旅行流通速報 Vol. 549 号
1. 家 族 旅 行
2. モバイルと旅行
(1) モバイル利用者の2/3は間際予約
(2) モバイル旅行アプリケーションの法的問題
(3) DMOのモバイルアプリ マーケティング
(4) ネイティブ旅行アプリ、モバイルWEBの95%
3. 旅行会社とオンライン旅行会社の違い狭まる
4. 法人旅行管理会社、航空付帯サービス運賃を批判
5. 其の他のニュース
6. 編集後記「GDSスライドプレゼンテーション」
travelweekly.com, 8/28/2012
1. Family affair
家族旅行
家族旅行が、米国の成人レジャー旅行市場の+30%に達した。 大幅に成長している儲かる家族旅行市場が、旅行の販売業者にとっての魅力あるターゲットとなりつつある。 ファン&サンのクルーズやオールインクルーシブのリゾートパッケージが、より広範囲な目的地の、祖父母、父母、子供の3世代がしばしば参加するボランティアツーリズム(voluntourism)や冒険旅行体験(adventure travel experience)に拡大しつつある。
家族旅行は複雑だ。 子供に対する健康食の手配、トィーンズやティーンズ(tweens and teens)が参加するプログラムの提供、家族が一緒になって活動するプログラムの提供が必要になる。 家族旅行を購入する人たちは、家族の絆を強化するために休暇を利用しているようだ。 単なるR&R(rest and recreation)と異なるというのだ。
団塊の世代の多くの人たちが、孫を連れた家族旅行を欲している。 3世代の旅行となると、世代毎に異なるニーズや嗜好への対応が必要になる。 旅行のどの部分(期間)を家族と同一行動とし、どの部分を別行動とするかの案分が難しい。 もちろん、旅行者毎にこの案分の構成比率は違ってくる。
「可愛い子供には旅をさせろ」の通り、家族旅行中のエクスペリエンスが重要だ。 ボランティア活動も、エクスペリエンスの中で大きな位置を占めている。 これらの経験を通じて、知らない土地(目的地)の人々との交流を深めることによって、子供達の社会意識の向上に繋がるという訳だ。 ディズニーが提供しているエジプト、中国、ガラパゴスへのカルチャー旅行も人気が高い。
家族旅行を実施する人たちの旅行会社利用が増加している。
2. モバイルと旅行
8月27日〜9月2日の間の、目についたモバイル関連記事を掲載した。
(1)モバイル利用者の2/3は間際予約
Ø 旅行プロダクトをモバイルで購入する人たちの70%近くは24時間以内の旅行のための間際予約である。 これは、Expediaのモバイル利用者である米成人2,000人を調査した結果である。
Ø 10人中6人が、スマートフォーン若しくはタブレットを利用している。
Ø 旅行者の68%が、24時間以内に宿泊するホテルを予約している。 それに反して、24時間以内の航空便を予約する人たちは17%しかいない。
Ø 40%が2つ星ホテルを、37%が3つ星ホテルを、13%が4つ星を、2%が5つ星を予約している。
Ø 金曜日(16.3%)と土曜日(16.5%)の予約が多い。 週央では、月曜日が最低(12.9%)、水曜日が最高(14.2%)となる。
Ø 86%が旅先で、スマホで写真を撮っている。 そして54%がFacebookで、9%がTwitterで、6%がInstagramで撮った写真を友人達とシェアしている。
Ø 最も人気のある目的地は、10目的地中9が米国都市だ。 NYC, Orlando, LAX, LAS, SFOが含まれる。 唯一の海外目的地はパリである。
Ø Expediaは、モバイル用のホテル予約アプリをリリースした。 北米と欧州の2,000のホテルのおよそ▲30%引きの間際予約の価格を提供する。 Expediaは、米国のOTA市場で40%のシェアを有している。
Ø Pricelineは、2011年9月に、ホテル間際予約 Tonight Only を立ち上げている。 全米34都市の3つ星と4つ星の当日売りのホテルを最大▲35%引きで販売している。
Ø 米レジャー旅客のスマホの所有者は、2012年の54%から 2015年には90%となるだろう。
(tnooz.com, 8/30/2012) (travelweekly.com, 8/30/2012)
(2)モバイル旅行アプリケーションの法的問題
Ø モバイルアプリの開発に当たっては、少なくとも法的問題や流通ライセンスとプライバシー保護ポリシーを知っておく必要がある。
Ø 第三者によって開発されるアプリの著作権の帰属は、あらかじめ開発業者との間で契約を取り交わしておかないと開発業者の帰属となる。
Ø 同様に、クライアントがいかなる著作権侵害の訴訟からも除外されることを開発業者と契約しておく必要が発生する。
