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「日本のLCCは、新規需要を必ず創造するだろう」

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日本では、今まで LCC市場がほとんど育っていない。

 

欧米では、Ryanair, easyJetSouthwestLCCたちが 1/3以上のシェアを席巻した。 東南アジアでは、AirAsia, Cebu PacificTigerなどの躍進によりこの地域のLCCたちが50%以上のシェアを獲得している。

 

これらの地区では、LCCが低運賃を武器に多くの新規需要を開発した。 Ryanairは、+40%の新規需要を開発したと言っている。(この新規需要の創造はRyanair Effectと呼ばれている)

 

日本市場でも、海外の先例に見られる通り、LCCが必ず大きな新規需要を開発するだろう。

 

日本の航空市場は、長い間、国の需給調整と運賃規制と、そして空港発着枠の制限によって競争が排除されて来た。 1986年に、それまで日本航空、全日空、日本エアシステムに路線を割り当てた所謂45/47体制が崩壊した。 そして、国は段階的に航空自由化を推進した。 1996年に、国内線に於いて標準原価を最高額とする一定の幅運賃を認可し、航空会社の自主的な運賃設定を可能にする幅運賃精度を導入した。 1997年には、羽田の発着枠拡大を契機に同一国内路線の複数社乗り入れに関する認可基準を撤廃し、国内幹線への新規参入を認めた。

 

1998年には、35年振りに新規航空会社スカイマークと北海道国際航空(エアドゥ)が設立された。(スカイマークは19989月羽田福岡、エアドゥは199812月羽田新千歳にそれぞれ就航した) 以来、新規航空会社は、この2社を加えて6社に増加した。 最近立て続けに設立されたLCC 3社を含めれば、9社にも及ぶことになる。

 

スカイマークは、15年間で航空機(B737-800型機180席)を27機保有し、作年度に6,089.6千人の旅客を輸送するまでに成長した。 平成243月期の決算では、増収 +38.3%80,255百万円の事業収益と、増益 +23.6%7,705百万円の当期利益を計上した。 そして、何処よりも低い840銭の単位当たり旅客コスト(CASK=Cost per Available Seat Km=有効座席キロ当り営業費用)達成した。

 

スカイマークが新規需要を創造したか否かは、就航路線のデータからは解り難い。 ほとんどの就航路線の総需要が、増加していないからだ。 しかし、全日空よりも▲32%も安い運賃を市場に提供して座席搭乗率(L/F80%を達成したのだから、欧米のLCCと同様にきっと新規需要を創造したに違いない。

(日本の国内線総需要は、2006年の96,970千人をピークに毎年減少している。 2010年度の総需要82,194千人は、2006年比▲15%の減少となる)

(全日空の平成243月期の国内線有効座席キロ当たりの国内線旅客収入18.837円に対して、スカイマークのそれは▲32%も安い12.855円となる)

 

日本では、高い着陸料、高い航行援助施設利用料、高い航空機燃料税、高い空港ビル使用料、高い人件費、ほとんどの空港の夜間航行禁止、サブ空港の不在、などによりLCCが育たないと言われている。 しかしスカイマークの成功例を見ると、本当にそうなのだろうか? と疑問に思えてしまう。 スカイマークは、このような悪条件下にも拘らず最高益を達成したからだ。 営業利益率は19%にも達している。 スカイマークは、東京札幌や東京福岡など需要が多く儲けの大きな幹線を多く運営している。 このことも好決算の理由だろう。 しかしそれ以上に、日本の悪条件下でさえも、海外の先例に見られるごとく、LCCモデルがちゃんと成功することをスカイマークは証明しているのではないだろうか。 ピーチは、3月の就航以来3ヶ月間で80%近くの座席搭乗率を達成している。

 

(スカイマークが成功しているからといって、日本の航空インフラコストが高くても何とかなるなどと言っている訳では決してない。 誤解しないで欲しい。 高い航空インフラコストのために、日本の航空旅客は、極めて高い運賃を支払わされている。 既存のレガシー航空会社よりも▲30%以上も安いスカイマークの運賃でさえ、日本の国内線航空旅客は海外の航空運賃に比して極めて高い運賃の負担を強いられていることを忘れてはならない。 この問題は、次号の編集後記で触れることとしたい)

 

 

今まで大きな制約要因であった空港事情も、大幅に改善されつつある。 羽田空港は、201010月に第4滑走路を供用開始し発着回数を年間30万回から39万回に大幅に拡大した。 そして来年3月からは、国内線の発着回数を1日当たり50便余り更に増加させる方針だ。 成田の発着回数は30万回に、関西と伊丹を合わせた発着回数も30万回に、それぞれ増加することが計画されている。 また成田や関西では、LCCターミナルが建設中だ。 関空では着陸料を引き下げてLCCの増便を促す予定だ。 日本の基幹空港のインフラ整備が着々と進んでいる。

 

リクルートが実施したアンケート調査によると、日本発着の国際線LCC利用者の84%が「満足」と回答している。 そして、今後の利用意向では 実に50%の人たちがLCCを優先させると言っている。

 

折角 規制緩和して市場の自由化と空港発着枠の拡大をやっと実現したのだから、国は、空港インフラコスト削減し、削減分を利用者である航空会社と旅客に還元して、日本の航空輸送の活性化をもっとはかるべきではないのだろうか。 LCCには、LCA(ローコスト エアポート)が不可欠なのだ。

 

日本のLCCたちが、新規需要を果敢に創造し鬱積需要を掘り起こして、"国内線総需要1億人"の達成に貢献することを願ってやまない。

 

H.U.