TOP PAGE

旅行流通速報 Vol. 490号

|

 

1.  アメリカン航空、GDS契約更改できるか

2.  中国 富裕旅行者 増加

3.  或る米国在宅旅行会社のフィー収入の実態

4.  FT社説:中国の高速鉄道惨事

5.  其の他のニュース

6.  編集後記

「トラベル・サプライチェーンの進化」

 

 

1. アメリカン航空、GDS契約更改できるか

 

AAは、証券取引委員会に提出した資料の中で、休戦協定(Stand Down Agreement)の失効後、Sabre78日からAA便の予約に対してより高いか或は新しいブッキングフィー(BF)を課していると述べている。(裁判資料によれば、AASabre経由の売上は昨年 $7.7bnで、メインライン旅客収入の $16.8bnの約45%を構成している。)

 

過去の経緯は次の通りである。

(1)20111月、SabreAA便のGDS経由予約に対して より高いBFを課した。

(2)AAは、Sabre利用旅行会社に対して、より高いBFを相殺するために サーチャージ(Source Premium)の徴収を開始した。

(3)裁判所は、61日まで、訴訟を回避して相互に話し合いによる解決に努力することを命じた。 すなわち"休戦協定"が発効した。

(4)61日に、AASabreが解決の糸口すら見つけられないまま 休戦協定が失効した。 しかし、両社の契約更改の話し合いは継続されている。

(5)AAは、休戦協定が失効したその日に、4月のTravelportOrbitzを独占禁止法違反で訴えた裁判の被告にSabreを加えた。 同時にSabreも、AAを競争法違反で訴えた。

(6)AAは、78日からSabreAA便予約に対してより高いBFを課していると言っている。

 

AASabre, Travelport (ApolloGalileo), Amadeusとのfull-content agreementは、揃って831日に失効する。 AA3GDSとの契約更改に失敗すれば、AAの収入は大きな影響を受けるだろう。 それでなくてもAAは、今年第1四半期から米主要航空会社の中で唯一連続して欠損を計上している。 GDS契約の帰趨は、AAの収支にも限りなく大きな影響を与える筈だ。 AA CEO Gerald Arpeyは、「極めて大きな影響があるからこそ、独占的なGDSとの訴訟を開始しているのだ」と言っている。

 

AATravelportとの関係は、次の通りに整理される。

AAWorldspanとのfill-content agreementは、来週731日に失効する。 失効すれば、Worldspanの顧客は、Worldspan Super AccessによるAA便予約が出来なくなる。(Galileoとの契約が失効すれば、Galileo Content Continuity Programによる予約が出来なくなる。) これらのプログラムは、2006年のGDS契約更改時に、オプトイン手数料の支払いとの引換えにフルコンテンツを保証するために導入されたものである。

 

The Beat誌が入手した722日付けのTravelportのこの件に関する旅行会社に宛てたメモは、「Worldspanは契約失効後もAAがフルコンテンツの提供を継続することを希望する」、「Worldspanは、AA便のGDS掲載を継続する用意がある」と言っている。 Worldspanを利用している旅行会社にとってはグッドニュースであるけれども、これは経済的には悪いニュースになるかもしれない。 AAは、同社のWebサイトで 旅行会社にセグメント当り $5.50のサーチャージ(Source Premiumチャージ)を徴収すると言っているからだ。

 

Worldspanとの契約更改が失敗した場合に、このAASource Premiumが旅行会社に課されるかどうかはハッキリしていない。 Travelportは、AASource Premiumを導入するならば、TravelportAA便予約に対するBFを劇的に値上げすると同時に そのリスティング優先順位にバイアスをかけるとAAに通告済みだ。

そしてTravelportのメモは、「AAが法人取扱旅行会社(TMC)に対して、"reverse GDS agreement"をTravelportと契約することを奨励しているようだが、このような取り極めには対応しない」と言っている。

 

"reverse GDS agreement"とは、航空会社が旅行会社に支払い(GDSインセンティブに代わって)、旅行会社がGDSにいくらかのフィー(BF)を支払い、そしてGDSが航空会社と新たな関係を結ぶ・・・というシステムである。

 

しかし、先週開示された裁判所の資料の中には、TravelportAA便のGDS掲載を2012131日まで継続することに合意したとも書いてある。 その一方で、AATMCに対してGDS以外によるAA便予約の方法を説明している。 AAGDS契約が失効寸前になっているにも拘わらず、AAGDSの戦況は、ますます複雑化して混沌となっている。

 

(このレポートは、Travel Market Report, Travel Weekly, Tnooz各誌の先週リリースしたニュースから編集した。)

