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旅行流通速報 Vol. 546 号

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1.  エクスペディアの新ペイメント モデル

2.  フェイスブックと旅行

3.  モバイルと旅行

4.  アメリカン航空 C-11の現在

5.  其の他のニュース

6.  編集後記「プライスラインの成長の軌跡」

 

 

 

HNN.com, 8/06/2012

1. Sector reacts to Expedia's new agency model

エクスペディアの新ペイメント モデル

 

Expediaが、新たなペイメントモデルExpedia Traveler Preferenceプログラム導入した。 このプログラムは、Expediaでホテルを予約した顧客が、その支払いを予約時点で、Expediaで決済するか、チェックアウト時点で ホテルで決済するか選択することを可能した。 ETPは、PricelineBooking.comで提供しているモデルとほとんど同じエージェンシーモデルとも言える。 Booking.comで予約した旅客は、チェックアウト時点で、ホテルで取消手数料無しの宿泊費を決済する。 Expediaは、2008年に、このエージェンシーモデルを採用しているVenere.com買収しているので、既にこのモデルを米国以外の市場で展開していることになる。

Expediaは、Hilton Worldwide, Marriott International, Melia International, Iberostar Hotels & Resorts, La Quinta Inns & Suitesほか多くの独立ホテルがETPに参加したと言っている。

 

OTAのホテル流通モデルには、エージェンシーとマーチャントの2つのモデルが存在する。

Ø   エージェンシーモデルでは、旅客はOTAで予約だけして、決済はチェックアウト時点でホテルに対して直接実施する。(宿泊費をホテルに直接支払う。) OTAに対するコミッションは、その後にホテルからOTAに支払われる。

Ø   マーチャントモデルでは、旅客は予約時点で宿泊費を事前にOTAに支払う。 OTAは、旅客の滞在後にホテルに対して仕入れ値のネット料金を支払う。 従って、マーチャントでは、OTAはホテルにネット料金(ラックレート比▲15%〜▲25%と言われている)を支払うまでの間、キャッシュフローが増加することになる。

 

Expediaは、ETPの導入でホテルの新規顧客獲得増が発生すると期待している。 特に事前決済に慣れてない米国以外の世界の顧客は、宿泊後のホテルチェックアウト時点の決済を好んでいるからだ。 ETPの導入でエージェンシー モデルが増加して、マーチャントモデルが減少すると予想されている。 ところがExpediaは、ETPのコミッションをマーチャントの高い料率と同一にすると言っている。 そうであれば、エージェンシーとマーチャントの2つのモデルの差が分からなくなってしまう。

 

業界の一部は、このプログラムの導入によりExpediaとホテル間の流通に大きな影響が発生する可能性があると言っている。 以下が彼らの主張だ。

 

Ø   チェックアウト時点での決済となると、グロスレートの清算となる。 すなわち、ネットレートでなくなるのでADRAverage Daily Rate)が上昇する。 そうなると、フランチャイジーにとっては、より高いフランチャイズフィーや運営費を支払わされることになるだろう。 これらのフィーが、契約ではADRに基づいているからだ。(STRは、ホテルに対する影響はOTA販売の総販売に占める割合が8%9%であるので影響は大きくならないと指摘している。)

Ø   チェックアウト時点の決済となれば、取消手数料付きでなければ取消が増加するだろう。(Expediaは、ホテルの取消手数料の規則を準用すると言っている)

Ø   ホテルにとって、収入金の取り扱いの事務作業が増加する。 収入金の報告書作成にも時間をとられるだろう。 フロントデスク係は、事前支払いしたのか、していなかったのか分からなくなってしまっている顧客との対応に苦労するだろう。

Ø   ホテルのクレジットカードやデビットカード手数料(1%3%)の支払いが増加するだろう。

 

 

 

 

tnooz.com, 8/06/2012

2. One year on, how has the ne Facebook impacted travel

フェイスブックと旅行

 

Facebook株が、816日の前場で一時最安値の $19.69を付けた。 5月のNASDAQ上場価格 $38の半値まで値下がりした。 売出された株式42,100万株の半数以上の株式27,000株のロックアウト期間が終了したため、これらの株式が市場で売られたのだ。

(nytimes.com)

 

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FBについては、広告媒体としての価値に疑問が持たれている。 多くの旅行業界の人々も、ソーシャルネットワークのROIReturn on Investment)が大きな問題だと言っている。 しかし、FBのブランドとその規模は極めて魅力的だ。 昨年の立ち上げ以来FBOpen Graphが広く利用されている。 これがなければSpotify(音楽ストリーミングサービス)やPinterest(写真共有SNS)の急成長は達成できなかった筈だ。

 

しかし、ROIの他にも問題が2つある。 1つは、Facebook Developerプラットフォーム、2つはモバイル対応の問題だ。

FBの第三者ソフト開発者にとって、Developerプラットフォームの使用が制限されている。 そして、モバイルのアプリが極めて遅く使い物にならないことだ。(FBは、HTML5の代わりにiOSに採用して、この問題に対処しようとしている。) FBページ上のiPadiPhoneのごとくのモバイルアプリでは、Photosを除いてその他のアプリにアクセスできない。 FBは、第三者開発者にDeveloperプラットフォームをより解放してアプリケーションをもっと彼らに自由に開発させるべきだ。 iOSAndroidのアプリに第三者が開発したアプリをより多く埋め込み、旅行者が1つのアプリを開くことで全てにアクセスすることを可能にするべきだ。 つまりFoursquareConnected Apps Platformの方式をFBも採用するべきだ。

 

今日のスマートフォーンは、自分の好みのアプリに許可を与えさえすれば、ロケーション ベース サービス或はプッシュ ノーティフィケーションを受け取ることができる。 FBもこれと全く同じことをするべきだ。 FBのネーティブ モバイル アプリは、位置認識ソフトを含んだ第三者開発者のアプリへの接続とそのサービスを提供するべきだ。

 

つまり、具体的な例もって説明するとこうなる:

