旅行流通速報 Vol. 499号
1. グーグル航空便検索に対する専門家の評価
2. 其の他のニュース
3. 編集後記「日本のオンライン市場はどのくらい?(2)」
crankyflier.com, 9/19/2011
1. Google Needs To Send Flight Search Back To The Hanger
グーグル航空便検索に対する専門家の評価
元Forrester Researchの主席アナリストで、最近自身の旅行コンサルタント会社を立ち上げたHenry Harteveldtはこう言っている。
Ø Googleは、Flight Searchの立ち上げを急ぎ過ぎたようだ。 第一印象には、二番目のチャンスが存在しないので、Googleはこのプロダクトの展開に成功したとは言えないのかもしれない。
Ø Kayak, Fly.com, Hipmunkやその他のメタサーチと同様、Googleの新しいFlight Searchは、ユーザーが航空便を検索し、スケジュールと運賃の比較を可能にする。
Ø Googleは最も利用されている検索エンジンなので、航空検索は、ユーザーにサイトのユティリティーの向上をもたらすことになる。 そして、より多くのユーザーがより多くのページを閲覧すればGoogleの広告収入が増加することになる。
Ø 評価すべき点は、以下の通りだ。 検索スピードが極めて速い。 ほとんど瞬時に回答する。 Kayakの場合は、ページの右側のカレンダーで旅行日を設定し、検索にかけると6秒〜8秒もかかる。
Ø GoogleのFlight Searchは、運賃と飛行時間の両方でフィルターにかける。 3年前にTravelmuseが、一度に両方の条件付けによる検索システムを開発しているが、ほとんどのサイトでは、運賃を検索した後に飛行時間を検索する二度手間がかかるシステムを採用している。
Ø 往復便を選定すると"Book"ボタンがポップアップされて、それをクリックすると航空会社の予約サイトへリンクする。 しかし、航空会社のリンクには、時間が8秒ほどかかる。
Ø Googleは、このプロダクトの立ち上げを少し早まったようだ。 その理由は以下の通りである。
(1)当日の航空便検索が実施できない。
(2)地図の出発地と目的地の操作の説明がはっきりしない。
(3)全ての航空便がリストされる訳ではない。
(4)"アライアンス"による仕分け(sort)ができるようになっている点は評価できるが、その他の仕分けの方法は、KayakやHipmunkのそれと変わらない。
(5)Yクラスの最低運賃検索にとどまっている。 Flight Searchは、航空会社の新しいマーチャンダイジングへの対応ができていないのだ。 Kayakは、プレミアムYクラスの検索も可能にしている。 Hipmunkは、Wi-Fiが利用できるフライトをリストする。
(6)そして、既に業界の多くから既に指摘があるように、航空会社のWebサイトにしかリンクしていない。 航空会社が直販を増加させたいことは分かるが、何れは、Flight SearchはOTAと接続しなければならなくなるだろう。 何故ならば、広告収入を増加させるためには、広告出稿量の多いOTAを取り込まなければならないからだ。 Kayakも一時航空会社のみにリンクしたが、その後OTAとの接続を開始している。
9月19日付けのTnoozは、Flight Searchが航空会社しかリンクしていないのは、GoogleのITA買収に反対し、最終的に今後5年間のFlight Searchの活動状況を司法省に監視させることに成功したFairSearch(OTAとGDSの団体)に対する腹いせなのかもしれないと言っている。 そして、それ以外にもっと考えられる理由は、買収したITAの航空会社との関係がそうさせざるを得なかったからだと述べている。 つまり、ITAのQPXシステムの主たる顧客である航空会社との関係を、優先させなければならなかった"御家の事情"が存在すると言うのだ。
【関連記事】 TripAdvisor says Google threatened search lock-out (Tnooz, 9/22/2011)
グーグルが検索対象から外すと脅かした ― トリップアドバイザー
9月22日の米上院反競争パネルで、TripAdvisorとYelpの幹部が「コンテンツをGoogle Placeに提供しないのであれば、検索エンジンから閉め出す」とGoogleに脅されたと証言した。 Googleは、Federal Trade Commissionの競争法調査が開始された後に、オーガニックの検索を除いてTripAdvisorとYelpのコンテンツの掲載を中止した。
Yelp CEO Jeremy Stopplemanは、こう言っている。
・ Googleは、最早Web上のベストな情報ソースをユーザーに届ける事業から逸脱している。
・ ニュース、ショッピング、旅行のバーティカル市場のコンテンツを次々に無料で提供して、ポータルからデスティネーションサイトになることを欲している。