 

 

 

travelweekly.com, 7/27/2011

2. China expected to produce more luxury travelers

 中国富裕旅行者 増加

 

中国、インド、ロシアの富裕旅行者が増加している。

International Luxury Travel Marketの"The Future of Luxury Travel, A Global Trends Report"によれば、この富裕旅行者は

 

Ø   自然に親しむことができる観光地の豪州やNZの旅行を好んでいる

Ø   コスタリカの"eco-lodges"やモッロコの中庭を有するriadsを含む伝統的なオーセンティックな宿泊施設が好まれている

Ø   中国の海外渡航者数は、2020年に1億人に達するだろう

Ø   中国の富裕旅行者の目的地に関する知識豊富を侮ってはいけない

Ø   彼らは、パタゴニアやアフリカの一部への旅行も希望している

Ø   そして、複数世代で旅行するのでビラタイプのアコモデーション(続き部屋)を備えたリゾートを欲している

 

ILTMの富裕旅行者の定義は、

 

Ø   スーパーリッチ(少なくとも資産 $30m以上)90,000人と、アクセッシブル富裕旅行者(少なくとも年収 $100,000

Ø   2/3が、少なくとも年4 平均旅行日数10日の旅行を実施し

Ø   ほとんど1/4が、1回の旅行に $20,000を消費している

Ø   半分以上が45歳〜54歳であるが、35歳〜44歳のグループの成長が早い

 

宿泊施設では、世界の2,000万のホテル客室の1%が"豪華"にランクされる。 料金は、アップスケール チェーンのHilton4倍、中級の欧州のNovotel11倍となる。

 

 

 

Travel Market Report, 7/28/2011

3. Agency's Fees Deliver 25% of Total Revenue

 或る米国在宅旅行会社のフィー収入の実態

 

テキサス州ArlingtonHorizons Unlimited Travelは、在宅旅行会社、独立コントラクター7人保有、レジャー旅行収入95%、創立後11年、親会社TRAVELSAVERSのプロフィールを持つ。 このホームベース旅行会社では、顧客からサービスフィーを徴収している。 その実態は以下の通りだ。

 

Ø   航空券、ホテル予約、レンタカー、コンセルジェのタイプのサービスに固定料金のフィーを徴収している。 この他に、カスタム旅行の手配には、時間単位のリサーチフィーを徴収している。

Ø   フィー収入は、全収入の約25%を構成している。

Ø   フィー収入が少なくなることを希望している。 ツアーやパッケージやクルーズの予約が専門だからだ。

Ø   だれも只働きはしないのだから、顧客は 好んで払ってくれる訳ではないが、フィー徴収に理解を示している。

Ø   時間当たりのフィーは $250をとっている。 マスター クルーズ カウンセラー(MCC)と、サーティファイド トラベル カウンセラー(CTC)と経済学士、MBAの資格を有しているのだからそれだけの値段となる。

Ø   フィーを徴収してからは、冷やかし旅客がいなくなった。 取り扱う顧客の略全てがビジネスに結びついている。

Ø   フィーの徴収で困っていることは2つある。 1つは、インデペンデント コントラクターの中に古い考えを持っている人が居ることだ。 彼らは、予約手配サービスは無料で実施するべきだと未だに考えている。

Ø   2つ目は、テクノロジーの問題だ。 フィー料金の徴収は、マーチャントフィーとして価格に組み込むか、ARCAgent's Choiceによって精算するかの方法がある。 現在では、全てをAgent's Choiceで決済している。

 

 

 

FT.com, 7/27/2011

4. China's rail disaster

 FT社説 中国の高速鉄道惨事

 

先週の中国弾丸2列車の衝突事故は、基本的には人災だ。 多くの人命が奪われた。 そして、事故以来 この国の人々は 生存者たちの恐ろしい体験談に釘付けになっている。

 

人的被害以上に、この事故は中国の急速な近代化を傷つける欠陥の幾つかに光を当てると同時に、目覚ましい成長の永続性についての疑問を惹起させている。

 

中国は、最新の産業経済の輝かしい成果を獲得したのかもしれないが、それに適合するガバナンス システムを開発していない。 権力(Power)は、国家や生産者のそれに拘わらず、依然として言論や結社などに関する公衆の自由によってほとんど抑制されていない。 報道機関のアカンタビリティーは規制されている。 投票による民意の反映は存在しないのだ。

 

この状況は、中国の人々の福祉を損なっている。 赤ん坊の粉ミルク汚染、2008年の四川省の地震による学校校舎の崩壊(支庁の汚職による手抜き工事が原因とされている)を考えてみたら良い。