ケアンズ(豪州)に休暇旅行している。 思いついて旅に出たので、目的地のケアンズでの具体的計画は持っていない。 そこらを見て回り、午後に賑わう場所を見学し、夕刻には海産物料理を食べたい。 そして明日は、Great Barrier Reefでシュノーケリングをしたいと思っている。 好んで使用している、自分の個人情報を既に格納してあるアプリがあるスマホのFBアプリを開こう。 FBアプリは、自分が居る場所を特定し、自分の嗜好に合ったPoint of InterestPOI)を含んだスケジュール(おいしいレストランや明日のボート旅行)を提案してくれるだろう。 そして、このたった1つのモバイルアプリでもって旅行を計画して、その目的地の行動の実践をFBで友人や家族に写真や旅行記を添えてインスタントに連絡するのだ。 そして、旅先でFacebook CreditsFBが開発した独自仮想通貨)を使用できるようにしたらなお一層良い。 オンライン購入ごとに一々個人情報を入力する必要もなくなるのだ。 FBと旅行の親和性は限りなく大きい。 FBが、旅行の分野におけるユーザビリティーを改善すれば、株価も上昇するだろう。

 

 

 

emarketer.com, 8/10/2012

3. Overcoming the Mobile Research-Booking Gap

モバイルと旅行

 

eMarketerの新しい報告書「The Mobile Traveller: How Smartphones Are Changing the Customer Journey」によれば、98%の人が旅行にモバイルを持って行く。 現在、およそ3,600万人の米国人がスマホで旅行情報を検索している。 そして、2016年には、その数が倍増するとeMarketerは予想している。 スマホで旅行をオンライン予約する人は、1,580万人から3,630万人に増加するだろう。

 

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モバイルは、疑いなく大きな可能性を秘めたチャネルだ。 しかし、現時点ではモバイルで旅の予約を実施する人たちは、モバイルで旅行情報を検索する人たちの半分以下しか存在しない。 2016年の予想でも、そのギャップは丁度50%とほとんど縮まらない。 業界の一部は、それが理由で モバイル チャネルへの投資を逡巡している。 しかし、モバイル予約の数そのものは決して少なくない。 モバイルの予約の特徴は、同日の間際予約が多いことだ。 OrbitzTravelocityは、モバイル予約の60%以上が同日予約だと言っている。 モバイルが完全に旅行業界のマーケティングツールとして利用され始めるには、もう少し時間がかかるかも知れない。 しかし、モバイルは、リアルタイムで旅行計画を支援し、チェックインのツールにも使われ、空港ゲート変更を知らせ、レンタカーやレストランの予約を可能にし、ソーシャルでシェアし、顧客サービスにも使われている。

 

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下図は、レジャー旅行に使われているモバイルの用途の詳細だ。 39%のスマホ利用者が、スマホでホテルを予約している。 航空便予約は37%、レンタカー予約は34%だ。 Atmosphere Researchは、ユーザのインプットをできるだけ少なくして使い勝手をよりシームレスな機能とすることがスマホの成功には必要だと言っている。 モバイルの強みを発揮する位置情報をベースにしたアプリのスマートな開発も重要だ。 そして、マーケティング部門とソフト開発の技術部門の直接的(ストレイトフォーワード)かつ密接な連携が不可欠だとも言っている。 SeamlessSmartStraightforward3 Sが重要だと言っている。

 

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4. アメリカン航空 C-11の現在

 

88日、AA航空のパイロット組合Allied Pilots Association(組合員10,000名)は、会社の6年間の労働協定改定案(最終提示案)に対する批准投票を61%の多数で否決した。 APA委員長Dave Batesは、この責任をとって辞任した。

AAは、直ちに破産法廷に対してAPAとの現行協定のChapter-11に基づく一方的破棄を申請した。 815日、南NYC地方裁判所破産法廷の判事Sean Laneは、レイオフとコードシェア協定の2つが労働者側に過度に不利であるとして、AAの協定破棄申請を却下した。 この破産法廷の申請却下は、AAの会社再建計画の成立を更に遅らせるだろう。 破産法廷が、C-11に基づく労働協定破棄申請を却下するのは異例のことである。 しかしながら、判事は、この2つの問題を除いた全てについてAAの申請を認めている。 817日、AAは、レイオフ条項を全文削除(現協定のレイオフ保護規定を温存)し、コードシェア協定の実施にキャッピング条項を付け加えて現協定破棄の再申請を裁判所に提出した。 AAは、この再申請は破産法廷により承認されると期待している。

 

Assoiation of Professional Flight Attendants(組合員18,000名)は、現在会社最終案の批准投票中でその結果は819日に判明する。 APFAの組合執行部は、会社最終案に合意しない場合は、会社は現協定を一方的に破棄しより厳しい協定案を飲まされることになるので、この最終案に賛成するべきだと組合員の賛成投票を呼びかけている。(APFAは、最終的には破産法廷がAPA現行協定の破棄を承認すると踏んでいる) AAの最大の組合であるTransport Workers Union24,000名)は、既に会社提示案に合意している。(APFAは、819日、59.5%の賛成多数で会社労働協定案を批准した。)(wsj.com, 8/19/2012)

 

AA CEO Tom Hortonは、既に労務費以外で▲$800mのコスト削減に成功し、残りの労務費▲$12,000mの削減に努力している。 今まで順調に会社再建計画を実行しつつあると自信のほどを誇示している。 会社再建単独案を作成後、US航空を含む他企業との合併案との優劣を比較する戦略的オプションを検討すると言っている。 一方、AAと同じoneworldの創立メンバーであるIAGBA+IBCEO Willie Walshは、85日、FT timesに対してAAChapter-11離脱時には、少数株式を購入する用意があると語った。 そして、AA+US合併を強く支持すると言っている。 Oneworldの強化にとって、AA+USは必要だと言っている。

 

米業界第5位のUS航空CEO Doug Parkerにとっての今後の成長戦略は、AAと合併してUA+COを抜いて業界第1位に駆け上がる術しか残っていないようだ。 Parkerは、2005年にAmerican West + USを成功させ以来、3度のメジャーとの合併に失敗している。 DL (2007)NW (2008)UA (2008年と2010)3回の試みの失敗だ。 Parkerは、これらの過去の買収失敗経験から、AAの場合は、敵対的な正面攻撃を避け、組合や債権者団の支持獲得に動いている。 AAの三大組合と債権者団の一部から、既にUS合併の支持を取り付けることに成功している。

 

以上のレポートは、以下の報道より編集した。

8/05/2012            FT.com                IAG eyes American Airlines stake

8/08/2012            Bloomberg           US Airways Seeks Merger Redemption in AMR After Failures

8/09/2012            wsj.com               President of American Pilot Union Resigns

