旅行流通速報 Vol. 483号
1. 旅行会社の販売増加
2. 其の他のニュース
3. 編集後記 「航空会社とGDSの戦争(3)」
baltimoresun.com, 6/13/2011
1. Travel agents, fewer in numbers, say business on uptick
旅行会社の販売増加
旅行会社の販売が増加している。 効率的な7×24のオンライン販売が進展しているけれども、消費者は旅行会社の専門性を見直している。 そして、パーソナルな旅行作りを旅行会社に依存している。
観光旅行を主に取り扱っているASTA会員の約半分が昨年のトランザクションが2009年より増加したと言っている。 そして94%が今年に利益を計上すると予想している。 ARCでは、今年4ヶ月間の旅行会社の航空券販売額が +8%増加した。 2009年比では +31%増となる。 旅行の増加は、不況により消費を抑えた鬱積需要が顕在化しているためもあるが、これには旅行会社への回帰も存在する。
2006年に、10年に及ぶ航空会社のベースコミッションカット問題にケリが付き、旅行会社はビジネスモデルを変更した。 幾つかの旅行会社は、新たにコンサルティング フィーを導入し、幾つかの旅行会社は特定のニッチな旅行に特化した。 2009年までにASTA会員のおよそ41%が、カスタム旅行計画の相談からコンサルテーション フィーを徴収している。 予約手数料を徴収している旅行会社は91%に上っている。 国内線と国際線の予約手数料の平均は $30レンジだ。
インターネットが事業の方法を変えたが、必ずしも旅行会社を傷つけている訳ではない。 消費者は、インターネットと旅行会社を使い分けている。 旅行会社の専門性、豊かな経験とコンタクトが消費者にとってのバリューになっている。
2. 其の他のニュース
旅行流通・TD
(1)ARC CEO交代
23年間ARCのCEO兼社長を勤めたDavid Collinsが退任した。 彼は、ARC在任中にe-チケット導入を含む精算データの電子化に貢献した。 そしてInteractive Agent Reportingを導入した。 後任はMike Premo vice president of business developmentが昨年9月から着任している。 Premoは、航空会社のためのARCから、旅行会社のためのARCへと、ARCと旅行会社の関係強化に努めることとなる。(travelweekly.com, 6/10/2011)
(2)独立契約者の詐欺が増加している
WAS弁護士事務所Mark Pestronkが、独立契約者(independent contractor)の詐欺が増えていると言っている。 承認されていないクレジットカード決済や取消されたクレジットカードの使用による詐欺が増加しているとホスト旅行会社に警告している。 GDSは、クレジットカード番号と有効期間さえ一致すれば決済してしまう。 詐欺に遭遇したホスト旅行会社は、身に覚えがない債務を背負うことになってしまう。 この詐欺の増加の背景には、ホスト旅行会社が独立契約者を増やしたいために、独立契約者の身元調査を十分実施していない傾向があるようだ。(travelmarketreport, 6/13/2011)
(3)エアープラスが航空会社付帯収入のレポーティング開始
AirPlusが、全米の法人カード保有者に対して、航空会社の付帯収入に関する支出のレポーティングを開始した。 レポートがカーバするのは、報奨制度のマイレッジによる購入; 機内食、エンタメなどの機内販売; 航空券再発行、座席指定、スタンバイフィー、などのサービス; その他; 手荷物料金の5種類。 使用者毎、フィー毎にレポーティングする。 一部のフィーは、AirPlusの推定額となる。(travelweekly.com, 6/16/2011)
空 運
【米 州】
(1)アメリカンとジェットブルー 提携強化
Ø AAとB6が、提携を強化することを検討している。
Ø 現在両社は、NYCとBOS発着の便を接続させている。 AAからB6の米国内26都市に、B6からAAの国際線15都市にそれぞれ接続可能にしている。
Ø この接続都市を拡大する。 米国内線ではAAとB6が競合する路線を含める模様である。
Ø AAは、UA+CO, DL+NW, WN+FLのコンソリ旋風から取り残されている。 2011年の収支では唯一欠損を計上すると見られている。
Ø B6は、現在10のインターライン提携(内に2社が米国航空会社)を有している。 最大の株主の1社であるLHとは、コードシェア協定を保有している。
Ø AAのDCA 8スロットペアとB6のJFK 12スロットペアが交換された。
Ø AA+B6の合併を予想しているアナリストが存在する。
(Bloomberg, 6/09/2011)
(2)米運輸省、デルタとバージンオーストラリア提携承認
