返済資金(今年度1,800億円)に行き詰まりました。また新規の資金(同1,100億円)は得られなくなりました。こうして資金計画に行き詰ったわけです。
もともと収益力・財務力が弱い中で、足元収益力で返済するには過大な規模の借入金で
した。しかし経営改善による収益力向上をベースにして、その返済と借換えを行い、更に
外部資金に依存する形で更新と規模拡大のために多くの機材を発注しました。
その収益力の前提が大きく崩れてしまったわけです。
またこれまで重ねてきた優良資産の売却等で財務的弾力性を失い、いわば財務的には安
全高度すれすれの状態であったために、収益力の前提が崩れると、もはや術はないという
状態になりました。
《続く》
1.はじめに http://www.aviatn.com/2009/10/jal1.html
3.3つの大局的視点
(1)航空事業が持つ構造的特性 http://www.aviatn.com/2009/10/1-6.html
(2)日本の交通・航空政策などから来る問題 http://www.aviatn.com/2009/10/2-9.html
(3)JAL自体の経営の問題 http://www.aviatn.com/2009/10/jal-35.html
4.JAL再建に望むこと http://www.aviatn.com/2009/10/jal-36.html