8/12/2012            FT.com                AMR chief confident about restructuring

8/12/2012            FT.com                American Airlines consider strategic options

8/15/2012            wsj.com               AMR Can't Scrap Contract for Pilots

8/17/2012            wsj.com               AMR Continues Effort to Scrap Pilot's Contract

8/17/2012            wsj.com               AMR Makes New Contract Push, Backed by Creditors

 

 

 

 

5. 其の他のニュース

 

 旅行流通・TD

 

【法人旅行ニュース】

 

(1)HRGが中国トラベルスカイと提携

Hogg Robinson Groupが、中国のTravelSkyコンピューター予約システムと法人旅行テクノロジーで提携した。 この提携によりTravelSkyは、今後5年間、中国HRGの中国に於ける排他的GDSサービスの提供者となる。(businesstravelnews.com, 8/15/2012)

 

GDS関連ニュース】

 

(1)   イベリア航空、アマデウス株売却

IAGIB航空が、Amadeus6.66%2,980万株)を売却することとなった。 スペイン証取管理局へのIAGの申請よれば、売却はaccelerated bookbuilding方式によるものとなる。(wsj.com, 8/07/2012)

 

(2)   GDSニュース 86日〜9

86  Travelportが、新たなホテル アグレゲーター×2社をTravelport Rooms and Moreホテル予約エンジンに加えて、ホテル インベントリーを少なくとも3倍に拡大した。 70万のサプライヤーが、コミッション付きの34万のホテルをオファーする。

87  中国国際航空とTravelportがフルコンテンツ契約を締結した。 中国国際航空は、TravelportViewTripにも参加してオンラインチェックインや最新スケジュー情報へのオンラインアクセスを可能にする。

87  Amadeusが、GDS経由でDLEconomy Comfortを販売する。 Travelportは、6月からEconomy Comfortを同社のGDS経由で販売している。

87  Abacusが、フィリピンのZest Airとテクノロジー契約を締結した。 Abacusは、同社のGDSTATプラットフォーム経由でコンテンツとeチケットを流通させる。

89  TravelportLOTポーランド航空が、新たな複数年の流通契約を締結した。

89             Travelportが、ベネゼラのAvior Airlinesと新たな流通契約を締結した。

(tnooc.com, 8/09/2012)

 

 

【その他の旅行流通ニュース】

 

(1)ミシシッピクイーン丸就航

American Cruise Linesの外輪船Queen of the Mississippi丸(150人乗り)が就航した。 この河川クルーズ船は、12の船室を除く全室がバルコニーを備えている。 デッキ1には全船客を同時に収容可能な大きなダイニングを設置している。 そして、各種のエンタメを提供するために、複数のラウンジを設けている。 デッキ4では、アウトドア座席のスペースを用意している。(travelweekly.com, 8/05/2012)

 

(3)   アメリカンクイーン丸 ミシシッピ川水深不足で欠航

American Queen Steamboat Co., American Queen丸(436人乗り)が、ミシシッピ川の水深不足でMemphisからVicksburg. Miss., までの220哩の河川クルーズを欠航させた。 水深が昨年レベルよりも40フィート少ない。 船客には、将来のクルーズに使用可能な $1,000のバウチャーが配られた。(travelweekly.com, 8/10/2012)

 

(3)米国 観光政策

White House Business Councilは、経済競争力強化に関する一連のフォーラムの先週の初会合で、旅行業界のトップ達40人と協議した。 政府は、オバマ大統領が1月に発表した、2021年までに米国インバウンドを1億人にする旅行とツーリズム振興政策に取り組んでいる。 この政策は、「Visa and Global Entry」と「Implementing the Travel and Tourism Strategy」の2つの分科会により実行されている。 100日以上かかっていたブラジルや中国の米国ビザ取得が、1週間以内に短縮された。 国務省は、海外の米国大使館に米国訪問のプロモーションのためのパンフレットを配布している。 米国の入国ポイントである税関と入管のインバウンド旅客に対する対応が改善された。

新たなインバウンド振興を担当する半官半民の組織Brand USAが設置された。 旅行産業における雇用の増加は、他産業よりも大きな成果を挙げている。 米国では官民の協力体制が巧く行っている。(travelmarektreport.com, 8/06/2012)

 

(4)プライスライン2012上半期決算

Priceline上半期決算が $534.5m(増益+48.3%)となった。 欧州経済低迷を反映して第3四半期の収入増の見通しを +9%+15%とした。 その直後に株価は▲15%低下した。 投資家は、欧州ベースのBooking.comの収入に懸念を抱いているようだ。(m.travolution.co.uk, 8/08/2012)

 

ネット収入

営業利益

利 益

$2,364m

$699.9m

$534.5m

+23.6%

+46.2%

+48.3%

 

(5)オービッツ 2012上半期決算

Orbitzの上半期決算が▲$1.9mの損失計上となった。(tnooz.com, 8/08/2012)

 

ネット収入

調整EBITDA

航空

ホテル

パッケージ

メディア

$391m

$1.9m

$52.7m

$139.6m

$105.4m

$66.6m

$26.7m

+1.0%

$2.0m

$56m

1.7%

+5.0%

+12.3%

+1.5%

 

(6)オンライン旅行会社株急落

OTAの今後の利益見通しの翳りを受けて、OTA株が軒並み急落した。'travelweekly.com, 8/09/2012)

 

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NYtimes.com 青色 Expedia、茶色 Orbitz、鶯色 Priceline

 

 

(7)米航空会社 シルバーエリート会員の報償切り下へ

米航空会社が、シルバーエリート会員に対する報償を切り下げている。 AADLは、シートピッチの広いYクラス座席のフリー予約を来年から中止する。 DLUAは、3月から、2個目の手荷物を有料化した。 DLAlaskaは、空港迅速レーンの使用を禁止した。 これ等は、付帯サービス運賃を増収させるためである。 航空会社の合併によりロイヤルティー会員のマイルが増加したこと、クレジットカード会社との提携でボーナスマイルの付与が拡大したことも、報償切り下げに繋がっている。

 

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(wsj.com, 8/08/2012)

 

 

(8)ARC 7月実績 +2.65%

 

arc120813.jpg (arccorp.com, 8/09/2012)

 

 