上院委員会の議員達は、GoogleのSimple Answersによる検索が自然検索(organic search)を顕著に勝っていることを指摘している。 検索結果がGoogleに有利になることを懸念しているのだ。
Expediaの法廷弁護人のTom Barnettはこう言っている。
・ GoogleのITA Software買収に際して、Googleは司法省の競争法審査に対して、消費者と旅行エコシステムの利便の向上にこの買収を貢献させると約束した。
・ しかし、実際はその通りとなっていない。 航空会社とだけしかリンクしていないのだ。 比較ショッピングに欠かすことができないOTAとリンクをしていない。
・ Flight Search用に開発したITA Softwareのテクノロジーは、Google以外には提供されていない。 これは、消費者の選択を弱めることとなる。
2. 其の他のニュース
旅行流通・TD
(1)トリップアドバイザー 統計
2011年7月に月間5,000万のユニークビジターを獲得した、2000年に立ち上がったTripAdvisorのその他の統計。 旅行Webブランドで5,000万のUQを獲得したのは、TripAdvisorが初めてと同社は言っている。
・ ホテル、レストラン、アトラクションの5,000万以上のレビュー。(大変古いものもある)
・ 30ヶ国21言語で提供。 最近、エジプトでローカルサイトを立ち上げた。
・ 過去6四半期でTripAdvisor Media Groupの四半期収入が +30%以上増加した。
・ TripAdvisor Media Groupの収入は、2011年第2四半期で$169mに達し親会社のExpediaの総収入の16.5%を構成する。
・ TripAdvisorのコンテンツは、250以上の優良ブランドに提供されている。
・ 40,000以上のユニークドメインが、TripAdvisorのウィジェットやバッジを掲載している。
・ メディア事業のマージンは約50%。 Expediaは、TripAdvisorの価値が $1bn以上すると考える。
TripAdvisorは、現在英国広告標準委員会から、レビューの真贋に付いての調査を受けている。(Tnooz, 9/19/2011)
(2)トラベルポートが負債の返済期限を延長
Travelportが、2012年3月末に返済期限が来るPIKローン(約$750m)を、2016年まで延長することに債権者と合意した。 この期限延長のために、Travelportは $85mのプロラタ現金支払いなどの条件を付した。 先週、格付け機関のMoodyやS&Pが、このローン返済期限に着目してTravelportの格付けを低下させている。(Tnooz, 9/19/2011)
(3)法人各社、出張規程遵守厳格化
Travel Leadersの法人取扱旅行会社を調査したところ、68%が 法人顧客が社員に対して出張規定を遵守させていると回答した。 18%が、厳しく遵守させていると言っている。 ほとんど100%の企業が、出張で稼いだマイルを私用に使う事を容認している。(travelagentcentral.com, 9/20/2011)
(4)アメリカン航空とセーバー、現行協定2012年中頃まで延長
AA航空がSabreを独禁違反で訴えた裁判が、2012年の6月13日に開廷することとなった。 先にAAとSabreは、裁判が決着するまでの間は現行契約を継続することに合意している。 従って、2012年の中頃まではSabreを利用している旅行会社は、AAのフルコンテンツにアクセスすることができることになった。(Tnooz, 9/20/2011)
(5)リアーデン、$133m資金調達
トラベル テクノロジーのRearden Commerceが、American ExpressとJP Morgan & Chaseに加えCitiから $133mの資金を調達した。 AmexとJP Morganの両社は、2008年にも $100mをReardenに投資している。 Reardenの資金調達額は、これで合計 $353mに達したことになる。 過去12ヶ月間で顧客を3倍の6,000万以上に、マーチャントを4倍の120万にそれぞれ増加させたとReardenは言っている。 Reardenシステムの中心は、企業が出張、調達、支出のビジネス機能を管理するプラットフォームDreamプロダクトである。 Reardenは、OfficeEngineプラットフォームで知られているソーシャルバイイングサービスのHomeRunを最近買収した。(Tnooz, 9/21/2011)
(6)バケーションドットコムで会員増加
最近の航空券販売コミッション プログラム開始が、Vacation.comの会員増加に貢献している。 2011年の今日までで、271の新会員がV.comに加盟した。 その他のコンソーシアムでも会員が増加している。 Ensembleでも、航空券プログラムの開始が奏功して67の新会員が誕生した。 Signatureでは、同コンソーシアムのテクノロジーとマーケティング ツールの利用の目的で、新たに18会員が加盟し合計202会員となった。