米運輸省が、6月10日、DLとVirgin Australia提携(太平洋路線JV)に対する競争法適用免除(ATI)を承認した。(atwonline.com, 6/12/2011)
(3)航空会社団体、運輸省規則適合に6ヶ月の猶予要求
航空会社団体Air Transport Association of America他2団体が、米運輸省の新消費者保護規則の適合に6ヶ月間の猶予を要求した。 テクノロジーの適合と社員教育のために10月24日から航空運賃の総額表示と、8月23日からの新搭乗拒否規則適用をそれぞれ180日間延期することを申し出ている。 また、航空会社は、8月23日からeチケットのコンファーメション時に特定の手荷物料金表示を義務づけられる。(travelweekly.com, 6/14/2011)
(4)航空会社の付帯サービス運賃収入 $5.7bn
運輸省統計局によると、昨年の米航空会社のフィー収入が $5.7bnとなった。 手荷物料金収入が $3.4bn、予約変更手数料が $2.3bnであった。 他の付帯サービス運賃収入は、この中には含まれていない。 手荷物料金収入は前年比 +24.5%増であった。(2008年比3倍) 予約変更手数料は、前年比▲3%減であった。(travelweekly.com, 6/14/2011)
(5)ウエストジェット(加)がデルタとコードシェア
WestJetが、DLとのコードシェアを準備している。 WestJetは、コードシェアを積極的に拡大している。 昨年10月以来、AA, CXとコードシェアを締結した。 そしてJLとQFとの接続便を運営している。(travelweekly.com, 6/14/2011)
(6)ボーイング B737月産42機に増産
Boeingが、B737の生産機数を2014年中頃に42機に増産する。 ボ社は、すでに2013年中頃から月産38機とする計画だ。 エアバスはA320の月産機数を2012年末から42機に増産することを既に決定している。 受注残はB737で2,100機、A320でも動機数程度 存在する。 この増産ペースによれば、B737とA320の狭胴機は年間1,000機が生産されることになる。
ボーイングは、2030年までの民間ジェット機(100席以上)需要予測を昨年の予測から +8.5%増加させて33,500機($4 trillion)とした。 エアバスの昨年12月の予測によれば、2029年までに26,000機($3.2 trillion)の需要があるとしている。
ボーイングの南カロライナ州のB787組立新工場は、来月から組み立てが開始される。 現在、National Labor Relations Boardの仲裁により労使間協議が行なわれている。 組合は、非組合員による新工場の運営は違法であると主張している。(wsj.com, 6/16/2011) (nytimes.com, 6/16/2011)
(7)エアカナダの地上組合スト中止
ACの販売と顧客サービスエージェント(Canadian Auto Workers 3,800人)が、政府のスト中止命令の発出寸前に、4年間の労働契約(給与の上昇と年金改定)に暫定合意した。 これで6月14日から予定されていたストが中止となった。(wsj.com, 6/16/2011)
(8)CFM A320エンジン受注
General ElectricとSafran SA(仏エンジンメーカー)の合弁企業CFMが、エアバスからA320neoに装備するエンジンLeap-X(少なくとも100機分)を受注した。 A320neoは、既に332機を受注している。(wsj.com, 6/16/2011)
(9)ジェットブルーEMLプロダクトを強化EMSに変更
jetBlueは、EMS(Even More Legroom)を飛行距離にしたがって片道 $10〜$75で販売している。 同社は、これに機内バゲッジビンのスペースを確保できる優先搭乗権を付け加えてEven More Spaceに変更する。 料金は変わらない。 jetBlueは、更に、米国15空港でセキュリティーレーンの迅速通過のプロダクトEven More Speedを開発した。 ここ当面はEven More SpeedをEven More Spaceに加えるが、何時かの時点では独立したプロダクトとしてEven More Speedを販売する模様である。(wsj.com, 6/16/2011)
(10)依然としてレッドコートが11空港に存在
多くの空港が経費節減でカットしているにも拘わらず、米国最大空港21空港の半分の11空港で、レッドコード(red coat)が働いている。 空港内を巡回して顧客サービスを提供するスペシャリストだ。 LASのMcCarran空港では、30人のPassenger-service Representative(年収 $31,000~48,000)と10人のAirport-service coordinator(年収 $53,000~$82,000)が存在する。(wsj.com, 6/16/2011)
(11)米航空会社 4月 +1.9%雇用増