Ø 特に、モバイル旅行アプリは、複数のソース(GDS、マッププラットフォーム、ソーシャルの要素があればソーシャルネットワーキングなど)のデータへのアクセスとそこからの情報の提供を必要とする。 従って、開発業者とクライアントの両方は、どのソースにアクセスする必要があるのかとか、APIやその他のライセンスが必要となるのかどうか、必要となる場合の値段はいくらか を理解しておく必要がある。
Ø 例えば、APIライセンスが社内利用のみの場合であっても、消費者にデータを提供するアプリによってそのAPIがアクセスされる場合は、そのAPIがコピー可能か否かの議論の余地はあるけれども流通ライセンスの購入が必要になる。
Ø 多くのアプリは、依然としてプライバシーのポリシーを持っていないが、消費者のプライバシー情報を取得するアプリは、プライバシーのポリシーを目立つ場所に掲載しなければならない。
Ø プライバシーのポリシーは、一般的には、個人情報の収集方法とその利用と共有について説明するものである。 このポリシーに準拠しない場合は、明確に法的責任を負うことになる。
Ø アプリケーションは、巨大なデータを使用し保有することになる。 データは大きな商業価値を有している。 特に無料アプリの場合は、基本的収入は広告収入となる訳だが、アプリによるデータ収集に依存することになる。
Ø 多くのアプリは、特に旅行関連アプリは、LBS(Location-Based Services)の位置情報機能が重要になる。 Cellular Telecommunications Industry Association(CTIA)は、位置情報に関するプライバシー保護のためにBest Practices and Guidelines(March 23, 2010)を発行している。 このGuidelineが、位置情報を利用するアプリに適用されることになる。
Ø プライバシー保護の問題への適切な対応如何は、ディジタル アプリケーション ストアによるアプリケーション調査の中心だ。 消費者との関係では、モバイルEULA(end user license agreement)が存在する。
(tnooz.com, 8/27/2012)
EULA(end user license agreement)http://e-words.jp/w/EULA.html
あるソフトウェアについて、ユーザがそのソフトウェアを使用する上で守るべき条件などをまとめた契約書。ユーザはこの契約書に同意することによって、ソフトウェアを使用する権利(ライセンス)を取得することができる。EULAに記載される条文には、ソフトウェアの知的財産権を保護するための制限事項などが含まれる。具体的には、ソフトウェアをインストールすることのできるコンピュータの台数や種類の制限であるとか、バックアップ目的などでソフトウェアをコピーする際の制限などである。他にもユーザがソフトウェアを利用する上での免責事項などもEULAに含まれる。EULAはソフトウェアのインストールを開始する時点で画面上に表示されることが多い。大抵は契約書の条文とともに「同意する」および「同意しない」などと書かれたボタンが現れ、ユーザが「同意する」のボタンをクリックすることによりユーザが条文に同意したものとみなされ、インストールが実行される。「同意しない」をクリックした場合にはユーザが条文に同意しないものとみなされ、インストールは開始されず、ソフトウェアを使用することができない。
(3)DMOのモバイルアプリ マーケティング
米成人の半分以上が、既にスマートフォーンを保有している。 目的地マーケターにとっては、モバイルに適合したWebサイトに加えアプリケーションの開発を検討する必要性が日に日に増している。 アプリに関する考慮するべき3つの重要なポイントは以下の通りである。
・ 新たなコンテンツの創造:
目的地ベースの写真や旅行記のツールである内蔵カメラの利用は、時代の流れを変えるほどのインパクトを持っている。
・ Facebookによるシェアリング:
新たな写真、旅程などの全てのアプリのアクションは、Facebookのシングルサインオンで極めて容易に起動可能である。
・ プッシュ・ノーティフィケーションによるマーケティング:
30%〜70%の新アプリ利用者は、ノーティフィケーションを得るためにオプトインしている。 我々の経験では、ノーティフィケーションのタップ率(tap-rates)は、Eメールのクリック率を遥かに上回る。
目的地マーケターは、自分の目的地のコンテンツを作り出し、見込みある訪問客へ マーケティングする仕事を担っている訳だが、いつかの時点では自身のモバイルアプリを必要とするだろう。 アプリの成功には、優良コンテンツ、機能的ユーザインタフェース、継続的コンテンツ更新の3つを含む基本的品質基準に適合することが重要だ。
