旅行流通速報 Vol. 471号
1. モバイル旅行の神話とその真実
2. 其の他のニュース
(東北関東大震災による影響で、大幅に編集を変更しました)
Tnooz, 3/15/2010
1. Busting myths around mobile travel and other lies
By Timothy O'Neil-Dunne
モバイル旅行の神話とその真実
米国におけるモバイル旅行と旅行のためのアプリケーションの現状はどうなっているのだろうか? このレポートは、消費者の間で急速に普及しているスマートホーンの現状を分析し、モバイル戦略立案の一助にすることを目的としている。
先ず、スマホのデバイスに付いて触れよう。 GoogleのAndroid、AppleのiPhoneについでBlackberryのスマホが3大デバイスだ。 NokiaやMicrosoftは出遅れている。 そして、現在ではWebOSとして知られている最初のスマホだったと思われるPalmOSを忘れてはならないが、新たなオーナーであるHPは特にPixiの芳しくない成果で市場シェア獲得に苦しんでいる。
スマホのデバイスの機種間の、そしてモデル間でさえも、調和は保たれていない。 しかし、だからと言ってブラウザーに有利だと言う訳ではない。 さらに注意を要するのは、現在のモバイル デバイスの初期期待寿命(initial life expectancy)が1.2年程度だと言うことだ。 短過ぎると感じるかもしれないが、想像以上に多くのデバイスが消滅したり他に取られたり壊れてしまったりしているのだ。 明らかにPCよりは短い。 そして、デバイスの多くの異なる形式(different forms)が存在し、そしてその多くは低い品質だ。 しかし、同時にユーザーたちのスマホに対する過度な人気が、高性能機器の開発の妨げにもなっている。
この話を次の「モバイルの4つの嘘」として展開する。
1. 性能が凄い
2. モバイルの使い勝手は良い
3. 廉価なアクセス料金
4. モバイル ブロードバンドは何処でも利用可能
神話 1. 性能が凄い
総合的な性能の評価について触れてみよう。 兎に角ユーザーの評価は素晴らしい。 彼らは、素晴らしいモバイルのライフスタイルを獲得したと喜んでいる。 速度、コンシステンシー、信頼性においてラップトップやデスクトップよりも低い性能しか発揮できていないことは容認できるし、しばしば標準以下になることも理解できるが、スマホの性能は依然として良くない。 自由に利用可能なブロードバンド品質と信頼できるサービスの提供には、後2〜3年はかかるだろう。 消費者は、最先端技術と言っているが、我々が理解している最先端は4Gであって現在のレベルは精々3.1Gだ。
その他の問題は、ログインのプロセスとその時間だ。 この問題は、モバイルの総合評価を低めている。 かってのPCに必要だったウオームアップ(warm up)に似ている。 これは無いとしても、各アプリケーションのログインに幾つかの追加的操作が必要になる。 GPRS, EDGE, 3G に続いて、残念ながら"No Service"が今日の表示だ。
神話 2. モバイルの使い勝手は良い
デバイス自身は、大変素複雑でこの小さな機器の使い勝手は良いとは言えない。 Appleのは良くなって来ている。 多く存在するアプリケーションも、数は多いもののそんなに有用なものは多く存在しない。 SkypeのためのiTouchⅠとかAngry Birdsやモバイル搭乗券を除いては、余り利用価値が無いようだ。 タッチスクリーンは、アルカリ性の指や、寒冷地における反応に問題が有る。 ユーザーエクスペリエンス(UX)に対する共通標準の欠如が一般的な評価を難しくしている。 劣悪なUXを作り出している、OSやアプリのメーカーの放漫さを感ぜずにはいられない。
神話 3. 廉価なアクセス料金
データプランの料金は法外に高い。 更に悪いことには、幾つかのモバイル会社は、使い放題を中止した(この制度を導入していない会社も存在する)。 一般的な最低契約期間2年間も、最新版に乗り換えるユーザーの障害となっている。 安いデータローミングプランも存在しない。 だから母国以外での使用料金は、天文学的な高い料金となってしまう。 代替となるWi-Fi環境も全ての地域で整備されている訳ではない。 ネットワークが整備されていない地域では2枚もしく複数のSIMカードの使用が必要となる。 しかし、Androidの1機種を除いて2枚のSIMカードを受け付けることができるスマホは存在しない。 厳しい契約によりSIMカードの使用が制限されている。 iPhoneでは、複雑な操作により他のネットワークとのローミングが可能となる方法があるが、一般の消費者にはこの操作は無理な相談だ。
神話 4. モバイル ブロードバンドは何処でも利用可能
高速のブロードバンドは、何処でも利用可能できる訳ではない。 米、英、独、仏、豪におけるサービスは多くの場合良好といえるが、しばしば限定的であり極めて高価だ。
汎地域ネットワークとピッタリ合うとは限らない。 独と英は良いが、その他の国はそれほどでもない。 しかし、速度はEDGEやPPRSにおいてさえ完全なUMTS/3Gよりも頻繁に低下する。
モバイルの世界は、PCのそれとは明らかに異なっている。 幾つかの面では、それは必ずしも悪いことばかりではない。 スマホの小さな画面サイズとタブレットは、デバイスの利用とインタラクトの方法を変えつつある。 豊富なコンテンツの重いWebサイトのモバイル版を開発する前に、デバイスの使い勝手(usability)とユーザーの操作能力を良く考慮するべきだ。
「4つの嘘」の次の話は、アプリケーションとブラウザーの戦いだ。 米国では、AppleのiPadとiPhoneの爆発的な売れ行きを見れば、明らかにアプリが勝利者になりつつあるようだ。 WiredのChris Andersonは、"市場はアプリが全てだ"と言っている。 そして最近のメディア会議では、"アプリの世界になった"という発言さえ飛び出している。
この件については、フィンランドのモバイル会社Zorkem社が、2009年と2010年に幾つかの調査を行なっている。 Zorkemは、
Ø アプリアプリが全てではない
Ø アプリもブラウザーも並列の状況で、どちらが勝利者だと言える段階ではない
Ø 両者もUXの改善が必要だ
と言っている。
米国以外では、アプリがそんなに盛んでない。 モバイルのブラウジングも良く使われているようだ。 地域によって状況が異なると言うことだ。 従って、アプリとブラウザーの戦争は、以下の興味深い難問の争いとなるようだ。
Ø HTML 5プラットフォーム経由の開発の容易さにより逆反応された......