 

同じような病巣が、広く敷設された高速鉄道計画にも巣くっているようだ。 計画の責任者である大臣が、今年初め、「規律違反」と言う婉曲的表現でもって計画的汚職の噂の渦中に更迭されている。 外国の公職者や幹部は、中国が自力で開発したと言っている国産鉄道技術は外国のそれをベースにしたもので、設計能力を上回るスピードで走らせていると警告していた。 工事期間中の建設業者による多額の資金のピンハネの話は、後をたたないほど多く存在している。

 

安全性維持失敗や汚職発生は、勿論 西側にも存在するが、これらの諸国では失敗を矯正する組織的メカニズムが存在している。 北京には、未だに このシステムが存在していない。 高速鉄道プロジェクトは、単独の計画で存在しているのではなくて、金融危機後の成長を維持するための国家の経済活性化政策の一環に位置づけられている。 今回の鉄道事故は、この予算がどのように良好に投資されたのかについても疑問を投げかけている。

 

依然として貧しい国に異常に高額な高速鉄道旅行の必要性とか、都市の郊外に駅を設置した見識を批判者たちが疑った際には、彼らは中国の将来の成長ための新たなインフラの先行投資が必要なのだと言われた。 これらの主張は色褪せているようだ。 そして、経済の重心の法則を寄せ付けず、他国を追い抜き、他国がかって実施したよりも早いペースでバリューチェーンを作り上げる 中国の野望的計画が色褪せているようだ。

 

 

 

5. 其の他のニュース

 

 

 旅行流通・TD

 

(1)グーグル、全ての第三者レビュー掲載中止

Googleが、ホテル、レストラン、その他のサービスに関する第三者レビューサイトのレビューの全てを、Google MapsGoogle Placesのページから削除した。 今後は、Googleのユーザーが投稿するレビューのみがGoogle MapsPalacesに掲載される。

TripAdvisorは、Googleの検索アルゴリズムがGoogleコンテンツ優先にバイアスがかけられているとして、既にGoogleに対するレビューの提供を中止している。(travelweekly.com, 7/22/2011

 

(2)ホリデーブレイク株急騰

学校旅行と週末ゲッタウエーのオーガナイザーHolidaybreak(英)の株価が +15%急騰した。 インドのCox & Kingsへの身売り情報が流れているため。 Holidaybreakは、先月、上半期の収入 £140mと税前損失▲£19.2mを計上した。(FT.com, 7/25/2011)

 

(3)エアビーエヌビー、1.12億ドル調達

旅行者に、全世界のプライベートの家や部屋を貸すP2PサイトAirBnB(本社SFO)が、今週、自社のバリューを $1.3bnと見積もって $112mの資金を調達した。 ベンチャーキャピタルのAndreessen Horowitz, Digital Sky Technologies, General Catalystがこのファンディングに参加した。 この新興オンラインサイトは、EBayスタイルのプライベートホームの所有者と短期旅行者を結びつける仲介業者だ。 2008年に設立後、未だ3年しか経っていないが、既に200万泊を販売している。 AirBnBの収入の55%は、海外旅行者からだ。 同社は、獲得した資金で特に欧州展開を強化する。 ドイツの9flatsWimduとの競争激化が予想される。(FT.com, 7/35/3011)

 

(4)トラベルポート、フロンティア航空とフルコンテンツ契約締結

Travelportが、Frontier航空と新たな複数年のfull content agreementを締結した。 Frontierは、この契約により同社のSTRETCH座席やBranded Faresの新マーチャンダイジング商品群をTravelportUniversal Desktopで販売することが可能になる。(Travel Agent Central, 7/26/2011)

 

 (5)キューバ旅行規制緩和でツアー販売増

米国人のキューバ訪問(people-to-people visit)が許可された。 米財務省は、このpurposeful travelをオーガナイズする略30団体にキューバ旅行のライセンスを発給した。 Insight Cuba, Harvard Alumni Association, Abercrombie & Kentなどのオーガナイザーがキューバツアーを造成している。 昨年のCuba-Americanのキューバ訪問者数は、チャーター航空会社によれば推定320,000人だ。(Cuba-Americanのキューバ渡航は自由化されている。) 米国人のキューバ訪問者数は63,000人だ。 来年は、大きな需要増が期待されている。(The Miami Herald, 7/26/2011)

 