新たな無料アプリの宣伝のために、即有料モバイル広告を使用するのは控えた方が良い。 安定的ユーザの獲得や、チャーンレート(サービス解約率)の安定化までは、インストールに幾ら支払うかを決めるのが困難だからだ。 一方で、モバイル機器をターゲットにした、AppleのiAds, GoogleのAdMob, FacebookとTwitterのモバイルターゲット広告などアプリに特化した、多くのCPCオプションが存在するので、クリックに支払う前に自分の組織(DMO = Destination Marketing Organization)にとってどれが相応しいのかを先ず理解するためにベースラインを設定することを強く進める。
無料の、或は安い 以下の6つのチャネルが存在する。
1. モバイルWebサイト訪問者へメッセージ
単純な数行のJavascriptによって、Webサイトのユーザを割り出し、彼らにアプリのダウンロード通知することができる。
2. Eメールリスト、Facebookファン、Twitter、Pintrest、Tumblrフォロワーの活用
既に、自分の目的地に興味を持っている人たちを抱えているのだから、彼らにインセンティブを与えて目的地のプロモーションの良き協力者とするべきだ。
3. ローカル企業へのスティッカーの表示
多くのローカル企業(店)が、実際に商業上の具体的な関係がなくとも店先にTripAdvisor, Yelp, Foursquareのスティッカーを張っている。 関係を有するローカル企業に自身のスティッカー(QRコード付きならなお良い)を張ってもらえ。
4. 看板(signage)の交渉
ビジタービューローの部屋、通りのサンドイッチボード、広告板、フェスティバルのよく見える場所のサインなどの露出に努めるべきだ。
5. 地元のプロモート
地元にとってDMOのアプリは、顧客を運んできてくれる良き協力者である筈だ。 地元新聞やTVや雑誌にアプリの記事やニュースの報道を依頼しろ。
6. 都市、街、近隣の利用
地元のファンやフォロワーを活用しない手はない。 街のPRエージェンシー、商工会議所、ワイン醸造所、その他の産業のアライアンスが強力な助っ人となる筈だ。
これらの6つの努力の積み重ねの後に、クリックベースの広告を考慮したら良い。
(tnooz.com, 8/29/2012)
(4)ネイティブ旅行アプリがモバイルWEBの95%
米国のスマホ利用者のネイティブのアプリケーション利用が、過去数ヶ月間、モバイルWeb利用を上回った。 しかし、旅行のカテゴリーとなると、モバイルWebの利用はほとんど消滅してしまっている。 Nielsenが本日発表したところによると、旅行関係コンテンツの全モバイルトラフィックの95%が、モバイルアプリ(特にiOSとAndroidのプラットフォーム)からのものだということが判明した。 モバイルWebのトラフィックは5%しか存在していない。
Googleが検索市場を席巻したように、モバイルと親和性の極めて強い旅行のカテゴリーでもGoogleが同様の位置を占めそうだ。 Google Maps(ネイティブアプリとモバイルWebの組み合わせ形式)が、2012年6月に旅行のカテゴリーの78%を席巻した。 7,800万のアプリユーザと1,700万のモバイルWebのトラフィックを記録したのだ。 Appleが、自社で開発したマップの利用を優先させてGoogle Mapsの利用を中止したので、どのような変化が現れるか興味が尽きない。(TechCrunch.com, 8/29/2012)
travelmarketreport.com, 8/30/2012
3. Customers Differ, But Chasm Narrows Between Agencies and OTAs
旅行会社とオンライン旅行会社の違い狭まる
伝統的旅行会社とオンライン旅行会社(OTA)は、最大のライバル関係にあったが最近は様子が変化しつつある。 PhoCusWrightによれば、レジャー旅行会社のエージェントの20%が、顧客のリクエストをOTA経由で予約しているというのだ。 そして、多くの旅行販売者が、幾つかのOTAが提供している旅行会社アフィリエートプログラムに参加しつつある。 そして、OTAが、数年前から年中無休のライブの電話サービスを実施して、伝統的旅行会社の領域であるオフラインの顧客サービスを開始している。
Expediaでは、24時間営業のライブ電話サービスを提供している。 予約後の変更や取消に関する電話がかなりの量となっているが、電話サービス自体のトランザクションは極めて小さなシェアでしかないという。 Expediaでは、ライブ電話サービスによる増収(伝統的旅行会社からのシェア奪取)など期待していない。 同社は、旅行会社のユニークなパーソナルサービスと目的地の知識には敵わないと考えている。