(9)クルーズのアラカルト運賃

Carnival Cruise Linesが業界で初めて、ディナー着席券を試験的に(船室当り)$49.95で売り出した。 航空会社の付帯サービス運賃を真似ている。 この料金は、優先乗船や、下船時間選択のオプションも付いている。 ホテルでは、Resort Feesが長い間徴収されている。 しかし、これはオプションではない。 格安ホテルeasyHotel(欧州とUAE12ホテル展開)は、リモコン、早期チェックイン、部屋の清掃、手荷物預かりなど全てのサービスを有料化している。 Starwoodは、毎日のメイドサービスを不要にした顧客に対して $5バウチャーもしくはStarwood Preferred Guest Point 500ポイントを提供するGreen Choice プログラムを開始した。 しかし、これはホテルの一般的な慣行ではない。 クルーズやホテルは、チョイスが多く競争が激しいので、オプショナルサービスを有料化した場合は、顧客は即他のクルーズやホテルへ逃げて行ってしまう恐れがあるからだ。(abcnews.com, 8/09/2012)

NYC大学Tisch Center for Hospitalityによると、2011年のホテルのフィーとサーチャージの収入は、$1.95bn(前年比 +3.5%)になった。 この収入が年々増加している。(businesstravelnews.com, 8/15/2012)

 

10)北米航空供給量 過去10年間で最低

OAGによると、8月の北米の航空座席供給量が過去10年間で最低のレベルとなった。 航空会社は、巧みな需給調整により供給を削減してL/Fを上昇させている。 今年8ヶ月間では、便数ベース▲1%、座席ベース▲1%であった。 北米10ハブ空港で、供給が前年を上回ったのはSFO +7%, Charlotte +5%, Toronto +4%3空港のみである。(travelweekly.com, 8/09/2012)

 

11)チュイ第3四半期 営業利益 減益▲16%

欧州最大のツアオペレータTui Travelの第3四半期営業利益が 32m(減益▲16%)となった。 ユーロ安、北アフリカとギリシャのトラブル、イースター休暇の次期ずれ(昨年のイースター期間の収入は第2四半期計上)が収支悪化の原因。 目的地ギリシャ市場は、TuiThomas Cookにとって英国販売の10%を占めるビッグマーケットである。 それでもTuiの業績は、ライバルのThomas Cookの損失▲£26.5mを遥かに上回る。 Tuiのブランドは、ThomsonGulliver Travel(FT.com, 8/09/2012)

 

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12)ヤフー方針変更 アリババ株売却益 株主還元中止か

YahooCEO Marissa Mayerは、中国Alibaba株の一部(20%)売却による資金 $5bnを株主に還元する案を破棄して、社内留保にすることを検討している。 彼女は、Alibaba売却益を他社の買収資金に充当することを考えている。 買収する企業には、Hulu, Pintrest, Flipboardや一時期Weather ChannelWebMDが候補に挙っている。(FT.com, 8/10/2012)

 

13)メキシコシティー、メディカルツアーをプロモート

Mexico Cityが、米国インバウンド向けメディカルツアーを準備している。 Mexico Cityの観光産業収入は同市のGDP7%を構成する。 この夏だけで230万人が訪れ $700mをここで消費している。 同市は、民間病院の4つと提携して米国人向けのメディカルツアーを開発する。 米国の国外メディカルツアー市場は160万人に達している。 Mexico Cityは、この市場に9月もしくは10月に参入する。(travelweekly.com, 8/12/2012)

 

 

 

 空 運

 

【米 州】

 

 (1)ジェットブルー、独立経営志向

jb120813.jpgjetBlueは、どのアライアンスにも参加していない。 AAの合併候補企業として指名されているが、秘密漏洩禁止協定に署名して具体的な合併交渉を開始しているか否かは不明である。 jetBlueは、現在21社とコードシェア協定を結んでいる。 その財産は、JFK空港のシェア(約40%)とそこの60の路線網だ。 JFKBOS発着の国内線路線網をAAJALを含む他社にコードシェア便として提供している。 JFK=BOS路線では、1日当り125人のコードシェア旅客を獲得している。 JFK=LAXJFK=Tampaでは、1日当り50人となる。 Emiratesからは、月間6,000人の旅客がjetBlueのコードシェア便に乗り継いでいる。 Emiratesは、来年1月より毎日2便目のA380によるJFK=DXB便を追加することを検討している。(wsj.com, 8/03/2012)

 

 

 

(2)ユナイテッドのパイロット組合 労働協定に労使暫定合意

UA航空のパイロット組合Air Line Pilots Associationが、UA+CO合併後2年間の労使交渉を経て労働協定に今週暫定合意した。 これでやっとUA 5,600人とCO 4,400人のパイロットの共同運用が開始される。 運航効率が飛躍的に高まるだろう。 DLが今年6月に、新パイロット労働協定に合意したことが、UAの合意を早める結果となった。 新協定は、組合員の批准投票にかけられた後、最終化は9月となる。(wsj.com, 8/03/2012)

 

(3)米国東岸でニアミス

FAAが、20111月に、管制官のミスで、米東岸NYC市から88マイル東の大西洋上空の高度22,000フィート(6,700m)で、AAB777250人搭乗)と米軍輸送機が2,000フィート(60m)のニアミスを引き起こしていたことを発表した。 AAB777機の警報装置が作動して危機一髪で大事故を回避することができた。 関係者は、最も優れた管制施設と最も経験を積んだ優秀な管制官を配置しているNYCの管制地域のニアミス発生に大きな関心を示している。 ニアミス発生後、直ぐに再発防止のために管制方式が変更された。 FAAに報告された管制官のエラーは2007年から80%増加している。 しかし、この数値には小さなエラーや管制官の自発的ちょっとしたミスも含まれている。 全米の管制官ミスは、2011930日までの1年間で1,900件と2010年より増加していない。(wsj.com, 8/05/2012)

 

(4)FAA、アメリカン航空の整備ミスに $162mの罰金提案

FAAが、AA航空に対して $162.4mに及ぶ高額の民事制裁金の支払いを提案していることが、AAC-11裁判法廷の資料で明らかになった。 これは、2007年のMD-80型機の着陸装置収納庫内の電気配線修理を含めたAA航空の整備ミスに対するもので、FAAは、AAの意図的な整備作業回避が存在したために異例の高額の制裁金となったと説明している。 FAAは、AAと協議して最終的な制裁金を決定する。 AA航空は、制裁金額算定の根拠を明らかにしたいと言っている。(wsj.com, 8/06/2012)

 