(6)FAA機能一部停止で、航空会社が航空券税 棚ぼた収入化

下院共和党と上院民主党の、Essential Air Service路線の一部廃止を巡る政争の影響で、米議会がFAAreauthorization法案の期限内の可決に失敗した。 このため、FAAの一部機能(航空券税の徴税や空港建設費の支出など)が停止してしまった。 航空会社は、航空券税(券面運賃額×7.5%)と国内セグメント税 $3.70と国際セグメント税 $16.30の徴収義務がなくなった。 航空会社は、税額分に相当する運賃値上げを実施して、その分の棚ぼた収入を稼いでいる。 これらの税収は、1日当り $25m$30mになると推定されている。 既に支払っている旅客はIRSへ払戻請求がかけられる。(travelweekly.com, 7/28/2011)

 

(7)グーグルは経済に悪い影響を及ばす

GoogleITA Softwareの買収に反対して結成されたFairSearchが委嘱した調査が、面白いことを言っている。 調査は、「Googleは、2009年と2010年に $54bn $64bnの経済に貢献したと言っているが、市場支配権の濫用とその力を勘案すると、実際はその逆で寧ろマイナスの効果しか与えていない」と報告している。 Googleの市場支配が余りにも大きいために、全てがGoogleから始まることになる。 つまり広告主は、Googleへの広告出稿をせざるを得ない状況が創り出されているというのだ。 広告主にとっては、Googleの広告費が"税金"となっている。 より競争的な環境であれば、より公平な市場が生まれているだろうとFairSearchは述べている。(Tnooz, 7/27/2011)

 

(8)アジアの法人旅行者、香港とシンガポール出張

Accorのアジアのクラブ会員(法人旅行者)10,437人を調査したところ、彼らの38%が今年上半期に香港とシンガポールに旅行(出張)していることが判明した。 香港の法人旅行者は、中国大陸とシンガポールに最も多く出張している。 シンガポールの出張者は、マレーシア、タイ、中国大陸に行っている。 中国大陸出張者の73%が香港にも立ち寄っている。(the standard, 7/27/2011)

 

(9)モバイル プラットフォーム

米大手旅行コンサルタントのフォーカスライト(PhoCusWright)が最近発行した「Consumer Travel Report」の中で、旅行者の13%がモバイルで旅行の目的地を決定していると報告している。 モバイルの旅行アプリケーションの使用が、伝統的な情報ソースのパンフレットや旅行ガイドブックなどの紙媒体の利用を上回っていると言っている。(Travel Market Report, 7/28/2011)

 

10)エクスペディアの第2四半期増益達成

Expediaの第2四半期決算が、$140mの利益計上(増益 +23%)となった。

 

  exp110801.png  

国内収入は +10%増、海外収入は +37%増、内際比率は62:38となった。 ホテル収入は全収入の65%を構成している。 広告とメディア収入は、13%となった。(expediainc.com, 7/28/2011)

 

11)中国 百度、去哪儿でホテル検索強化

中国のBaiduがメタサーチのQunar.com $306mで買収した。 Baiduは、自社サイトの中にQunarの予約エンジンを利用したホテル検索ツールを立ち上げる。

百度の第2四半期は、収入が34.2 億元(410億円)に +78%増、利益が16.3億元にほぼ倍増した。(Tnooz, 7/28/2011) (wsj.com, 7/25/2011)

 

12)米航空運賃上昇

米運輸省統計によると、需要の回復と絞り気味の供給により、米国の国内線平均運賃が2011年第1四半期で +8.4%増の $356となった。 第1四半期の運賃では、史上最高となった。 年間ベースでも2008年の夏の史上最高値 $359に近づきつつある。 第1四半期の空港別の最高値は $477HOUGeorge Bush International Airport。 最低値は $172N.J.Atlantic City International Airport。 1995年を100とした場合の物価調整運賃は81.1(▲19%)となる。(LAX Times, 7/28/2011)

 

  usf110801.png

  

  

13)グーグル、オンライン旅行会社広告をホテル検索ツールに掲載

Googleが、Google Hotel Finderを試験している。 ここに、オンライン旅行会社(OTA)の広告とGoogle Placesのレビューを掲載している。 Googleが航空便検索に加えてホテル検索にも本格的に取り組み出している。(Tnooz, 7/28/2011)

 

Las Vegasと入力すると下の画面が出て来る。 左端にエリアのマップが掲載されている。)

 

  lv110801.png

 

  

("edit shape"をクリックして、ホテルの場所を狭めることもできる。)

 

  es110801.png

 

 

  

14)ホテルの予約パーターン(INFOGRAPHICS

 

bp110801.png

(Tnooz, 7/29/2011)

 

 

 

 空 運

 

【共 通】

 