PhoCusWrightは、旅行会社の顧客は特別なサービス或は国際旅行や複雑な旅程の手配を欲している人たちだと言っている。 一方、OTAの顧客は、価格センシティブな人たちだ。 OTAは、薄利多売なモデルだ。 従って、旅行会社の顧客は、OTAの顧客より年取った人たちだ。 旅行会社の顧客の2/3は45歳以上の人たちだ。 32%は60歳以上だ。 旅行会社のこの層の顧客はより多く消費する。
travelagentcentral.com, 8/28/2012
4. BTC Blasts Airline Ancillary Fee Policy
法人旅行管理会社、航空付帯サービス運賃を批判
BTC(Business Travel Coalition)が、航空付帯サービス運賃の航空会社直販Webサイト販売を批判している。 そして、米運輸省(DOT)に対して航空会社の付帯サービス運賃を開示させることを要求している。 Open Allies for Airfare Transparencyの発起人であるBTC会長のLevin Mitchellが、以下の通り主張している。
Ø 「顧客にカスタマイズした旅行を販売するためには、顧客との直接のコンタクトと、パーソナリゼーションされた旅行と、顧客の認証(authentication)3つが揃った新しい販売方式が必要だ」と航空会社は言っているが、それは、航空会社が唯一価格の差別化と不適切な基準によるバイアスを実施するための何ほどでもない。 航空会社は、この新たな販売方式(モデル)により運賃値上げの抑制を約束すると言っているが、運賃の透明性が欠如しているのに、どうやってそれを保証できるのか?
Ø レジャー旅行者よりスケジュールの融通が効かない法人旅行者は、運賃が全面的に公開されていない環境下で、航空会社が言っているところの"パーソナライズドした"高い運賃の購入を強いられている。
Ø 顧客は、航空会社のパーソナリゼーションのプロトコルからオプトアウトして、旅行会社、TMC、メタサーチサイト、OTAに行って、自身を明らかにせずに(authentication無しに) 全てのオプションを比較することができるようになっているのだろうか?
Ø 航空会社は、新たな価格差別化手法を駆使して旅行会社、TMC、法人旅行プログラムを競争上不利におとしめるか 或は弱体化させて、比較ショッピングができない、法人旅行ポリシーとの照合ができない、善管注意義務が全うできない 航空会社の直販Webサイトに顧客を引きつけている。
Ø 旅行会社、TMC、法人旅行担当部門、ARC公認法人旅行部(CTD)は、法人旅行のためのベストなバリューを決定するために必要となる完全かつ正確な航空運賃情報へアクセスできていない。 そのため、市場レートとの比較やコスト節約を実行でないでいる。
航空会社は、2008年に、彼らの最も重要な顧客である法人旅行者の付帯サービス運賃情報の要求を拒絶した。 そのために、購入前のオプショナル運賃(付帯サービス運賃)を含む全ての運賃の合算が困難となってしまった。
米航空会社とGDSは、2006年に、GDSの規制緩和の2年後に、過去20年間で初めての市場交渉を行った。 この交渉は、GDSブッキングフィーの値下げが焦点であった。 その6年後の今年、2回目の交渉が始まっている。 しかし、今回の交渉の焦点は、コストの問題から航空会社による顧客のコントロールと長期的な収入源の確保にシフトしている。 この点では他の産業と違いはない。 しかしながら、航空会社の意図していることは、顧客とバリュチェーンのステークホルダーたちをほとんど無視して、チェーンへの参加者を自分たちが決定し、顧客に対して新たな航空券購入方式を押し付けようとしている点で他の産業とは大きくかけ離れている。
ここ数年、幾つかの航空会社のCEOは、サプライチェーンの参加者と最終消費者による 航空会社のコンテンツへのアクセスを有料化したいとはっきり言っている。 彼らは、航空会社の流通とマーチャンダイジングのコストをプロフィットセンターの収入項目に転換する夢を追っている。 航空会社の新販売モデルは、明らかにこの夢の実現を目指している。
航空会社が、流通業者とその顧客に対して付帯サービス運賃の提供を拒んでいるは、顧客をフィーによって混乱させてそこから利益を得ようとしていることに加えて、幾つかの理由が存在する。 しかしながら、その主要な理由は、全てのステークホルダーを犠牲にして航空会社だけが有利となる新販売モデルの展開によって、旅行会社、旅行管理会社(TMC)、法人旅行部、GDSに対する航空会社の影響力を強化するためだ。
この点について、航空会社は、顧客がパーソナライズドしたオファーを求めているので、求めている旅客の認証(authentication)が必要になる(認証無しにはパーソナライズできない)と度重ねて表明している。 このパーソナリゼーションは、選択可能な全てのオプションを隠して、顧客の過去の購入履歴とその他の情報によって、航空会社が欲するプロダクトのみを販売するためのものではないのか?