(travelweekly.com, 9/22/2011)
(7)カヤック、7回目の上場申請書の変更
Kayakが、2010年11月の上場申請書(S-1)の7回目の変更を行なった。
このアップツーデートの中で、KayakはGoogleが立ち上げたFlight Searchについて述べている。 そして、将来Flight Searchに開発されるITA SoftwareのテクノロジーをKayakは使えないかもしれないと言っている。 Kayakは、総収入の6.5%をGoogleの検索エンジンから獲得している。 Kayakは、今年4月に上場の可能性が50%に減少したと言っている。 そして売却と現状維持の確率をそれぞれ20%と30%であるとした。(allthingsd.com, 9/21/2011)
(8)エアリンガスがエクスペディアのアフィリエートに
Aer Lingusが、Expedia Affiliate Network(10,000プライベートレーベル提携者が参加)に加入した。 Aer Lingusは、Expedia経由で 約14,000のホテル、カーハイヤー、イベントチケット、目的地アクティビティーとダイナミックパッケジング ツールにアクセスすることができるようになる。 Ryanairは、2008年に、ホテル予約のためのExpediaのホワイトレーベル エンジンの使用契約を破棄している。 Ryanairは、それ以降Booking.com(Priceline)を使用している。(Travelzoo, 9/22/2011)
(9)ライアンエアーのクレジットカード手数料
Ryanairが、新たなプリペイド クレジットカードRyanair Cash Passportカードを導入した。 このカードには、航空券購入時に £6のアドミニステレーションチャージが徴収されるが、これ等の手数料の合計は 今後のRyanair航空券購入に使用できるバウチャーにより払戻しされる。 しかし、このカードには、他に幾つかの手数料(ATM現金引き出しに £2、Ryanair以外の購入に50ペンス、6ヶ月間カード未使用時に £2.50)を支払わなければならなくなっている。 航空券購入者は、昨年に推定 £300mの予約手数料を支払った。 easyJetやLH航空のBMIなどの航空会社が、デビットとクレジットカードに課しているサーチャージについてOffice of Fair Tradingの調査を受けている。 OFTの調査の開始以来、Monarchがカード手数料の徴収を中止した。 しかし、調査が実施されている最中にも拘わらず、easyJetは4月に デビットカードの手数料を £5.50から £8に、クレジットカードの手数料を £8から £12.5にそれぞれ値上げした。 Ryanairは、1旅客1便に対して £6を継続して徴収している。 Ryanairは、Electronカードの手数料を免除した。 そしてそれをプリペイドのMasterCardにそれを変更した。 そして今度は、Ryanair Cash Passportカードに再度変更している。 消費者団体などから、カード手数料が実際のコストを大幅に上回って請求されているというクレームが上がっている。 通常は、デビットカーで50ペンス、クレジッとカードで £2 ~ £3 しかかからない筈だと言っている。(FT.com, 9/22/2011)
空 運
【共 通】
(1)IATA、今年業界利益見通し上昇
IATAが2011年の業界利益見通しを、旅客需要の増加で6月に予想した $4bnから $6.9bnに上昇させた。(6月時点では $8.6bnから $4bnに低下させている) この予測は、世界のGNPを2011年 +2.5%、2012年 +2.4%、2011年の原油単価をバレル $100(2010年比 +39%)としている。(IATA August Press Release)


【米 州】
(1)バージンアメリカ損失拡大
Virgin Americaの第2四半期の損失が、▲$21.7mに前年同期の▲$15.5mより拡大した。 燃油費の高騰と急速な事業規模の拡大が原因である。 収入は +46%増の $269mであった。 平均運賃は $192.79に +11%増加した。 少なくとも1年以上営業している路線は、総供給の70%を構成し全て営業利益を計上している。 保有機数はA320×38機で前年同期の28機より +10機増機した。 2011年末のフリートは46機となる。(wsj.com, 9/19/2011)
(2)航空会社付帯サービス運賃収入 $450m (USA TODAY TRAVEL, 9/19/2011)

(3)サウスウエスト等の、運輸省新消費者保護規定執行停止要求 不承認