(5)手荷物トラブル減少

SITA4月の報告書によると、世界の航空会社の手荷物紛失トラブルが、5年前の1.8%から2011年に0.9%に減少した。 2011年では、1,000個の受託手荷物中9個が目的地に旅客の到着と同時に届かなかったことになる。 トラブルの減少は、航空会社が受託手荷物を有料化したためである。 料金の支払いを嫌った旅客が、手荷物を預けるのを止めたのだ。 それに加えて、手荷物取扱電子システムのアップグレードが貢献した。 チェックインから到着地空港の手荷物ターンテーブルまでの荷物追跡技術が飛躍的に進歩している。(nytimes.com, 8/06/2012)

 

(6)ジェットブルーのピッチ拡大座席

jetBlueが、Embraer 190型機の座席ピッチ36吋のEven More Space座席を8席から16席に倍増する。 WestJet(加)は、36吋のプレミアムY座席を初めて導入する。 どちらの航空会社も、減席は発生させない。 すなわち、他のYクラス座席のピッチが狭くなる。 減収を回避して、プレミアムY座席の増収をまるまる確保するためだ。 WestJetは、他の座席のピッチの標準を3132吋ピッチとした。 Southwestは、プレミアムY席を導入していない。 全席が標準Yクラス座席だ。(crankyflier.com, 8/06/2012)

 

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(7)プレミアムY座席増加

航空会社がF/CYの中間席であるY標準座席よりのピッチが数吋広いプレミアムY座席を増加させている。 AA航空は、20139月までにMain Cabin Extraをほとんどの国内線と国際線に導入する。 DLは、6月にEconomy Comfortをメインラインの全機とリジョナルジェットの250機に導入した。 UAは、プレミアムYプロダクトを合併したCOのフリートにも装着する。 この中間座席を導入していない米メジャーはUS航空だ。 Southwestも全席均質座席を押し通している。 DLUAは、法人旅客の利用促進を狙って、プレミアムY座席のGDS経由販売を開始した。 AAは、ダイレクトに固執している。(businesstravelnews.com, 8/07/2012)

 

(8)スピリット航空、付帯サービスで訴えられる

Spiritは、片道 $8.99~$16.99usage feeを徴収している。 自社Webサイト、コールセンター、旅行会社に於ける予約の流通コストをカバーするためのフィーであると説明している。 マイアミの法律事務所は、このフィーが 政府が課している税金やチャージと誤解を受け易いとして、南フロリダ地方裁判所にSpiritを団体訴訟として提訴した。(freep.com, 8/09/2012)

 

(9)チリLATAM航空 2四半期利益 $49.7m計上

チリのLATAM航空の第2四半期利益が $49.7mとなった。 前年同期の $15.9mよりも増益となった。 収入は $1.6bn+23%増)であった。 この決算は、622日に合併したブラジルTAM航空の収支が、8日間含まれている。

6月にFitch Ratingは、LATAM航空の格付けをTAMの負債を勘案してジャンクに低下させた。 TAMは、LANとの合併前の2011年度決算で▲$165mの損失を計上し、期末の負債約 $4bnを保有している。 LATAMは、増資により負債を軽減して投資適格グレードへの復帰を狙うことを検討している。 LATAMは、合併シナジーが      合併初年度で +$170m~$200mに上ると言っている。(wsj.com, 8/10, 13/2012)

 

 

【欧州&アフリカ】

 

(1)豪州インフラ投資グループ、スタンステッド航空買収に意欲

豪インフラ投資グループIndustry Funds Managementが、STN空港を買収する計画のManchester Airport Groupの株式35% £1bnで買収することとなった。 MAGは、Manchesterに加えEast Midland, Bournemouth, Humberside空港を保有している。(Humberside82%は売却する予定) MAGは、3年前にLGW競争入札でGlobal Infrastructure Partnersに敗れている。 英競争審査委員会は、空港間の競争を促進させるために、2009年にBAALGW, STN, Scotland1空港の合計3空港の売却を命じた。 BAAは、既にLGWEdinburgh2空港を売却したが、STNについては競争委員会の売却命令の無効を控訴審に訴えている。 先週英Court of Appealは、この訴えを却下した。 BAASupreme Courtの聴聞を検討している。(FT.com, 8/03/2012)

 

(2)バージン損失計上

VSが、229日に終了した年度で、▲£80.2mの税前損失を計上した。 燃油費高騰 +32%、航空旅客税 +25%£195m)、BAとの競争激化が収支悪化の原因である。

 

税前損益

旅客数

1Q'12収入

1Q'12旅客

£2.7bn

£80.2m

£433.4m

540万人

£481.9m

130万人

+3%

£18.5m

£504.2m

+2%

+5.8%

+2.3%

 

(FT.com, 8/03/2012)

 

(3)欧州シングルスカイの道 遠し

欧州委員会は、欧州域内の空を1つの空として航空管制するSingle European Sky10年以上前から計画している。 各国は管制権の維持を主張して譲らず、この計画の実現が具体化されていない。 欧州委員会は、各国にこの計画の履行を義務づける欧州連合政府の権限強化を模索している。 Single European Skyが実現すれば、年間 $4.5bnの燃油費の節約と▲12%の排ガスの減少が発生する。 そして数百時間の管制遅延が防げる効果がある。 先月、委員会は、2014年までの各国の航空管制費(air-traffic fees)の▲€2.4bnの削減目標を決定した。 委員会は、英国の航空管制会社NATSが連合域内で最も高い航空管制費を航空会社から徴収して、昨年利益率18%を達成したのを非難している。(wsj.com, 8/03/2012)

 

(4)   ライアン航空 7月旅客輸送実績最高を記録

Ryanair7月の旅客数が前年同月比 +8%増の808万人となった。 これは、単月の輸送量の新記録である。 731日までの1年間の旅客数は、77.7百万人となった。 経済低迷による、旅客はますます格安のLCC使用を増加させている。 欧州メジャー3社のLH, AF/KLM, IAGは、いずれも損失を計上しリストラ計画を推進中だ(wsj.com, 8/03/2012)

 

(5)   ライアン航空のエアリンガス株保有 審査開始

Ø   Competition Appeals Tribunalは、7月に、欧州委員会がRyanairAer Lingus買収計画を審査する間は、英競争委員会の審査を中止するべきだとしたRyanairの訴えを却下した。

