海外主要LCCと既存航空会社の経営指標(パート3)
海外のLCC主要5社と既存航空会社2社、そして日本のANA・SKYと、座席コストの
内訳、的生産性、B/E(損益分岐利用率)を比較した。 (*データは2010年度のもの)
4.座席コストの内訳
①座席コストの主な費用別内訳は下図のとおり。(各社費用の区分が異なる部分もあり、密なものではない。たとえば欧州LCC2社の空港使用料には、グラハン費用等も含まれいる。またANA費用は貨物機込みなので、旅客だけの費用明細は不明。)
各社燃油費の割合が高い(特に国内線の燃料税の影響を受けたSKY)。
人件費は、米国3社・SKYが高く、欧州LCC2社とアジアの2社は低い。

が高い。米国3社は人件費率も高い。
日本の2社(ANAは貨物機込み)は他の国内コストが高いことで、燃油費の割合は相対的に低いものになっている。
③ 席㌔当たり燃油費と人件費;
・燃油費; 燃料税の影響で日本の2社が最も高く、米国3社が続く。
RyanとAirAsiaがかなり低く、easyJetがこれに続く。
機齢の若い低燃費機が多いことの効果と思われる。
その中でeasyJetはやや高めなのは、席数密度だろう。
・人件費; サウスウエストが最も高い1.88円、これにSKYの1.6円、デルタ、
Jetblueと続く。
RyanとAirAsiaがともに0.37円と極端に低く、easyJetはそれく比べると
かなり高い0.71円、SQは0.86円
5.人的生産性比較
① 機材1機を従業員何人で支えているか。
RyanとeasyJetは1機を30人規模で支えていることになる。
サウスウエストとJetblueも60~70人と少な目、AirAsiaは89人とLCCでは多め。
デルタとSKYは100に程度だが、ANAとSQは120人を越えている。
RyanとeasyJetは、1人で年間7~8000人規模の旅客をこなす。
ついでAirAsiaは3,400人、サウスウエストとJetblue、そしてSKYは2,000人強、
FSA3社は2,000人に届かない。
③ 従業員1人当たりの人件費(年間); ANAとサウスウエストが800万円台でトップ、JetBlueとeasyJet、そしてデルタ、SQ(※)が600万円台で続く。
SKYは500万円台、Ryanは400万円台、AirAsiaは最も安く200万円を下回る。
(※)SQアニュアルレポートから算出。
6.搭乗率とB/E(損益分岐利用率)比較
①搭乗率; ANAが60%台で低迷しているほかは、いずれも70%台後半以上。
easyJetの89%を筆頭に、Ryan、デルタ、SKY、Jetblueが80%超。
サウスウエストは、有償旅客だけでは79%ながら、無償旅客を含めればほぼ
満席との勘定になる。AirAsiaは75.9%。
②B/E(損益分岐利用率);AirAsiaは60%を下回り、搭乗率との差18ポイントに
よって高い利益率をあげている。RyanやSKYもB/Eは60%台と低く、搭乗率と
の差十数ポイントでやはり高い利益率。
ANAはB/Eが低いものの、搭乗率が稼げず利益率は小さい。
その他の会社は、B/Eと搭乗率に数ポイント差があり、利益を計上。