ワシントンの米控訴裁判所は、Southwest, Allegiant, Spiritの 3社が米運輸省の新消費者保護規則の一部の執行停止を求めた裁判を却下した。 控訴裁判所は、執行停止を求めるために必要となる原告の甚大な被害や回復困難な損害が立証されていないとして、この裁判を棄却した。 運輸省が、執行停止を求められた規則の施行を来年の1月24日に延期したので、原告達の被害や損害の計測事態が困難となってしまっている。
原告の航空会社3社が求めていた執行停止規則は、税やフィーを含めた運賃総額の表示、予約後24時間の支払い猶予(手数料無し取消可)、e-チケットのコンファーム時点の無料手荷物アローアンスと手荷物手数料の開示、航空券購入後の適用運賃値上げの禁止。(travelweekly.com, 9/2-/2-110
(4)LANチリとTAMブラジルの合併が承認された
南米チリの自由競争保護裁判所(Tribunal for the Defense of Free Competition)は、9月22日チリのLANとフラジルのTAMの合併を、幾つかの条件付きで承認した。 ブラジルの経済擁護行政委員会(CADE)の承認が得られれば、2012年の第1四半期にも合併が実現する。 合併会社LATAMは、南米第1位、世界第11位の航空会社となる。 アナリストは、合併会社の時価総額が $12.14bnに達すると言っている。
(livetradingnews.com, 9/24/2011)
Capacity to/from and within Latin America by airline (seats per week, 12-Sep-2011 to 18-Sep-2011)
【欧州&アフリカ】
(1)カーゴラックスがB747-8Fのデリバリーを土壇場で延期
ルクセンブルグの貨物航空会社Cargoluxが、9月19日に予定されたB747-8Fの引き渡しを土壇場で延期した。 契約条件が問題となっている模様である。 デリバリー遅延に対する違約金が原因の火種と言われている。 B747-8は、開発が2年間遅れた。
Cargoluxは、B747F×15機を保有する世界第9位の航空貨物輸送を誇る会社で、B747-8F×13機を発注している。(wsj.com, 9/17/2011)
(2)英国航空のCO2排ガス費用は €50m
欧州連合は、2012年1月1日からCO2排ガス取引制度(ETS)に航空を取り込む。 米国、中国、ロシアなどの欧州以外の諸国は、EUの一方的なローカル制度の域外適用が国際法に違反すると強硬に反発している。 Thomson Reuters Point Carbonのレポートによると、BAの年間ETS支払額は €50mに及ぶと試算されている。 ETSでは、アローアンス以下の企業は排ガス権を売る事ができるが、反対にアローアンスを上回る企業は排ガス権を購入しなければならない。 アローアンスは、航空機の燃費性能や旅客の搭乗率などを根拠に決定される。 航空会社別の公的なアローアンスは、今月には発表されるだろう。 Point Carbonの試算によると、BAのアローアンスは既存の排ガス排出量の81%となっている。 米国企業の平均は64%、中国企業の平均は63%と試算されている。(FT.com, 9/18/2011)
(3)KLMのツイート"ライブリプライ"
http://www.youtube.com/user/KLMRoyalDutchAirline
(4)欧州で再びコンソリ旋風
欧州で、再びコンソリデーションが始まりそうだ。 Finnair のCEOは、欧州ではフラッグキャリが多過ぎるので、コンソリが不可欠となると言っている。 Finnairは、英国のリジョナルキャリアFlybeと合弁航空会社Flybe Nordicを立ち上げている。 そして先月フィンランドの国内線Finncomm Airlinesを買収した。 FinnairのIAG(BA+IB)による買収だって考えられなくもない。 欧州では、2004年のAF+KLM、2005年のLH+Swiss、2009年のLH+OS+BMIとコンソリが続いた。 IAG CEO Willie Walshは、潜在的買収先にBMI, Tap Portugal, Aer Lingus 3社を挙げている。 LHがTAPを買収してLATAMと提携するラ米路線強化策を実行すれば、IAGにとってはこの上ない脅威となるだろう。(FT.com, 9/19/2011)
(5)エアバス長期航空機需要予測
Airbusが、長期(20 年)航空機(100席以上)需要予測を9ヶ月前の26,000機から27,800機(3.5兆ドル)に拡大した。 アジアの旺盛な需要を反映した結果である。 新規需要の1/3以上がアジアからの需要で構成している。 世界の航空旅客需要は、過去30年間の需要増率 +5%を下回る年率 +4.8%で増加すると予測している。 インドと中国の航空旅客需要は、それぞれ年率 +9.8%と +7.2%と他を引き離す。 エアバスの中国市場のシェアは今年末で47%となるだろう。 2013年には50%を超えるだろう。 今後20年間で4,200機を中国で販売する計画だ。