Ø iPhone環境のユビキティー(ubiquity)と調和(consistency)に対する......
Ø 事業環境のための理想的なアプリの開発能力と.......
Ø ......容易な検索の欠如
この戦いは、PC戦争の初期段階に存在したよりも以下に示した通り遥かに複雑な要素に対応している。
Ø ネットワークプロトコール(旧世代CDMA, GSMなど、新世代WCDMA, LTE)
Ø ネットワークオペレーター(Vodaphone, TMobile, Orange, Telefonica, 地域運営業者)
Ø デバイスOS(大手4社以上の)
Ø 顧客確保の為のカスタマイズ バージョン
Ø ApplesとApples Store
Ø ブラウザーズ/UEX
また非常に多くの長続きしないアプリの存在が、真に有用なアプリの開発を邪魔していることも問題だ。 数少ない成功したアプリのAngry Birdsが、投資家から $42mを集めたのはこの為だ。 Nielsenの4,000人のスマホ保有者の調査によると、大手スマホ3社の1デバイス当り平均アプリダウンロード回数は、iPhoneで40、Androidで25、Blackberryで14となっている。 そして多くのアプリのセキュリティーが劣悪だ。
モバイルの2つの長所は、言うまでもなくユーザーのロケーションと、ユビキタス ツール経由のローカルサービスとのインタラクトだ。
前者のLocation Based Services(LBS)については、将来必ず成功するスマホのもう1つのサービスになると言われている。 しかし、今までの使用実績からは、明るい未来ばかりではなさそうだ(少なくとも今の所は)。 LBSは、コンテクストを提供する力を有している。 しかし、それは同時にウルトラスパムを出す力も持っている。 LBSは、ロケーション情報の優位性を利用するアプリにとって威力を発揮する。 ところが、ロケーションに無関係なLBSベースアプリケーションが、余りにも多く存在している。 その一方で、SMSに基づいた多くのシンプルなサービスも存在している。
後者では、QRコードの出現が、スマホ上のローカルコンテクスト環境を可能にした。 FourSqaureの如くのソーシャルベース アプリや、GoogleとFacebookの同様のサービスの進展が、より効果的なモバイルサービス可能にしている。
多くの人は、スマホを評価していないこの記事を読んで憤慨するだろう。 しかし、自身のスマホの使用状況を、消費者の目でもってもう一度注深く丹念に再評価して欲しい。 モバイルの取り柄は申すまでもなくロケーションだ。 だから旅行のための本格的なモバイルサービスも、キット開発されるだろう。 ネットワーク会社の抵抗もあったが、モバイルのためのインフラも整備されつつある。 そしてスマホが爆発的に売れている。
問題は、強欲な利益最重視の企業たちが存在することだ。 AppleのiPhoneのビジネスモデルは邪悪(evil)だ。 Steve Jobsは、King Gilletteの申し子だ。 iPhoneの収入源が一体幾つあるかを数えたらよい。 最近のものでは、Pandoraの如くのメディアサービスのiPhone経由のストリーミング料金("tax")だ。 Appleは、RIMに対するラインセンス料金の支払いを回避するためにプッシュメールをサポートしていない。 そのために消費者は、多分数億ドルの支払いを余儀なくされている。
アプリとブラウザーの戦争は、根深く広く複雑だ。 多くの犠牲者が生まれ、消費者に対する高いコストが維持されるだろう。 将来は払わなくて済む物に対して現在は支払わされている。 旅行のアプリ市場でも同様なことが起きるだろう。 メジャーな素晴らしい旅行アプリは、今は存在していない。 旅行分野で欠けている物は、Angry Birds或はiTuneタイプの旅行アプリだ。
2.