Ø   英競争審査委員会は、Ryanairが保有しているAer Lingus29.8%が競争環境を歪めていないかの審査を開始することとなった。(英国とアイルランド間の航空旅客10人中8人はRyanairAer Lingusを利用している)

(FT.com, 8/08/2012)

 

(6)   IAG、スペインのユーロ圏離脱に対する危機管理計画作成へ

IAGは、スペインがユーロ通貨圏離脱を想定して危機管理計画の作成に着手した。 IAGはスペインの銀行との取引(exposures)を6ヶ月前の27%から3%に低下させている。 ギリシャ、アイルランド、ポルトガル、イタリアの銀行との取引は 1m以下としている。 IAGの上半期営業損益は、前年同期のネット利益 88mから▲€251mの損失に大幅に悪化した。 BAは上半期で営業利益を計上したが、IBは▲€263mの営業損失を計上した。 IAGは、今年度の見通しをプライマイナス零から若干の営業損失計上に下方修正した。 IAG CEO Willie Walshは、9月までにIBの大胆なリストラが必要だと言っている。 IBは、LCCに対抗するIberia Expressを今年に設立したが、仲裁裁定により異なる勤務条件のExpressに対してもIB本体の労働条件の適用を余儀なくされている。 Walshは、Expressのスペイン国外移転が必要だと言っている。 Express設立に反対してストを打ったIBのパイロット組合は、新たなリストラに対して更に反発を強めるだろう。(FT.com, 8/03/2012)

 

(7)   フライビー(英)収入見通し低下で株価急落▲20%

英リジョナル航空会社Flybeが、20133月に終了する年度の収入が0 ~ +2%になると警告した。 経済低迷による法人需要の減少が原因だ。 Flybeの法人需要収入は40%を構成している。 Flybeは、英国国内線の28.3%のシェアを有している。(FT.com, 8/10/2012)

 

(8)伊LCCウインドジェット航空が運航停止

LCC Windjet航空が811日運航停止した。 20121月から開始していたAZWindjet買収交渉の決裂が運航停止の引き金となった。 10月まで約300,000人予約を保有している。 A320×7機とA319×5機のフリートを保有している。(channelnewsasia.com, 8/12/2012)

 

 

【アジア&中東】

 

(1)エアーアジア、ASEAN路線網拡大をねらう

AirAsiaが、2015年のASEANオープンスカイを契機にアジア地域の路線網の一層の拡充を虎視眈々と狙っている。 その手始めに、ASEAN事務局が設置されているJKTAirAsia ASEANをオープンさせた。 CEO Tony Fernandezが常駐する。 AirAsiaグループは傘下に6つの航空会社を有している。 68,000万人の人口のASEAN域内では5社となる。 AirAsia Xは、米ILFCからA330-300×6機をリースする。 この商談はおよそ $500mとなる。 2007年に設立されたAirAsia Xは、現在A330-300×9機とA340-300×2機を保有し、エアバス機×17機を発注中である。(channelnewsasia.com, 8/07, 09/2012)

 

(2)香港航空、ロンドン線運休

香港航空が、6ヶ月前に開始したHKG=LONA330-200全席ビジネスクラス)を9月より運休する。 低需要が原因。 香港当局は、整備能力が充実するまでの間、香港航空のこれ以上の大型機の導入を禁止する異例の措置を講じている。 香港航空は、2006年に設立され現在21機のフリートを保有している。(cannelnewasia.com, 8/08/2012)

香港航空は、816日、A380×10機の発注を取消すことを検討していると発表した。 エアバスにとっては大きな打撃となるだろう。 A380型機の受注残は177機で、最近の各社のデリバリー時期の調整で2013年の生産機数が30機以下となると予想されている。(cannelnewasia.com, 8/16/2012)

 

(3)キャセー航空、上半期損失計上

CX航空が630日に終了した上半期決算で、▲HK$935m$120m)の損失を計上した。 SARSの影響を受けた2003年決算以来の最悪決算となった。 CXの路線網は長距離路線が55%を占める。 その結果燃油費の営業費用に占める割合が42%と大きい。 燃油費の高騰に加え航空貨物需要の減少が決算の足を引っ張った。 貨物収入は25%を構成している。 約20%を保有している中国国際航空とその子会社 中国国際航空貨物からの配当はHK$244mであった。

 

収入

損益

燃油費

旅客数

L/F

HK$48.86bn

HK$935m

HK$20.8bn

1,430万人

80%

+4.4%

+HK$2.81bn

+6.5%

+8.6%

+0.8%p

 

CXは、燃費性能の良い航空機への更新を急いでいる。 B747-400の退役を促進している。 2012年には新造機×19機を導入する。 2019年までに92機を導入する。 FCクラスの需要減少に加え、新興LCCYクラスの旅客を盗られている。 CEO John Slosarは、CXLCCを設立するつもりはないと言っている。(channelnewsasia.com, 8/08/2012)

 

(4)キングフィッシャー損失拡大

インドのKingfisher航空の630日に終了した四半期で▲66億ルピーの損失を計上した。 前年同期の▲26.3億ルピーの損失より損失が大幅に拡大した。 収入は、▲20%減の30.1億ルピーであった。 同社は $1.4bnの負債を抱えている。 88日、デリーとムンバイ発31便が、給与遅配に抗議したパイロットや整備員を含む社員の就労拒否で欠航を余儀なくされた。(wsj.com, 8/08, 11/20129

 

 

 

 ホテル & リゾート

 

(1)ポーカーサイト、司法省と $731m支払いで和解

銀行詐欺、マネーロンダリング、賭博法違反の容疑で取調中のポーカーサイトPokerStars(マン島)が、$731mを支払って米司法省と和解した。 PokerStarsは、この司法省との取引で かってライバルだった同じ被告のFull TiltAbsolute Pokerの全資産と負債を引き受ける。 司法省は、昨年州内のオンライン ポーカー賭博に付いて規制緩和した。 しかしながら、この規制緩和を受けてオンラインポーカー賭博を解禁したのはネバダ州のみにとどまっている。 ニュージャージー、イリノイ、カルフォルニア州が、オンラインポーカーの導入を検討しているが未だ具体化させていない。 カジノ業界は、近い内の米政府のオンライン賭博の全面規制緩和を期待している。 PokerStarsも、司法省への高額の支払い行って、来るべきオンライン賭博解禁のチャンス到来に賭けている。(wsj.com, 8/02/2012)