エアバスとボーイングの長期需要予測は、所々で喰い違いを見せている。 エアバスの向こう20年間の大型機の需要は、スーパージャンボA380を含めて1,781機とボーイングの予測を2倍上回る。 20年後の世界の100席以上の旅客機の機数では、エアバスが31,500機と予測しているのに対してボーイングは36,030機だ。 ボーイングは、旅客需要の増率を +5.1%と予測している。(nytimes.com, 9/19/2011) (wsj.com, 9/19/2011)
(6)ルフトハンザ、プロフィットワーニング発出
LHの8月の旅客収入が予算を下回った。 LHが、9月20日、今年度の営業利益が昨年度の €876mを下回ることになるというプロフィットワーニングを発表した。 2011年の供給拡大計画 +12%を7月に +6%に縮小したが、これを更に見直す予定だと言っている。 AF/KLMも、7月の上半期決算発表時に、今年の長距離路線の供給を +5.1%増から +2.7%増に減少させた。 IAG(BA+IB)は、今の所は当初計画の +7%~+8%の供給拡大を維持しているが、世界経済の低迷に対応して 早晩これを見直すことになるだろう。(FT.com, 9/20/2011)
(7)エアーベルリンの大幅コスト削減計画
Air Berlinが、2012年に▲数千万ユーロのコスト削減を通じて、営業利益 +€200mを達成する計画だ。 フリートは170機から152機に▲18機減少させる。(wsj.com, 9/21/2011)
(8)空港拡張をしないと、英国は▲14bnの遺失利益を発生せてしまう
コンサルタントFrontier Economistは、LHR空港のスロット不足が既に英国経済に毎年▲£1.2bnの損害をもたらしているとレポートしている。 貿易が、フランスやドイツの接続が良い地点に奪われていると警告している。 そして政府に対して中国等の新興諸国との貿易を拡大するための信頼置ける航空政策の立案を求めている。 連立新政権は、LHRの3本目の滑走路建設計画を破棄した。 BAAは、短期的な空港容量の拡大のために2本の滑走路を同時に着陸と離陸に使用する、所謂ミックスモードの採用を当局に求めているが、近隣住民の反対に遭い実現されていない。 このままでは欧州最大のLHRは、2021年には旅客数でFRAやPARに抜かれてしまうとFrontierは言っている。 事実LHRは広東との路線を有していない。 2021年には、空港容量不足による英国の経済的損失は年間▲£1.6bnに拡大するだろう。 今後10年間の損失の合計は £14bnに達するだろう。 Frontierのこのレポートは、BAAが調査を依頼している。(FT.com, 9/22/2011)
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LHR |
FRA |
PAR |
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北京/上海/広東 年間便数 |
698/621/0 |
1,032/1,110/211 |
964/1,323/290 |
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新興諸国 日間便数 |
22 |
27 |
25 |
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主要新興諸国 年間席数 |
6.0m |
8.0m |
6.4m |
(9)BMIヒースロー6スロット売却
BMIが、L|HRスロット6発着/日をIAG(BA+IB)に売却した。 BMIの親会社LHは、今月BMIを売却すると発表した。 IAGやVSやEtihad(ア首連)がこの売却に興味を示していると言われている。 LHは、スロット売却はBMIの売却とは関係しないと言っている。(wsj.com, 9/23/2011)
(10)イージージェット創立者、臨時株主総会の要求を取り下げ
EasyJetの初配当実施発表後に、同社の創立者で大株主のStelios Haji-Ioannouが、臨時株主総会の開催要求を取り下げた。 EasyJetは、9月30日までの12ヶ月間の配当9ペンス/株を支払うと9月22日に発表した。 そして35ペンス/株の特別配当の実施を提案した。 EasyJetの38%を保有しているSteliosは、この配当で £70mを得ることになる。 EasyJetが配当を実施するのは、これが初めて。 Steliosは、臨時株主総会で、プロフィットワーニングの原因となった過大な供給拡大計画(A320×35機の発注)を承認したとして、取締役のRigas Doganisの退陣を要求していた。(wsj.com, 9/23/2011)
【アジア&中東】
(1)カンタスでスト