(1)米国、EUの排ガス取引制度の航空機適用に反対

EUは、来年1月よりEU域内を発着する航空機に対して排ガス取引制度(European Emissions Trading System)を適用する。

2004年と2006年の排ガス量の▲3%削減した以上のCO2を排出する航空機は、その分の排出権を購入しなければならなくなる。

米国航空会社は、これにより年間 $3.1bnの出費を余儀なくされるだろう。 LON-NYC片道運賃を +$57値上げさせることになる。

米国とその航空会社は、EUの一方的な規制に猛反発している。 米政府は、EUの国際法違反となるETSの導入計画に対して公式に抗議した。 米航空会社団体は、欧州高等裁判所にETS導入の差し止めを要求した。

欧州は、京都議定書に基づいて2005年から排ガスを抑制している。(米国は京都議定書を批准していない) 英国では、厳しい排ガス規制の法律を作っている。

英国政府は、昨年LHR3本目の滑走建設を中止した。 VodafoneAvevaの英国企業は、航空機利用の出張を抑制し始めている。(nytimes.com, 7/27/2011)

 

 

【米 州】

 

 (1)米主要航空会社 2四半期決算 増収減益

Southwestを除く米主要航空会社6社の第2四半期決算が発表された。 燃油費の高騰で全社が減益となった。 AAが唯一欠損を計上した。(出典:各社プレスリリース)

 

単位:US$ Million ( )内は前年同期値若しくは比

 

 

ASM (10)

燃油費

損 益

除特別勘定

UA

9,809 (+10%)

65.0(+1.0%)

3,227(+30%)

538 (611)

577 (746)

DL

9,153 (+12%)

60.1(+2.5%)

2,663(+36%)

198 (467)

366 (549)

AA

6,114 (+ 8%)

42.6(+3.0%)

2,202(+33%)

-286 (-11)

-286 (-11)

US

3,503 (+10%)

22.8(+3.3%)

948 (+54%)

92 (279)

106 (265)

WN

8月4日発表

8月4日発表

8月4日発表

8月4日発表

8月4日発表

B6

1,151 (+22%)

9.4 (+8.7%)

439 (+58%)

25 (31)

25 (31)

AS

1,110 (+14%)

7.5 (+7.2%)

394 (+54.4)

28.8 (58.6)

89.6(84.0)

 

WN=Southwest, B6=jetBlue, AL=Alaska, FL=AirTran

ASMは、システムワイド データ(即ちリジョナル込み)

 

 

(2)航空会社 セキュリティーフィー値上げに反対

米航空会社が、政府の空港セキュリティーフィーの値上げに反対している。 債務問題を抱える政府は、現在1人当り最高で往復 $10を徴収している米国土安全保障省 運輸保安局(TSA)の空港セキュリティーフィーの値上げを計画している。 向こう10年間で +$15bnの税収増加を目論んでいる。 これに対して、航空会社が反発している。 現在航空会社は、年間 $1.8bnに上るセキュリティー コストの40%を負担している。 そして税金などと併せて 平均的な $300の往復運賃の約20%を既に政府に支払っている。(msnbc.com, 7/24/2011)

 

(3)ジェットブルー、ブルーパス乗り放題導入

JetBlueが、BOSLong Beachから3ヶ月間 乗り放題できるBluePassを導入した。 BOS発着全路線のBoston All $1,999BOSから13都市のBoston Select $1,499Long Beachから9都市のLong Beach Select $1,299で販売する。 これは、2010年のJetBlue All You Can Get Jet Passに酷似している。 販売は、売り切れとならなければ831日まで。 パスの有効期間は、822日〜1122日まで。 売り出しは728日からで、予約は815日に利用可能。 予約は便出発の90分前まで可能で、予約変更は無料。 但し、7日間で2回ノーショーすると $100のペナルティーが取られる。 GDSは、この商品を取り扱えない。(Tnooz, 7/28/2011)

 

  jbp110801.png

 

 

(4)航空会社、運輸省の運賃広告規則の廃止を裁判所に要求

Southwest, Spirit, Allegiantの航空会社が、税やフィーを加算した総額運賃表示を義務づけた、」米運輸省の新たな規則の廃止をU.S. Court of Appeal for the D.C. Circuitに求めた。 この3社は、現在の規則がどのように消費者の利便を損なっているのかが証明できていないと主張している。 即ち、運輸省の新規則導入のメリットが存在しないと言っている。 Southwestでは、この新規則へ対応するためにシステムの変更が必要になり、その開発コストが $30mに上る。 SpiritAllegiantは、現在の運賃+航空券税7.5%の脇にその他の政府諸税やフィーを並べて表示する方法が、LCCにとっては極めて重要であると言っている。(travelweekly.com, 7/25/2011)