運輸省統計によれば、米航空会社の4月の雇用が前年同月比 +1.9%増加した。 4月のフルタイムとパートの合計の雇用者数は572,797人となり、3月の571,873よりも +0.2%増加した。(WSJ.COM, 6/16/2011)
(12)ボンバルディア CSeries販売不振
BombardierのCSeriesが15ヶ月間も受注ゼロ続いた後に、やっと13機を2社から受注した。 これで累計の受注機数は103機(+103機オプション)となった。 座席数は110〜130席で、最大飛行距離は3394マイル(約5400km)。 価格は機種によって異なるが $55m ~ $63m。 Bombardierは、中国、ロシア、ブラジルのメーカーから競争を挑まれている。(wsj.com, 6/16/2011)
(13)ボーイング B737の後継機開発で苦慮
ボーイングがB737の後継機の開発で苦慮している。 ボーイングは、エンジン換装ではなくて、2020年までに全く新たな航空機を開発する方向に傾いているが、エアバス社のエンジン換装機であるA320neoの受注が進んでいることと(目標の500機受注の半分を既に受注した)、2025年から2030年まではopen rotorエンジンを含む 新たな高性能エンジンの開発が困難な見通しであることから、ボ社は エアバス同様 新型機の開発の前にB737のエンジン換装に踏み切るかもしれない。(wsj.com, 6/16/2011)
(14)FAAプライベートジェット機の運航公表
FAAが、8月からプライベートジェット機の運航スケジュールを公表させることとした。 今まではプライバシー保護の観点から、この情報は公表されていなかった。 オバマ政権は、公的な空の使用状況はプライバシー保護に優先して公表されるべきであるとしている。 投資家達は、プライベートジェット機の行き先を知ることができるようになる結果、M&A情報の入手に役立たせることができるだろう。 8月からは、正当なセキュリティー上の理由による場合を除いて全て運航データがFlightAware.comやflightwise.comを通じて略リアルタイムで公表されることになる。 企業は、総合セキュリティー計画を作成して自社機の運航スケジュールの公表を継続して回避することを検討している。(wsj.com, 6/17/2011)
(15)米、欧州航空機排ガス規則の域外適用に公式抗議
米政府は、6月末にOsloで開催されるU.S.-EU Joint Committee*で、欧州発着の域外の航空機に対してEUの航空機排ガス規則を来年1月から適用する計画に対して、公式に抗議する準備をしている。(*2007年のUS-EU航空協定締結時に設立された半年毎に定期的に開催される航空問題を協議するフォーラム)
米政府は、2年前からEUのこの一方的な動きを国際条約違反でありEU規則の域外国に対する適用に当たると批判している。 全米航空運輸協会(ATA)と米国航空会社グループは、2009年にこの問題の違法性をルクセンブルグのEuropean Court of Justiceに訴えている。 最一回の公判が7月5日に開始する。 中国やロシアなど各国も、EUの動きに反発している。 特に中国は、中国機に適用される場合、欧州製航空機を購入しない等の対抗措置をとると見られている。(wsj.com, 6/17/2011)
【欧州&アフリカ】
(1)イージージェット パイロット給与改善で合意
easyJetのパイロット組合BALPAの組合員は、10月1日に遡及して適用となる +4%給与増と +5%のsector pay増に合意した。 これで予定されていたストは取り止めとなった。 Virgin AtlanticやAer Lingusでも、パイロットが給与の改善を求めてスト権の確立を試みている。 しかし、Aer Lingusでは暫定合意により取り敢えずストを回避した。(wsj.com, 6/10/2011)
(2)イージージェット、サウスエンド便開設
easyJetが、2012年のLONオリンピックまでに、Essex州のSouthend空港から週70便の路線を運航する準備を進めている。 Southend空港は、2019年には200万人が利用するだろう。 そしてSTNやLHRの空港混雑の解消に貢献するだろう。 来月にはSouthend新空港駅がオープンし、Liverpool Streetから49分、Stratfordから42分で繋がる。 同空港は、ロジスティックグループのStobart Groupが保有している。 周辺住民は、滑走路の延長に反対している。(FT.com, 6/15/2011)
(3)エールフランスのジェット機発注に仏政府圧力
AF/KLMの長距離機×100機の発注を巡り、仏政府がエアバス機を購入するべきだと同社に圧力をかけている。 仏政府はAF/KLM株を15.7%保有している筆頭株主だ。 仏予算相Francois Baroinは、6月15日、世界自由貿易の規則に従って行動するべきだと、AF/KLMの独自の経営判断に政府は介入するべきではないという公式声明を発表した。 B787とA350の売り込み競争が激化している。(FT.com, 6/15/2011)