QFでグランドスタッフの9月20日のストにより、豪発便55便が欠航ないし遅延して数千人の旅客がストランドした。 ストを起こしたグランドスタッフは、手荷物取扱、機内食ケータラー、貨物部門の社員4,000人で労働協約の更改条件と▲1,000名のレイオフに反対している。(channelnewsasia.com, 9/20/2011)
(2)中国が低空域を2015年に完全解放
中国が、より多くのプライベートジェット機の運航を可能にするために、低空域を2015年までに完全開放すると期待されている。 Honeywellは、中国のビジネスジェット機の機数が 今度5年〜6年の間に150機から700機に増加すると予測している。
中国は、国産航空機を開発している。 ARJ-21(70席〜110席)とC919(150席)だ。 Honeywellは、2016年就航予定のC919(150席)の主要部品の提供者だ。
ARJ-21の2011年末のデリバリーが、技術上の問題のために困難となった。 安全に関する認証取得が間に合わないためと説明されている。 ARJ-21の当初のデリバリーは、2009年9月頃とされていた。 今回の遅延で、2年以上も遅れることになる。(channelnewsasia.com, 9/22/2011)
(3)タイガー航空、インドネシアのマンダラ航空買収
Tiger Airways Holdings(シンガポール)が、インドネシアのPT Mandala Airlinesの33%を買収することに合意した。 Mandalaは、現在 財務リストラの最中で、資本の51.0%をSaratoga Groupが保有し、16.0%を以前からの株主と債権者たちが保有している。 Mandalaは、TigerのLCCビジネスモデルを採用してA320による飛行時間5時間以内のインドネシア国内線を運航する。(wsj.com, 9/23/2011()
ホテル & リゾート
(1)ブラックストーン、ミントホテル買収
世界最大の米バイアウト企業のBlackstoneが、英国のMint Hotelsブランドを保有するCity Inn Ltd.を、City Innの創立者とLloydのプロパティー投資部門であるUberior Venturesから、およそ£600mで買収することとなった。 Blackstoneは、この買収でTPG に競り勝った。 Mint Hotelチェーンは、英国で7ホテルとアムステルダムで5月にオープンした1つのホテル(何れも4つ星)を保有している。
City Innは、3月末時点で £417mのネット負債を保有し、3月までの1年間で▲£245mの欠損を計上した。 2010年7月には、Lloydに対する負債返済の条件遵守に失敗した。 Blackstoneは、MintをHiltonブランドに変更する予定だ。 2007年にHiltonを $26bnで買収した。 同社のホテル ポートフォリオには、Hiltonの他にLa Quinta, Equity Office Properties, the Waldorf Astoria, Boca Raton Resort & Club, Trianon Palace Versaillesが存在する。(wsj.com, 9/16/2011)
(2)インキーパーズ、新たな買収者と交渉
Cerberus Capital Managementから買収契約を破棄されたInnkeepers USA Trustが、米プライベートエクイティー企業のFive Mile Capital Partner LLCと $1bnによる64ホテルの売却交渉を行なっている。 この交渉が成立すれば、Innkeepersは2010年7月に申請したチャプター11から離脱することが可能になる。(wsj.com, 9/17/2011)
(3)REITのコスト優位性失墜
ホテルの売買が息を吹き返してからは、REITが取引の中心となっていた。 2011年の多くの取引は、REITによる安い資本コストの調達が プライベートエクイティー企業を追い出して資産を買収した。 ところが、資本市場の不安定化によりREITの優位性が崩れ始めている。 株価が $5.50に低下したSunstone Hotel Investorsは、現在買収物件を探す事を中止した。 Chesapeake Lodging Trustは、今年に6件の取引 $466.55mを成功させた。 しかし株価は8月1日以来▲25.8%低下して $15.84を付けている。 Baird/STR Hotel Stock Indexは、8月に▲14.9%低下して9月16日に1804.04を付けた。(HotelNewsNow.com, 9/19/2011)
(4)ウイリアムヒルがモバイルの賭博オペレーター買収交渉開始