 

(2)ラスベガスサンズ、マネーロンダリング違反で捜査される

Las Vegas Sandsとその幹部が、マネーロンダリング法違反容疑で司法省により捜査されている。 Sandsは、マカオのカジノ開発に関する米国贈賄防止法違反でも捜査されている。 司法省は、カジノがマネーロンダリングとテロリズム金融の手段に使用されているリスクが存在していると指摘している。 SandsCEOで筆頭株主のSheldon Adelsonは、大統領候補のMitt Romneyの支持者であり共和党に対しておよそ $100mを献金している。 大統領選挙たけなわのこの時期の司法省の捜査開始が、批判される可能性なしとしない。(wsj.com, 8/03/2012)

Las Vegas Sandsが、マネーロンダリング法違反で司法省の取り調べを受けている。 Sandsは、この他に司法省と証券取引委員会からForeign Corrupt Practices Act違反でも捜査を受けている。 これらの捜査は、元Sands ChinaのヘッドSteve Jacobsの違法馘首の訴えが引き金になっている。 Jacobsは、政治的コネを持つマカオの弁護士との関係に疑問を投げかけた時点で違法に首を切られたと主張している。 FCPA違反の捜査は、Sandsが資金(含む土地代金 $50m)を提供した北京のAdelson Center for U.S.-China Enterprise in Beijingの開発を問題視している。 このセンターは、米国の中小企業の中国市場進出を支援する目的で開発されているが、18ヶ月をかけた今でも未だにオープンされていない。(wsj.com, 8/09/2012)

 

(3)インディアンのカジノが破産法11条申請

インディアン部族が運営するSanta Ysabel Resort and Casinoが行き詰まった。 破産法11条(C-11)を申請した。 大口債権者のこれもインディアン部族のYavapai-Apache Nationが、San Diegoの破産法廷判事にこの申請の却下を求めている。 インディアン部族の領地は、連邦政府から自治区として独立が認められている。 部族が保有する法人格のない事業は、C-11が対象とする企業にはリストされていない。 そして部族の自治区には、犯罪を防止するために部族以外のカジノを禁止している。 このことが、C-11下における企業再建の最も一般的な2つの戦略である資産の売却と負債の株式交換(DES)をほとんど不可能にしている。 破産法専門家は、インディアン部族のC-11申請ができるかどうかは確かでないと言っている。 1989年にはAlaska Nativeの企業、2008年にはSouth DakotaSi Tanka UniversityC-11申請が認められている。

Santa YsabelC-11申請は、ネーティブ アメリカン部族の主要な債権者達を慌てさせている。 経済低迷以来、幾つかの銀行は少なくとも $1.7bn相当の部族に対する債権のリストラをいやいやながら実施してきた。 部族たちも不確実なそして費用が高く付くC-11を回避してきた。 破産法廷以外でなんとか解決して来ている。 債権者たちも、破産法と部族の法律との矛盾の整理の不確実性に立ち入りたがらない。(wsj.com, 8/06/2012)

 

(4)マカオで150人逮捕

マカオ警察が、カジノとホテルを急襲して150人を逮捕した。 この警察の取り締まりOperation Thunderbolt 2012は、香港と中国本土の当局の協力によるもので、最近連続しているジャンケット(高額賭博顧客斡旋者)に対する殺人や暴行に対する容疑者を検挙するために1,300人が尋問された。 当局は、マカオの1999年返還以前のギャングのバイオレンス再来を恐れている。 マカオの賭博市場は、Las Vegas Stripsを抜いて世界最大の賭博市場に成長した。 昨年のカジノ売上げは $33.5bn(前年比 +42%増)に達したが、最近の中国経済低迷を反映してこの成長速度に翳りが見え始めている。 香港警察は、先週、香港の21カ所を捜査してマネーロンダリング、違法賭博、売春容疑で130人を逮捕したと発表した。(wsj.com, 8/06/2012)

 

(5)インターコンチ、$1bn株主に返還

InterContinental Hotels Groupが、$500mの特配と $500mの自己株式購入を今年第4四半期に実施すると87日に発表した。 上半期の好調な決算とIHG NYC Barclay Hotelの売却($350m)が、この株主返還の原資である。 IHGは、先週、英公正取引委員会よりExpediaPricelineとの所謂垂直価格談合容疑を咎められている。 これが価格談合と認定されれば、IHGは収入の10%までのOFT支払いを余儀なくされる。 IHGは、4,500ホテル(660,000室)を運営する部屋数で世界最大のホテルチェーンである。 Holiday Inn, Crowne Plazaなどのブランド群を保有する。

 

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(FT.com, 8/07/2012)

 

 

(6)ディズニー 3四半期増益 +24%

Walt Disneyの第3四半期利益が +24%増益した。 パークとリゾート、ケーブルTVThe Avengersの大ヒットが好決算を支えている。(thewaltdisneycompany.com, 8/07/2012)

 

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編集後記

 

プライスラインの成長の軌跡

(これは、トラベルジャーナル7月16日号「躍進するプライスライン」に掲載された記事の原稿である。)

 

  Pricelineは、早くからグローバル市場に展開し、今では時価総額世界最大のオンライン旅行会社(OTA)となった。

  しかし、その成功までには、決して平坦な道ばかりを辿って来た訳ではない。

  目まぐるしいほど変化の激しいインターネット業界で、この成功を持続できるかが問われている・・・。

 

【会社沿革】

Priceline.comは、97年に米コネチカット州Norwalkに設立されたインターネット企業である。今までのサプライヤーと消費者の関係を完全に逆転させた逆オークションの「Name Your Own Price」(N-Y-O-P)システムを開発して有名になる。創業者のJay Walkerは、米国の航空会社が毎日500,000席を空席で飛ばしていることに目をつけ、この空席の在庫処理販売方式N-Y-O-Pを考え出したのだ。

 

994月にNASDAQに上場し、00年初めには航空便、ホテル、レンタカーから、住宅ローン、自動車販売、ガソリン、長距離電話、雑貨品販売、中古品販売などの多くの異なる商品のオンライン販売に事業を拡大した。そして英国のpriceline.co.uk、豪州とNZMyPrice、バーガーキング元CEOが率いるGeneral Atlantic PartnersとのPriceline Europe、香港のコングロマリットHutchison WampoaとのPriceline Asia、日本のソフトバンクとのPriceline.com Japanを矢継ぎ早に設立し世界に進出した。(この試みが、04年から始まる2回目のグローバル展開の貴重な教訓となる)しかし、Priceline.co.ukPriceline AsiaPricelinemortgagesを除いて、ほとんど全ての事業は成功しなかった。この失敗で、会社は一時破綻寸前まで追い込まれる。結局、当初の旅行プロダクト販売に復帰し、厳しいリストラ計画を実施した結果、会社設立後6年目の03年に初めて黒字を計上することができた。