このモデルでは、旅行会社が顧客のために要求する完全な航空旅行のオプションが、ATPCOの運賃とスケジュールのデータに依存しているGDS経由では提供されない。 その代わりに、航空会社 自身が、彼らが知り得た顧客のプロフィールに従って、彼らが言うところの"製造した旅行オプション"を直接旅行会社に返すことになる。 この方法は、顧客にとって有益な方法なのだろうか?
5. 其の他のニュース
旅行流通・TD
【法人旅行ニュース】
(1)カールソンワゴンリーCEO交代
CarlsonのCEOがHubert JolyからTrudy Rautioに交代した。 Jolyは、Carlson家以外の最初のCEOであった。 Jolyは、Carlson 8年間在籍後Best Buyに転職する。 Rautioは、Jolyとは異なり社内からの昇進となる。(travelweekly.com, 8/28/2012)
(2)法人旅行管理会社、データ統合作業が大変
Global Business Travel Associationが、The State of Expense Data Management and Consolidation in the Travel Industryの調査で、企業のトラベルマネジャーがデータの統合作業に追われていることを明らかにしている。 トラベルマネジャーの82%が、出張費のトータルの算出のために複数のデータソースの管理に長い時間をかけなければならないと言っている。 企業は、複数のTMC(国内旅行と国際旅行のTMCが異なっている)を利用していることもデータの処理作業を膨大なものとしている一因だ。 データ統合のソリューションが求められている。(travelmarketreport.com, 8/30/2012)
(2)GDSニュース 8月27日〜29日
8月27日 Abacusが、Scootと流通契約を締結した。
8月28日 Digital Travel(豪)がTravelportのアジア人向けの所謂VFRサービスのためのGDS契約を締結した。 Digital Travelは、1992年からGalileoを使用している。
8月28日Sabreが、欧州で初めてAZ航空と付帯サービス運賃販売のGDS経由販売を可能にした。 このシステムは、ATPCOとIATAによって開発されたテクノロジー標準に基づいている。
8月28日 Travelportが、アジアのGalileo使用旅行会社向けの空港送迎サービス予約Travelport Drive Meを開始した。 このサービスは、中国、インド、シンガポール、フィリピンの21空港が対象。 予約はPNR内に統合できる。 コミッションが付いている。
8月29日 eNettとMasterCardが、技術提携した。 Travelportが共同保有する旅行業界の決済とフルフィルメントサービスを提供する会社は、MasterCardが今後5年間eNettの欧州のバーチャルアカウント番号の排他的支払い提携者となることに合意した。
(tnooz.com, 8/31/2012)
【GDS関連ニュース】
(1)GDSとITソリューションズのニュース
· Flight Centre USAが、Sabre Red "Intelligent Fare" Solutionのパイロットカスタマーとなった。 これは、Flight CentreとSabre Travel Network間の追加5年間の契約更新に基づくものである。
· AZ航空が、複数年契約の締結によりSabre経由で付帯サービス運賃の販売を開始する。 先ずイタリア市場で開始し、後に英国、スペイン、ベルギーなどの欧州各国の市場に拡大する。
· Travelportが、アジア(インド、中国、フィリピン、シンガポール)の21空港における運転手付きのハイアー送迎予約(コミッション付き)を可能にした。
· インド大手航空会社Jet Airwaysが、旅程変更に伴う航空券の自動再発行を可能にするAmadeus Ticket Changerを採用した。
· Travelportが、中国国際航空およびポーランドLOT航空とフルコンテンツ契約を締結した。 国際航空は、Travelportの最も高度のGDSコネクティビティーを採用した。 同社は、Travelportのオンライン チェックインシステムViewTrip Webサイトも導入した。
· Sabre Travel Networkが、AviancaTacaと付帯サービス運賃販売を含むフルコンテンツ契約を締結した。
· Amadeusが、香港のLotus Tours LtdにITソリューションズのカスタマイズされたセットを納入した。
(travelmarketreport.com, 8/30/2012)
【その他の旅行流通ニュース】