William Hill(英)が、モバイルのゲームオペレータProbability(Aim上場企業)の買収交渉を開始している。 Probabilityは、ジブラルタルでライセンスを取得した低コストの運が左右するハイボリューム賭博(カジノやスロットゲーム)を主に扱っている。 主要ブランドはLadyLuck's。 Probabilityの3月に終了した年度のネットゲーミング収入は、前年度比 +14%増の £5.4mであった。 しかしジブラルタルへの移転費用などの特別費用の計上で、税前損失▲£1.1mを計上した。 時価総額は £13m。 賭博エクスチェンジグループのBetfairのモバイル機器による至近四半期の賭博回数が、倍近く増加している。 1/3以上の顧客がモバイル機器を使用していると言っている。 モバイルによる賭博の人気が急速に高まっている。 Global Betting and Gaming Consultantsは、モバイル賭博が今後2年間で11%を構成する予測している。(FT.com, 9/19/2011)
(5)ハイアットが、新ブランド"ハイアットハウス"を立ち上げる
Hyattが、Summerfield Suites×38と新たに買収したHotel Sierra×16をエクステンデッドステーの新ブランドのHyatt Houseにリブランドする。 ブランドの変更は2012年初頭までに完了する。 また今後12ヶ月間に54ホテルの改修とアップグレードを予定する。 Smith Travel Researchによれば、米国のエクステンデッドステーは好調で、そのオキュパンシーは昨年を +2.9%p上回って73.5%に上昇している。 RevPARは +8%増加して $57.11となっている。(travelweekly.com, 9/20/2011) (wsj.com, 9/20/2011)
(6)フルチルト役員、ねずみ講容疑で捜査
世界ポーカー大会のチャンピオンHoward LedererとChristopher Fergusonとその他のFull Tilt Poker役員が、ねずみ講容疑で取り調べを受けている。 Full Tiltは、既にオンライン違法賭博と銀行詐欺でマンハッタンの堅持当局によって摘発されている。 LedererとFull Tilt役員は、ねずみ講により $440m以上を搾取したと見られている。(FT.com, 9/20/2011)
(7)EU、デンマークのオンライン賭博規制承認
欧州委員会がデンマークのオンライン賭博市場の規制緩和を承認した。 ランドベース賭博企業よも低い税率(グロス賭博収入の20%)をオンライン賭博企業に課すデンマークの計画が、政府補助に相当するとランドベースの賭博企業から指摘されていた。 欧州委員会は、"市場の自由化のポジティブな効果が、税率の不一致の問題を相殺する"として、デンマークのこのオンライン賭博市場規制緩和を容認した。 このデンマークのオンライン賭博市場が、他のEU域内諸国のオンライン賭博市場の規制緩和の雛形となるだろう。(FT.com, 9/20/2011)
(8)マカオ カジノの多角化への挑戦
マカオのカジノ収入が今年 $34bnに達するだろう。 これは、ラスベガスの5倍の規模だ。 今日では、毎月250万人がマカオにやって来る。 しかしその55%が賭博をしにやって来る日帰り客だ。 マカオ訪問者の平均ホテル滞在日数は1.4日とラスベガスの3.6日を大きく下回る。 マカオ政府の収入の80%は賭博税収からだ。 政府は、賭博以外に会議やエキジビションを増加させたがっている。
カジノは、賭博以外の施設(会議場やエキジビションホールやテーマパーク)の建設にも努力しているが、ROIC(return of investment capital)を重視する余り儲かるカジノの建設に集中している。 The Venetianの初年度のROICは5.8%なのに対して、2004年にオープンしたカジノ中心のSands Macauのそれは31.8%である。 2015年まで多角化リゾートをオープンしないWynn MacauのROICは、昨年89.1%を記録した。 それに非賭博事業拡大となれば香港や広東の会議やエキジビション施設と競争することになる。 マカオの脱賭博(多角化)の道程は遠いようだ。(FT.com, 9/21/2011)
編集後記
日本のオンライン市場はどのくらい?(2)
■ 航空・宿泊・鉄道・カー・バス・クルーズの2010年の総販売額は 約7.8兆円と推定される。(日本法人の販売額の集計)
■ オンライン市場は2.2兆円、オンライン化率は28%と推定される。
■ 日本のオンライン化率は、数年先には欧米並みの40%〜60%に達すると想定される。
以上は、フォーカスライトJapanの2010年10月〜11月にかけてのサプライヤー各社の聞き取り調査などに基づく推定である。 フォーカスライトJapanでは、「日本のオンライン旅行市場の概況」を来春に発行する予定です。

(このレポートは、平成23年1月24日付きの「情報 463号」の編集後記の続きである)
日本の旅行市場の
総販売額 (2010年推定)

(今週号では、編集人の都合により 水運、陸運&ロジスティック、その他 の
ニュースを、お休みとさせて頂きました。)
(以上)