 

【力強い財務諸表】

以来今日まで、ほぼ全ての年で大幅増益を達成し破竹の勢いの連続利益を計上している。12年第1四半期決算(1月〜3月)では、収入10.3億ドル(前年同期比 +28%増収)、純利益1.8億ドル(+75%増益)を計上した。連続して増益を重ねた結果、それに連れられてキャッシュフローも年々拡大し、総資産は50.9億ドルまで増加した。驚くべきは流動資産42.0億ドル(+37%増)の大きさだ。流動資産比率は83%となり流動比率は3.3倍となった。(流動資産比率=流動資産÷総資産)(流動比率=流動資産÷流動負債)財務のややこしい細かな話は別にして、Pricelineには、要するに手元資金が溢れ返っているのだ。高い収益率と力強いバランスシートのお陰で、株価は今年に入ってから +33%上昇し644.8ドル(627日)を付けている。時価総額は326.8億ドルとなり、米国航空会社時価総額最大のDelta航空の95.3億ドルを3.4倍も上回る。米国における旅行会社の昨年の総販売額順位で、American ExpressCarlson Wagonlitの老舗とライバルのExpediaに続いて第4位にランクされるメガ・オンライン旅行会社(OTA)までに成長した。

 

[米旅行会社総販売額 Top 10]

 

pl120813.jpg(注、Travelocity2010年から決算データを開示していない)

(出典:米Travel Weekly 2012 Power List, 販売額は11年実績)

 

[Priceline 収支の推移]

 

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【成功の秘訣】

Pricelineの成功は、N-Y-O-Pの逆オークション販売システムの開発と積極的なグローバル展開の2つによって達成されと言われている。N-Y-O-Pでは、サプライヤーが価格を設定するのではなくて、その反対に消費者が希望する価格をPriceline.com経由で通知する仕組みが採用されている。消費者は、希望価格と目的地(都市)を入力することができるが、航空便の場合は出発時間や直行便の指定ができない。その上に払戻が効かない。格安運賃の購入の見返りに、消費者には厳しい条件が強いられることになる。(希望価格の指定に際しては、Pricelineが提案する推奨価格が入力前に消費者に提示される。また、極端に安い希望価格は受け付けられない)

 

在庫処理を抱えてしまったサプライヤーは、価格引き下げて在庫を一層したいのはやまやまであるが、値引きによるブランド毀損を怖れて簡単には値引きできないジレンマに立たされている。N-Y-O-Pであれば、消費者が実際に購入するまではサプライヤー名(航空便名)が明かされないので、サプライヤーは値引き価格の露出によるブランド毀損のリスクを回避できることになるのだ。在庫を抱えたサプライヤーは、このシステムに飛びついた。(消費者が購入するまでサプライヤー名が明かされないシステムは、オペーク/opaque/"曖昧な"販売と呼ばれている)(但し、景気が回復に向かい始めると、在庫が減少する結果サプライヤーのN-Y-O-P依存は少なくなるという傾向がある)

 

先の国際市場進出に失敗したPricelineは、2回目のグローバル展開に際してオーガニックな進出方法に代えて企業買収戦術を採用した。04年にActive Hotels(英)を買収し、05年にBooking.com B.V.(蘭)、07年にはAgoda(タイ)(いずれもホテル販売OTA)を買収した。そして10年にはレンタカー販売のTravelJigsaw(英)を買収した。(Active HotelsBooking.com B.V.は、05年にBooking.comに統合された)(TravelJigsawは、rentalcars.comに名前が変更された)

これ等の欧州とそれに続くアジアのOTA買収により、Pricelineの国際販売(ほとんどホテル販売)が劇的に増加した。2011年第1四半期の国際販売額は、54.5億ドルに過去2年間で売上げが約2.8倍に増加し全販売額の80%以上を占めるまでに至った。

 

[PricelineExpediaの総販売額推移]

 

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Pricelineは、買収したOTAをそのまま継続して独立させ、彼らの自主的な経営を尊重した。米国で流行ったN-Y-O-Pは国際販売には適用せず、買収前から行われていたBooking.comのコミッション販売方式と、Agodaのマーチャント販売方式をそのまま継続させているのだ。(マーチャント販売とは、卸値による販売を指す)この素早いグローバル展開と買収企業の独立運営が、Pricelineの成功の大きな要因となったことは間違いない。

 

 

【米大手OTAとの比較】

ライバルのExpediaと比較して見るとPricelineの特徴が良く解る。収入規模は、Priceline 10.3億ドル(第1四半期 以下同じ)に対してExpedia8.1億ドルとそんなに大きく変わる訳ではない。大きく変わるのは、国際販売とマーチャント販売による収入だ。Pricelineの国際販売54.5億ドルは、Expedia 32.6億ドルの1.7倍の規模となる。マーチャント販売の収入については、もっと際立った違いを見せている。Pricelineのマーチャントは、4.9億ドル(全収入比48%)に対してExpediaのそれは6億ドル(74%)となる。Pricelineではコミッション販売が多いのに対して、Expediaの収入のほとんど(3/4)はマーチャントとなる。Pricelineでは、15%程度のマージンのコミッション販売を中心とした45.9百万ルームナイトのホテル販売が利益の源泉だ。Pricelineが、ホテル販売OTAと言われている所以だ。それに対してExpediaは、マージンの高い(15%30%と言われている)マーチャント販売で稼いでいる。Expediaは、22.7百万ルームナイトのホテルに加えて航空、レンタカー、ツアーなどの多くの種類の旅行プロダクトを販売している。

米大手OTA 4強の残るOrbitzTravelocityは、ここ数年間、連続して欠損を計上し、PricelineExpediaに大きく引き離されている。Orbitzの第1四半期の総販売額 31.4億ドルは、Pricelineの半分以下(47%)にしか満たない。

 

[PricelineExpediaのコミッション販売とマーチャント販売収入の推移]

 

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