 

(5)ボーイング第2四半期決算 増収増益

ボーイングの第2四半期決算が増収増益となった。 B787B747-8の大幅デリバリー遅れのために、2011年通期のデリバリー機数は、500機から495機に減少する見込みだ。 B787の受注残は、前期末より▲8機減少して827機となっている。 ボーイングは、当初方針を変更してB737のエンジン換装機の開発に取り組む。 ボーイングは、この決定に6ヶ月以上をかけた。 その間にライバル社のエアバスのリエンジン機A320neoの受注に大きく水を開けられてしまった。 ボーイングはドジを踏んだ。

 

単位:USD 000,000(下段は2010年第2四半期)

 

収入

営業利益

利益

民間部門

軍用部門

デリバリー

負債

16,543

1,534

941

8.843

7.688

118

11.6bn

+6%

+17%

+20%

+19%

4%

114

11.7bn

 

(channelnewsasia.com, 7/28/2011)

 

(6)コンチネンタル航空、パイロット不足で▲24便欠航

727日、CO航空でパイロットの大量病欠発生で▲24便が欠航した。 UA/COでは、パイロット組合の統合が進んでいない。 会社とパイロット組合の労使間の関係が悪くなっている。 UA/COは、シニオリティーリストの統合に苦労している。 年内には統合できないだろう。(wsj.com, 7/28/2011)

 

 

【欧州&アフリカ】

 

(1)フランス事故調査委員会、エールフランス機事故報告

2009年に発生したブラジル沖大西洋上墜落したAF447便の事故(228名全員死亡)の調査委員会は、729日、航空安全当局に対してパイロットの訓練の再検討を提案した。 この事故は、速度計の異常(ピート管が凍結)に気を取られたパイロットが、操縦桿を引いて失速したA330機の機首を持ち上げたパイロットエラーが指摘されている。 事故調査委員会は、高高度における失速時の訓練を見直すべきだと言っている。 エンジンやその他の異常がなかったので、パイロットが適確な訓練を受けていれば事故は防げた可能性があると言っている。 AFと保険会社のAXA SAは、遺族に対して 126,000の補償金を暫定的に支払った。 事故機の原因が確定すれば、賠償金はさらに高額になるだろう。(wsj.com, 7/29/2011

 

(2)ライアン航空 第1四半期の利益 139.3m

Ryanairの第1四半期利益が 139.3mとなった。 これは前年同期比 +49%の増益であるが、昨年はアイスランド火山爆発による空港閉鎖の影響があり単純には比較できない問題がある。 Ryanairは、一部路線で座席指定(€1024席のextra-leg-room)を試験している。 結果が良好であれば、全路線に拡大する。

Ryanairは、STN空港を管理しているBAAが市場支配権を濫用して空港使用料を不当に値上げしていると当局にクレームしている。 STNは、過去5年間で料金を1人当り€3.30から 6.60に倍増した。 その間のトラフィックは▲24%減少している。 Ryanairは、需要が減少している時に料金を値上げできるのは独占企業でしか起こりえないと苦情している。

英競争審議会は、空港間の競争を促進させるために、BAAに対してSTNとスコットランドの1空港の売却を命令している。 BAAは、この命令を不服として多分控訴するだろう。 この結果は2012年までかかるだろう。 BAAの今年6ヶ月間の損失は、前年同期の▲£167.4mから▲£116.9mに損失幅が縮小した。(FT.com, 7/26-27/2011)

 

(3)ルフトハンザの厳しい年度見通し

LHは、2012年度見通しが厳しいものになると警告した。 燃油費の高騰に加え、北アフリカや中東の社会不安、それに日本の震災が収入に影響するだろう。 子会社のAustria航空の上半期は▲€64m(前年同期▲€70m)と損失が継続している。 BMIでは▲€120mに前年同期の▲€93mから 損失幅が拡大している。(wsj.com, 7/28/2011)

 

(4)IAGBA+IB)好決算

International Consolidated Airlines Groupが、上半期決算で税前利益 39mを計上した。

 

収入

営業利益

税前利益

燃油費

Cost other than fuel

7.77bn

88m

39m (ex: spcl)

2.44bn

 

+17.9%

▲€309m

▲€419m

+34.8%

5.6%

 

(wsj.com, 7/29/2011)

 

(5)EADSドル安為替差損で減益▲41%

EADSの第1四半期決算が 109mの利益計上となった。 前年同期比▲41%減益となった。 子会社のエアバス社の受注増が、収支を支えている。

 