(4)英メーカーが軽量椅子を開発
Acro Aircraft(英)が、50mm〜100m厚の座席背もたれの軽量座席を開発した。 3席連続した椅子で、従来の物よりも▲959mg軽量化されている。 年間の燃費の節約は▲$150,000 〜▲$200,000になると言われている。(FT.com, 6/15/2011)
(5)バージンアトランティック、BA+AAアライアンスに対抗
VS会長Richard Bransonが、BA+AAのアライアンスを懸念する法人旅客が増加していると言っている。 法人は、BA+AAの巨大化を嫌って50%のビジネスをVSにくれている、彼らはチョイスを求めているというのだ。 VSは、2つのアライアンスから提携を求められている。(travelweekly.com, 6/16/2011)
(6)EUパイロット疲労抑止新規則案で議論
欧州運輸委員会で、パイロットの疲労抑止新規則案で議論が白熱している。 睡魔に教われた航空会社のパイロットによるリスクの範囲と、パイロットの乗務時間と就労日数の制限をどのように変更するかの問題について、航空会社、組合、EASA(European Aviation Safety Agency)を巻き込んで議論が沸騰している。 しかし最近の議論の方向は、より厳しい規則の導入へと進んでいるようだ。 EASAの提案では、現在欧州で一般的に認められている時間よりも長い 日間14時間乗務を認める案になっている。 これは、現在同じようにパイロット疲労に関する新規則を作成中の米国よりも長い時間となっている。 米国は、新規則案を8月にもまとめる予定だ。 デンマークを始めとする幾つかのEU加盟国は、各国がEU規則よりも厳しい規則の導入を認めることを要求している。 IATAは、国や航空会社によって異なる規則を無視した厳しい規則の適用には無理があると言っている。 このEUの新規則の成立は、2013年までかかると見られている。(wsj.com, 6/17/2011)
【アジア&中東】
(1)ジェット(印)エアバス機×10機発注
インド第1位の航空会社であるJet Airwaysが、長距離用エアバス機×10機を発注する。 現有フリート97機に加える。 これは、2~3年後の国際線強化のための機材発注である。 現在の国際線収入は全収入の60%を構成している。 Jetは、2006年度 以来損失を計上している。 2011年3月に終了した2010年度では、▲$19.2mの連結欠損を計上したが、2009年度の▲$94mより大幅に損失幅を縮小した。 負債は $3bnに上っている。 ライバルのKingfisherは、政府系銀行のDESにより負債のリストラを行なっている。 インド最大のLCC Indigoは、国際線を強化するためにエアバス機×180機($15.6bn相当)を発注した。(FT.com, 6/10/2011)
(2)タイ航空 37機発注へ
TG取締役会が、航空機×37機の購入を承認した。 B777-300ER×6機(デリバリー2014年)、A350-00×4機(デリバリー2016~2017)、A320-200×5機(デリバリー2014~2015)、
他22機がその内訳である。(wsj.com, 6/12/2011)
(4)インディゴ(印)国際線開始
IndiGoが、9月1日より国際線(DXB, SIN, BKK)を開始する。 往復9,999ルピー($223)で売り出す。 インド発の国際線短距離路線の競争が激化する。 ライバルのSpiceJetは、昨年10月より国際線に進出している。 Indigoは、1月にエアバス機×180機(内150機がA320neo)を発注した。(wsj.com, 6/14/2011)
(5)三菱、香港リース会社からMRG×5機受注
三菱航空機(三菱重工とトヨタ自動車の合弁企業)が、香港の航空機リース会社ANI Group HoldingsからMRJ×5機を受注した。 リジョナルジェット機市場は、中国、ロシア、ブラジル(Embraer)、カナダ(Bombardier)の間で熾烈な販売競争が繰り広げられている。 MRJは、米国のTrans States Holdingsと全日空より125機を受注している。 MRJのエンジンはPW1000Gで、ライバルモデルよりも▲20%燃費性能が良い。 このエンジンはBombardierのCSeriesやA320neoにも使用される。(wsj.com, 6/15/2011)
(6)ゴー(印)エアバス機×72機発注
Go Airlinesが、A320neo×72機を発注した。 デリバリーは、2015年から各年最大15機となる予定。 エアバスは、この受注以前にCebu PacificからもA320neo×37機(デリバリー2015〜2017年)を受注している。 連続したA320neoの発注が、ボーイングのB737の後継機問題の決着に圧力をかけている。(wsj.com, 6/16, 17/2011)