其の他のニュース
旅行流通・TD
(1)チュイで幹部の丁稚奉公開始
世界最大のツアオペTuiが、幹部の経営トレーニングの一環に丁稚奉公スタイルを取り入れている。 伝統的なInseadやLondon Business Schoolの訓練コースにこのコースを追加している。 最初のプログラムは、コスタリカでシニアマネジャー(13ヶ国から73人)による新たに生まれつつあるエコロッジ×6室を建設するミッション。 2回目のプログラムは、今月、最上級幹部の12名をタイに派遣する。(FT.com, 3/13/2011)
(2)セーバーCEO、オバマ政権顧問委員に任命
Sabre CEO Sam Gilliandが、生産性とテクノロジーや顧客サービスの適用に関する最良のビジネスプラクティスをオバマ大統領と、大領領のManagement Councilにアドバイズする顧問委員に任命された。(TRAVWLAGENTCENTRAL, 3/15/2011)
(3)アジアは旅行会社依存
アジア特に中国と香港では、旅客は依然としてオフラインの旅行会社に強く依存している。 旅客は、長年使用している旅行会社に、旅行計画は勿論のこと旅行途次の予約変更等まで手配させている。 旅行会社重視は、以下の理由による。
Ø アジアでは、人的な関係を重視している。
Ø 現金商売が基本で、C/Cの普及が遅れている。
Ø オンライン購入に慣れていない。
Holtels.comのアジア太平洋地区部長は、中国の主な商売はコールセンター経由で実施されていると言っている。 中国ではインターネット ブームとなっているが、旅行のオンライン販売は2%にとどまっている。 PhoCusWrightによれば、インターネット、モバイル、C/Cがより普及している香港でさえ、旅行のオンライン予約は10%~15%と低いレベルだ。 外資のホテルは、旅行会社のエージェントをホテルに招待して実地検分してもらっている。(wsj.com, 3/18/2011)
空 運
【米 州】
(1)ブラジルGol、ライバルTAMを上回る
Gol Linhas Aereas Inteligentesが、ブラジル国内線旅客市場シェアの2月実績でライバル社のTAMを上回った。 Golのシェアの39.77%に対してTAMは39.59%であった。 その他の企業は、Azul 7.96%、Webjet 5.89%、Trip 2.77%、Avianca 1.22%であった。 なお国際線では、TAM 85.85%、Gol 12.92%、Aviance 1.22%であった。(wsj.com, 3/11/2011)
【欧州&アフリカ】
(1)仏判事、過失致死容疑でエアバスの捜査開始
仏判事(investigating magistrate)が、2009年6月1日のRIO発PAR行きのAF447便A330型機による大西洋上の墜落事故(228名全員死亡)で、3月17日、エアバスを過失致死容疑で捜査を開始すると語った。 昨年5月に3回目のブラックボックスの捜査に失敗した後、3月20日から独ミニ潜水艦によるRIO沖の海底捜査が再開される。 (wsj.com, 3/18/2011)
(2)アメリカンと英国航空 大西洋路線でシャトル便
International Consolidated Airlines Group SA(BA+IB)とAAは、大西洋路線の便間隔をできるだけ均等にするためのスケジュールの調整を実施する。 特に米英主要路線では、1:00pmから8:00pm(英国時間)までの間の便を毎時出発のシャトル便として運航する。(wsj.com, 3/18/2011)
(3)ルフトハンザ 2010年決算利益計上復帰
LHの2010年決算が、パイロットのストライキ、火山灰による空港閉鎖、燃油費高騰、冬期の悪天候などの問題が存在したにもかかわらず、景気回復による大幅増収により €2.47bnの利益計上に転換した。 貨物収入は、前年比 +43.3%増の €2.8bnとなった。
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収 入 |
利 益 |
1株当り利益 |
配 当 |
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€27.3bn |
€1.1bn |
€2.47 |
€0.60 |
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+23% |
▲€34m |
▲€0.07 |
- |
1月にLH新CEOに就任した Christoph Franzは、欧州市場の防衛と中東諸国のライバル企業の脅威に対応するために、今後買収戦略を優先させないと語った。 これは、SASやLOTの買収憶測を冷やすことになるだろう。 前任のWolfgang Mayrhuberが実施した買収戦略(Austrian Airlines, BMI, Swissの買収)を変更する。(FT.com, 3/18/2011)
陸 運 & ロジスティックス
(1)FedEx会長、第4四半期業績と2011年見通し好調と発表
FedEx会長Fred Smithが、世界経済の回復による需要増に後押しされて第4四半期と2011年度の利益見通しが好調に推移するとの肯定的な見通しを語った。 FedEx は、悪天候などにより2 月に終了した第3四半期決算で減益▲3%を余儀なくされた。 第3四半期の利益は $231m、収入は +11%増の $9.7bnであった。 しかし、2011年度の1株当りの利益見通しについては、FedExは 前回の $5.00~$5.30から$4.83~$5.00に減少させた。 2011年度の見通しについて、燃油費、中東政情、日本の震災の影響により変動するリスクを抱えているとSmith会長は述べている。(FT.com, 3/18/2011)
(以上)