収入

Underlying営業利益

利益

デリバリー

21.9bn

720m

109m

エアバス520~530

+8%

640m

185m

 

 

(wsj.com, 7/29/2011)

 

 

【アジア&中東】

 

(1)カンタス航空で、労使関係緊張

QFの労働組合が、待遇改善と業務の外注化に反対してスト権を確立している。 右利き整備士2人が左手で整備作業を実施し、パイロットが帽子なしで乗務している。 組合は、過激な手段に訴えるか(ストを行使するか)は未だ決定していないと言っている。(wsj.com, 7/26/2011)

 

(2)タイガー航空が増機

シンガポールのバジェット航空会社Tiger Airways Holdingsが、726日、20123月までにA320×20機のフリート編成を完成させると語った。 この規模は、20113月比で +6機の増機となる。 Tiger Australiaは、豪州のCivil Aviation Safety Authorityから81日までの運航停止を命じられている。(wsj.com, 7/26/2011)

 

(3)大韓航空 為替差益で増益

KEの第2四半期決算が、利益337億ウオン($32m)となった。 為替差益1,647億ウオンが貢献した。 営業損失は、▲197億ウオン(前年同期3,950億ウオン利益)であった。 日本の震災が影響した。 収入は +2%増の29,440億ウオンであった。(wsj.com, 7/28/2011)

 

 

 

 水 運

 

(1)運河拡張後のパナマクルーズ

パナマ運河(1914年開通、全長48マイル)の拡張工事が2014年には終了する。 運河が拡張されると、現在航行可能の最サイズである船長950フィート×船幅106フィート(所謂Panamax船)が、船長1,200フィート×船幅160.7フィートに大幅に大型化される。 RCCLOasis級、Freedom級、Voyager級や、CCLCarnival MagicCarnival Dreamは、大き過ぎて拡張後の運河でも航行できない。 しかし、QE 2丸などの他の多くの今まで通過できなかったクルーズ船の航行が可能になる。 しかし、関係者は運河拡張後も、クルーズ船の航行は増加しないと予想している。 マイアミのFort Lauderdaleから西海岸までのクルーズ日数が最低でも12日間かかるからだ。 部分的なトランジットクルーズの人気は増加するかもしれない。

パナマ拡張は、クルーズよりもコンテナ船の航行増加に大きく貢献するようだ。(travelweekly.com, 7/27/2011)

 

(2)ロイヤルカリビアンの第2四半期決算 増収増益達成

RCCLの第2四半期決算が $63.4mの利益計上となった。

 

収入

営業利益

利益

APCD

オキュパンシー

$1,767.8m

168.1

63.4

8,028,014

103.7%

$1,601.7m

143.7

53.7

7,543,536

103.6%

 

APCD= Available Per Cruse Day (下段は2010年第2四半期)

(travelweekly.com, 7/28/2011)

 

 

 

 陸 運 & ロジスティックス

 

(1)UPS2四半期 増益 +26%]

UPSが、中国と欧州の強力な成長に支えられて増益 +26%を達成した。 4月に上方修正した通期見通し1株当り利益 $4.15~4.40を維持した。

 

ups110801.png

 (ups.com, 7/26/2011)

 

 

(2)英国高速鉄道HS-2  £7bn民間売却可能

LONBirminghamを結ぶHS-2計画は、完成後3年以内に民間に売却(30年間の長期リース)すれば、英政府は建設費 £13bnの半分の £7bnを獲得できるだろうとするレポートが発表された。 このレポートは、HS-2計画を支援するGreengauge 21Pweに調査を依頼したものである。 英政府は、HS-2の建設が、西海岸メインラインの需要増へ対応し、都市間の産業のインバランスを是正し、職を創り出すために必要であると、計画への支持を訴えている。 HS-2計画は、LON=Birmingham間が2026年、Manchester-Lead間が2032年に完成する。 政府は、201011月に、HS-1 Channel Tunnel Link108km、建設費約£5.8bn)を民間に £2.1bnで売却(30concession)している。(FT.com, 7/25/2011)

 

 

 

 ホテル & リゾート

 

(1)米国でホテル売買が急上昇

2011年の上半期の米国ホスピタリティー物件の売買取引額が $11.36bnに達した。 これは昨年同期の $4.9bn2倍以上(+134%)に上る。

Pebblebrook $137mによるアップスケールホテルMondrian Los Angeles買収から、HyattLodgeworks LPエクステンデッドステー買収や、Chatham $195mによるInnkeepers USA Trustのホテル買収など多岐にわたっている。 主役はREITだ。 そして、その他の機関投資家やプレイベートの投資家たちの投資意欲が増している。(CoStar Group, 7/20/2011)

