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「旅行会社:バリューの創造が必要」

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今週号のニュースには、伝統的旅行会社に関する記事が多く掲載しました。 これらの記事は、米国では オンライン検索に嫌気した消費者が、フェイスツーフェイスの旅行会社のプロのサービスに復帰しているということを伝えています。

 

話が少し古くて恐縮ですが、昨年215日に開催されたJATAの経営フォーラムの特別講演「経済成長と観光イノベーション」で、日本観光協会の西田厚聡氏が 旅行業界にもイノベーションが必要だと語っておられました。 氏は、観光のイノベーションにより、観光産業の年間消費額23.6兆円を拡大することができれば、日本経済の活性化に大いに役立つので、業界の幹部の人たちにもっとイノベーションを考えろと訴えられました。

 

この特別講演に続いて行なわれた、全体パネルディスカッション「旅の新しい価値創出で、いきいき旅行業!」では、今の旅行業界は、果たして顧客が満足する、ワクワクする、そして得したと感じる バリューある旅行商品を創り出しているのか? がディスカッションされました。 魅力ある旅行商品作りには、豊富なコンテンツを創造するクリエーター(旅のプロデュサー)が必要だという意見にはまさしく同感です。

 

東京ビッグサイトで929日〜30日に開催された「JATA国際観光フォーラム・旅博2011」の4つのシンポジウムでも、同じようなテーマつまり旅行会社が直面している様々な問題が討議されました。

 

たとえば、航空会社が、IT座席のインベントリーを縮小し始めたという問題です。 それに伴い、旅行会社のパッケージ造成用座席仕入れが困難になっています。 一方、B2C販売中心のLCC供給は、ますます拡大するでしょう。(現在の日本の国際線のLCC化率4%が、5年後の2016年には15%に拡大すると予想されています)

 

海外のホテルの仕入れに要求されるデポを、1/3のツアオペが旅行会社に代わって立て替えているという困った話もあります。

 

旅行会社で、航空会社の座席の仕入れが困難になっているのは、今まで大量の座席を何の保証もなしに6ヶ月以上も前から目一杯仕入れて、出発日間近になってほとんどの座席を売れ残りとして返却した彼らの乱暴な在庫管理の付けが回ったかも知れません。(尤も この座席の卸システムは、在庫処理を欲した航空会社自身が開発したものじゃないかという指摘も存在する)

 

楽天トラベル じゃらん などのオンライン旅行会社(OTA)による、国内の旅館やホテルのオンライン販売が急増しました。 これが旅行会社のオフライン販売に大きな打撃を与えています。 航空会社の座席仕入れの問題は、この旅館やホテルのオンライン販売シフトと良く似ていると思います。

 

旅行会社は、「売ってやる」と言って部屋のインベントリーを提供させ、間際で大量の売れ残りを何のペナルティー無しにドサッと返却しました。 こんなことをしていたのだから、多くの旅館とホテルが、インベントリーを提供しないで済む、しかもコミッションが安くて済むOTA 伝統的旅行会社からシフトしたのは当たり前じゃないですか。

 

インターネットの普及で、今まで旅行会社経由でしかほとんど売れなかった旅館やホテルや航空会社が、新たな販路であるオンライン販売チャネルを獲得したのですから、旅行会社が自己改革を求められるのは当然だと思います。 サプライヤーとのWin-Winとなる新たな関係構築に励むべきなのではないでしょうか。

 

デポも支払わないで、ノーリスクで仕入れようなんて・・・今時できる筈無いじゃないですか・・・。

 

旅行業界の色々なセミナーやシンポジウムのお話を聞いていると、旅行会社が直面している問題点や課題の抽出や整理は、実に見事に出来ています。 アクションが必要だと考えます。 旅行会社は、なにしろ"崖っぷち"に追い込まれている待った無しの状況なのですだから。

 

米国の旅行業界では、サプライヤーのオンライン直販の進展、コミッションカット、DIY型旅行の増加、グーグルなどの大手ポータルの旅行バーティカル検索の強化など、旅行会社を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。 そして、予約や発券などの旅行手配、つまりトランザクション型のモデルでは最早 生残れないので、旅行会社は、顧客が満足するバリューある商品を開発しなければならいと言われています。 旅行会社が、ビジネスモデルの変更を迫られていると言う訳です。 顧客は、今まで以上にValue for Money(お買い得)の商品やサービスを追求し始めているというのです。

 

冒頭でも触れましたが、最近米国では、無機質な結構手間のかかるOTAのサービスに辟易し始めた旅客が、旅行会社に復帰し始めているというニュースが結構頻繁に報道されています。 複雑化する旅行手配や旅先のイベントリスクに対する旅行会社の専門的な人的ヘルプを求めているのです。

 

H.U.