(7)豪州とニュージーランド航空便再開 チリ火山爆発による影響
チリの火山爆発で、一時運休していた豪州とニュージーランド間の全便が再開した。 しかし、南半球を一周した火山灰は、今度はチリの国内線の欠航を発生させている。(US Today, 6/18/2011)
水 運
(1)カーニバル、2011年利益見通し下方修正
Carnival Corp.が2011年の利益見通しを 1株 $2.35~2.45に低下させた。 同社は、12月時点で $2.90~3.10、3月時点では $2.55~2.65と連続して利益見通しを低下させている。 この変更は、北アフリカや中東の社会不安と日本の震災と燃油費の高騰によるものである。(wsj.com, 6/13/2011)
(2)プリンセス、フェイスボックページに旅客体験記掲載
Princess Cruiseが、Facebookのページに旅客の体験談を専用に掲載する"Princess Stories"の新たなタブを設定した。(travelweekly.com, 6/13/2011)
陸 運 & ロジスティックス
(1)エービス、エービス欧州を買収
Avis BudgetがAvis Europeを £636mで買収することとなった。 Avis Europeは、1986年にAvis Budgetから分社されて1997年に売却されていたが、再び本体に買い戻されることとなった。 Avis Europeの買収は、$30m以上のシナジーを生むだろう。 この動きは、AvisがDollar Thriftyの買収競争から撤退する動きと見られている。 しかし 関係筋は、AvisはDollarの買収撤退を決定した訳ではないと言っている。(FT.com, 6/14/2011)
(2)ボンバルディア、ジーメンスに敗れる
英国の鉄道車両の競争入札で、Bombardier Transportation(加)がSiemens(独)のコンソーシアムに敗れた。 これは、2015年に £3.5bnをかけて整備されるロンドンの南北ルートの鉄道に使用される1,200台の車両の £3bnにおよぶ商談。 Siemensは、昨年Eurostarの €600mの新車両商談についても勝っている。 英国唯一の鉄道車両工場であるDerbyのBombardier工場の今後が懸念されている。(FT.com, 6/16/2011)
(3)米下院共和党議員がアムトラックの独占批判
米下院共和党議員が、外資を含む他の民間入札者を募って 事実上米旅客鉄道を独占しているAmtrakを分解するべきだと主張している。 彼らは競争を導入して非効率なAmtrak(北東回廊のAcela特急は平均時速85マイル≒134kmしかでない)の抜本的な改善をはかるべきだと言っている。 Richard BransonのVirgin Trainsは、北東回廊への参入に興味を示している。 Siemens(独)、Alstom(仏)、Bombardier(加)、Patentes Talgo(西)は、米鉄道車両開発に投資しており、更に米国における事業の拡大に努力している。 しかし、オバマ政権、民主党が支配している上院、組合は、この計画に反対している。 Amtrakは、$117bnをかけた30年計画で時速220マイル≒350kmと営業利益 $900mを達成する。 下院共和党議員は、北東回廊に競争を導入すれば、この計画を10年で達成できると言っている。(wsj.com, 6/16/2011)
ホテル & リゾート
(1)フィリピンでカジノ紛争
Ø フィリピンでカジノを運営しているThunderbird Resorts(Euronext上場企業)が、当局Philippine Amusement and Gaming Corp(PAGCOR)とカジノライセンスの更新で争っている。(PAGCOR自身もカジノを運営している) Thunderbirdは、ラ米とアジアでホテルとカジノ運営している。 フィリピンの2つのカジノは、379賭博テーブルと738台のスロットマシンを有し、Thunderbirdの海外収入の45%を構成している。
Ø PAGCORは、Thunderbirdのライセンス更新に際して地元からの収入を25%から40%に拡大することを要求したが、Thunderbirdがこれを拒否したために同社の2つのカジノの6月7日以降の営業停止を求めた。
Ø Thunderbirdは、この営業停止命令の17日間の差し止めを裁判所に要求した。 マニラの裁判所は、今週Thunderbirdの申し立てを聞くこととなっている。 そして同社のライセンスの有効性についても審査することとなった。
Ø PAGCORとThunderbirdの紛争が、地元カジノの株価を押し下げている。 マニラ湾沿いに $1bnのカジノを建設する計画を有しているBelle Corpの株価は 先週より▲4%低下した。 Star Cruiseと提携しているAlliance Global(賭博テーブル300台とスロットマシン1,500台保有しているマニラ最大カジノ)の株価は、6月9日に▲3%低下した。