 

(2)インドでノーフリル ホテル活況

インドのホテル建設が、外国旅行者目当てのハイエンドホテルから、インド人相手の中級ホテルに移動している。 中間所得層の増加が顕著だからだ。 昨年のインドの国内旅行者数は67,500万人に上っている。 Lodging Econometricsの調査によれば、今年の上半期のインドで建設中の客室の5室の内1室がバジェットホテルとなっている。 しかしホテルの建設資金を集めるのが大変だ。 インドでは、建設許可を得るのに煩雑な手間と長い時間がかかる。 土地代が極めて高い。 インフラが整備されていないなどの理由により、リターンを得るのに長期になってしまう。 ROIの効率が良くないのだ。 投資家は、年間のreturn on capital 18% 以上の案件に投資している。(wsj.com, 7/22/2011)

 

(3)パンシー女史 シュンタク株購入

マカオ賭博大君Stanley Ho89)が保有するShun Takの株式の一部を、Hoの娘のPancy Hoが購入した。 Pancy HoShun Takの持株比率が11%から12.67%に拡大する。 Stanley Hoは、昨年11月に、Shun Tak20.27%株の一部を、Hoの子供達が管理する会社に売却して持株比率を20.27%から8.72%に低下させている。 今年初め、第2夫人と第3夫人の子供たちがHoの保有する会社を盗んだとして家族間の争いが起きたが、現在は解決されているようだ。 Shun Takは、Sociedade de Tourismo e Diversoes de Macau11.%を保有し、それがHoSJM Holdings Ltd.55.7%を保有している。 SJMは、マカオの6つの賭博ライセンスの内の1つを保有している。(wsj.com, 7/25/2011)

 

(4)ディズニーがインドの大手エンタメ グループ買収へ

Walt Disneyが、インド大手エンタメ企業のUTV Software Communicationsの全株を購入し非上場企業として完全子会社化を目指す。 Disneyは、現在UTV50.44%を保有している。 残りの株式を $454mで買収するビッドを行なった。 インドのエンタメ市場は急速に成長している。 DisneyをはじめNBC, Time Warner, Viacom, Sonyがこの市場Bollywoodのシェア拡大を試みている。 インドのメディアとエンタメ市場は、2010年に6,520億ルピーに2009年比 +11%成長した。 2015年には12,750億ルピーに成長すると期待されている。(FT.com, 7/26/2011

 

(5)ラスベガスサンズ第2四半期 $410.6m利益計上

Las Vegas Sandsの第2四半期は、$410.6m(前年同期 $41.8m)となった。 マカオとシンガポールのカジノのネット収入が全収入の80%を構成している。

 

 

全社連結

V Macao

S Macao

4 Macao

M SIN

LAS

ネット収入

2,488(+45%)

735(+26%)

331(+9.5%)

120 (-16%)

737

332(+18%)

営業利益

608 (+266%)

214 (+59%)

87 (+24%)

22 (+.7%)

315

53 (1755%)

利益

410 (+900%)

 

 

 

 

 

オキュパンシー

 

89.7%(-2.2p)

88.0%(-9.8p)

67.8%(-1.3p)

90.8%

88.8(-9p)

ADR

 

223 (+9.9%)

242 (-1.2%)

323 (+8.4%)

295

200(+4.2%)

RevPAR

 

200 (+7.0%)

243(-10.9%)

219 (+6.3%)

268

177(-5.3%)

 

(lasvegassands.com, 7/26/2011)

 

(6)スターウッド 2四半期 増益14%

 

収入

営業利益

利益

RevPAR

$1,426m

$177m

$131m

 

+10.6%

+29%

+14%

+8.2%

 

(starwood.com, 7/28/2011

 

(7)アコーがパリのソフィテル売却

Accor SA(仏)がSofitel Arc de Triomphe 44mで仏プライベート投資家達のコンソーシアムに売却する。 買収者は、このホテルを 25mかけて改修する。 これはAccorの資産売却ホテル管理集中戦略に基づくものである。 Accorは、€1.2bnの資産管理プログラムにより2011年〜2012年に35のホテルをsale & management-backにする。(wsj.com, 7/28/2011)

 

 

 

 その他

 

(1)インドのモバイルが世界をリードするかもしれない

 

ind110801.png

(McKinsey Quarterly, 7/27/2011)

 

 

 

 

編集後記

 

「絵図: トラベル・サプライチェーンの進化」

 

  tsc110801.png

 

 

 

 

(以上)