(FT.com, 6/12/2011)
(2)ニューヨークのカプセルホテル
Times Square WestのYotel New York(669室pod hotel)が、10番街と42ストリートで今月開業した。 この日本のカプセルホテル型のホテルは、英国とアムステルダムの空港に開業したYo社の格安ホテルだ。 Expediaで検索すると7月1日〜3日に2泊でプレミアムクイーンの2人部屋 $431.01が $243.03になっている。(1人1泊 11,927円より とも表示される)(hotelnewsnow.com, 6/13/2011)
このホテルの実際は、http://www.yotel.com/Hotels/New%20York%20City.aspxを参照。
(3)米ホテルの客室レート上昇
米ホテルの客室レートが回復している。 4月のADRが +2.8%上昇して平均 $100.55となった。(Smith Travel Research調) オキュパンシーは +2.9%ポイント増の61.2%となった。 平均RevPARは、+7.9%増の $61.51となった。(wsj.com, 6/15/2011)
(4)オバマ政権、インディアン部族の自治区以外のカジノ建設容認
米内務省インディアン局が、部族の自治区以外のカジノ建設をケースバイケースで容認することとなった。 今までは自治区から至近距離以内でしかカジノ建設ができなかった。 この方針変更により部族の経済活性化に繋がると期待されている。(wsj.com, 6/15/2011)
(5)マリーナベイサンズの商業モール販売禁止
Singapore Tourism Boardは、Las Vegas Sands Corp.のMarina Bay Sands商業モールの販売を2017年まで許可しないと語った。 排他的期間の10年間は、如何なる資産の売却も許されないとSTBは言っている。 これに先立って、Las Vegas SandsのCOOは、2013年〜2014年にMarina Sandsの800,000sqftの商業モールを $4bnで売却するとコメントしていた。 Marina Sandsのスポークスマンは、COOは取り極めの存在をうっかり忘れて発言してしまったと釈明している。 Marina Bay Sandsは昨年4月に開業し、第1四半期で記録的な収入 $584.9mと営業利益 $196.7mを計上している。(wsj.com, 6/16/2011)
(6)メルコがマカオ プロジェクトの支配権獲得
Melco Crown Entertainmentが、マカオのCotai地区におけるMacao Studio City開発プロジェクトの支配権を $360mで買収した。 このプロジェクトは、2009年に2,000室と200,000sqftのショッピングモールを有したカジノを建設する予定であったが、資金供出者間の争いで計画が中断されたままになっていた。 Melcoは、eSun Holdings(香港証取上場)が率いる合弁企業が保有している60%の権利を $260で買収することに合意した。 残る40%は、米投資会社のOaktree Capital ManagementとSilver Point Capitalの合弁企業New Cotai Holdingsが保有している。 Melcoは、このNew Cotai Holdingsにも $100mの現金を2年間に亘って支払う。 Melcoは、マカオ賭博王Stanley Hoの息子のLawrence Hoと豪州のカジノとメディア王であるKerry Packerの息子James Packerの合弁企業である。 Cotai地区の新プロジェクトには、SJM Holdings, Wynn Macau, MGM China Holdingsなどの計画が目白押しだ。 Melcoが獲得したMacao Studio Cityは、当初計画では2009年完成を予定していたもので(その前提でマカオ特別政府より土地値用許可を既に取得している)ので、アナリストたちはライバルのプロジェクトに先んじて営業開始に漕ぎ着けることができると予想している。 そうなれば、Melcoのマカオ賭博市場におけるポジションは、極めて強化されるだろう。 Melco CEO Lawrence Hoは、Macao Studio Cityは、完成までに更に $1.7bnの資金を必要とするだろうと述べている。(wsj.com, 6/16/2011)
その他
(1)デイリーディールが地元の広告を押し上げている
Web企業のFacebook, Google, Grouponが、地方の広告収入(local ad revenue)を増加させている。 2011年には、全米ベース広告収入の半分を超えて $160bnに達するだろう。
(wsj.com, 6/14/2011)
(2)米でオンライン税 浮上
Ø 米国ではインターネット コマースに課税する連邦税法が存在しない。
Ø 財政的に困窮している7つの州政府が、2008年からインターネット販売に消費税を課した。
Ø Amazonは、課税に反対しているが、シンプルで公平であれば連邦税法による課税はやむを得ないと言っている。
Ø しかしeBayは、インターネット販売への包括的課税に兎に角反対のポジションだ。
Ø Credit Swissのアナリストは、インターネット販売に課税された場合は、Amazonの収入が▲2.7%(▲$653m)低下すると予想している。
Ø 小売りジャイアンツのWal-Mart, Target, Sears Best Buyは、インターネット販売への課税を強化して、B&M販売との同一の課税基準にするべきだと主張している。
(FT.com, 6/12/2011)
編集後記
航空会社とGDSの戦争(3)
航空会社から戦争を仕掛けられているGDSは、航空会社向けITソリューション事業拡大とリテール部門の資産売却を行なっている。
Amadeusの2010年次報告書によると、GDS収入(Distribution)が全体の74%を構成している。 ITソリューションは22%で オンライン旅行会社のOpodoは4%を構成している。 しかし、各セグメントの営業利益ベースでは、ITソリューションの貢献が30%に拡大する。 ITソリューションのマージンが、Distributionよりも高いことがここから伺える。 Amadeusは、このマージンの高いIT Solution(主力商品はAmadeus Altea)を拡大し採算性を向上させる戦略を有している。 ANAとKEは、Amadeus Alteaシステムの採用を決定している。
そして、Distribution事業で利害のコンフリクト*が発生するリスクを抱えているリテールのOpodo(オンライン旅行会社=OTA)を €450mでプライベート・エクイティー企業のAxa PE(仏)とPermira(英)の合弁企業に2011年2月に売却した。 Amadeusは、2011年1月に、米国で保有していたコンソーシャのvacation.com(5,100の旅行会社ロケーションを保有)についても売却した。(*Opodoは、GDS Distribution事業の顧客である旅行会社とライバル関係になってしまう。)
そして、Amadeusは、2010年4月にMAD証取に上場して €1.32bnの資金を調達した。
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単位:€ Million |
2010 Result |
vs 2009 |
2010 Contribution/ EBITDA |
vs 2009 |
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GDS Distribution収入 |
1,992.2 |
8.5% |
926.3 |
+6.1% |
|
IT Solutions 収入 |
601.4 |
17.7% |
409.5 |
+21.8% |
|
OTA Opodo収入 |
111.7 |
13.4% |
36.5 |
+46.8% |
|
社内取引 |
22.0 |
5.1% |
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収 入 合 計 |
2,683.3 |
10.6% |
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営業 利益 |
637.4 |
22.8% |
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当期 利益 |
383.8 |
42.8% |
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Travelportの場合は、次の通りとなっている。
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単位:$ Million |
2010 Result |
vs 2009 |
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Transaction Processing |
1,797 |
+2.2% |
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Airline IT Solutions |
199 |
▲10.7% |
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GDS Revenue |
1,996 |
+0.7% |
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GTA Revenue |
294 |
+10.1% |
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収入 合計 |
2,290 |
+1.8% |
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営業 利益 |
314 |
▲499 |
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当期 利益 |
▲43 |
▲871 |
Travelportの場合は、Transaction ProcessingとIT Solutions別の利益貢献度が不明であるので何とも言えないが、おそらくIT Solutionsのマージンが勝っていると思われる。 しかし、ここで注意を要するのはIT Solutionsの収入構成比がAmadeusに比して1/2と小さいことである。 IT Solutionsの収入構成比は、2010年で8.6%、2009年では9.9%で、Amadeusの20%以上のおよそ半分となっている。 それだけTravelportのGDS事業への依存が大きいこととなる。 2010年のTravelportのIT Solutionsの収入が▲10.7%減少した理由は、DLのNW買収によるものである。 COと合併したUAは、TravelportのGDS ApolloからCOのEDS/SHARESに移行するので、2012年3月以降のTravelportのIT Solutionsの収入は更に低下することになる。
Travelportは、Orbitzを2007年7月に分社後上場*して、現在はその株式を約48%保有している。(2007年の最悪の上場ケースと言われている) そしてGTA(Gulliver Travel Associates)を スイスのKuoniに $720mで2011年3月に売却した。 Travelportは、Amadeusと同様にリテール事業部門の資産を処分している。 しかしAmadeusと大きく異なる点は、Travelportにとって不幸なことに、2011年2月に上場に失敗したことである。 投資家は、TravelportのGDS事業に集中しているポートフォリオを嫌ったのかもしれない。
Sabreは、非上場企業なので財務状況を公開していない。 Sabreも、昨年9月に米ホスト旅行会社事業のNexionを売却したがOTAのTravelocityは継続して保有している。 Sabreの産みの親であるAAは、2014〜2015年に同社のPSSを Sabre Airline SolutionsからHPのJetstreamに移行する。
三大GDSであるAmadeus, Sabre, Travelport GDS(Galileo, Worldspan)は、全社がprivate equity企業に買収されている。 PE企業は、安定的に航空会社から収入(日銭)を稼げるGDSを格好の投資対象と考えたのだ。 GDSのレガシーシステムについては、"償却の終わったコストがほとんどかからない金のなる木"と考えたとしても不思議ではない。 しかし、その思惑が少しズレ始めている。
単位:百万ドル
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GDS |
買収者 |
買収額 |
買収年 |
備 考 |
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Amadeus |
Cinven BC Partners |
5,772 |
05年5月 |
2010年4月上場成功 |
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Travelport (Galileo) |
Blackstone Technology Crossover |
4.179 |
06年8月 |
2010年2月上場失敗 |
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Sabre |
TPG Silver Lake |
4,900 |
07年3月 |
上場計画検討中? |
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Worldspan |
Travelport (Blackstone) |
1,400 |
07年8月 |
Galileoに統合か? |
TravelportとSabreを買収したプラクィベート・エクイティーの各社は、出口戦略を見失って困っているようだ。 GDSの航空会社との戦争も、かれらの出口戦略策定に大きく影響するだろう。 そしてGoogleのITA Softwareの買収も影響を及ぼすだろう。
(H.U.)
(以上)