(1)エアーアジア、ツイッターの投票で新路線開設
AirAsiaが、Twitterの@AirAsiaと@tonyfernandesでもって次の新路線の希望を聴取してKUL=Lombok線を開設する。(tnooz.com, 8/27/2012)
(2)トリップバーズがソーシャルメディア宿泊施設予約サービス開始
STOベースのTripBirdsは、2011年12月にソーシャル旅行サイトとして設立された。 IndexVentures, Passion Capital, Creandumなどのエンジェルから $750,000の資金を調達した。 FourSquare, Gowalla (RIP), Instagramなどのユーザの活動から情報を掻き集めた。 多くの新興サイトがバーンレートを改善するためにビジネスモデルを見直しているように、TripBirdsは設立後8ヶ月で、ホテルの基本情報の脇にユーザのソーシャルネットワークから集めた情報を併記するソーシャル ホテル予約サイトに変身した。 現在、予約はBooking.comで実施するようになっているが、今後、予約機能についても付け加えることを検討している。 ユーザのソーシャルグラフを利用するアイディは新しいものではない。 TripAdvisorのTrip Friendsは、2年以上前からこの種のサービスを開始している。 しかし、TripBirdsは、SNSの利用の規模が他のサイトよりも圧倒的に大きいと言っている。(tnooz.com, 8/28/2012)
(3)バージンが、最大マイレッジ獲得会員に宇宙旅行をプレゼント
VS航空が、2013年8月7日までのグループ会社3社(Virgin Atlantic, Virgin America, Virgin Australia)の最大マイレッジ獲得者に、Virgin Galacticの宇宙旅行を賞品に提供する。 二番目の多くのマイレッジを稼いだ会員には、"引力ゼロ飛行"を提供する。 この超豪華賞品は、貯めたマイレッジを消費する必要はない。(tnooz.com, 8/28/2012)
(4)社員が作るコンテンツ
ホテルは、SNSのROIに対して懐疑的だ。 PandaとPenguinは、Google(とBing)に対するアップツーデートとして、ソーシャルからの直接予約の獲得増加はいつも正しい目標とはならないと言っている。 このアップツーデートは、伝統的SEOキーワードよりも鮮度の高いダイナミックな人間味溢れる情報に依存するべきだと言っている。 その意味では、ホテルはコンテンツの宝の山を持っている。 UGCの情報が飽和点に達しつつあるので、ホテルはインハウスの人たちが作り出すコンテンツEmployee Generated Contents(EGC)を利用するべきだ。(tnooz.com, 8/28/2012)
(5)エアーベルリン コミッション復活
独第2の航空会社Air Berlinが、GDS経由予約に対してコミッション (3%〜7%)の支払いを復活する。 期間は、8月15日〜12月15日の間で、予約クラス毎にコミッション率が異なる。(ariberline.com, 8/28/2012)
(6)ホテル価格談合 2つ目の集団訴訟
テキサス州でホテルとOTAの価格談合を訴えた2つ目の集団訴訟が起こされた。 これは、先週の加州で起こされた集団訴訟の第2弾。 原告James Smithは、加州の裁判の被告と同じホテルとOTAを訴えている。(tnooz.com, 8/28/2012)
(7)シンガポール、NFC採用都市に一番乗り
SINが、NFC(Near Field Communication、国際近距離無線標準規格の1つ)を採用した世界最初の都市となった。 SINのモバイルネットワークの運営業者3社(StarHub, SingTel, M1)が、20,000軒の小売店とタクシーが参加したNFCサービスをロールアウトした。 SINの輸送ネットワークでは、NFCによるEZ-Linkシステムが採用されている。(tnooz.com, 8/28/2012)
(8)ホテル流通 エージェンシーモデルに転換か
米国のホテル流通が、マーチャントモデルからエージェンシーモデルに転換している。 Expediaは、① ライバルのBooking.comの好調なエージェンシーモデルへの対応を迫られていること、② 消費者は、支払いがチェックアウトとなるエージェンシーモデルを好んでいること、③ チェーンホテルは、流通コストを削減できるエージェンシーモデル契約を要求していること、の3つの理由から、エージェンシーモデルを拡大する戦略を採用した。 Expediaは、8月初めにExpedia Traveler Preferenceプログラムを導入した。 このプログラムは、消費者にマーチャントモデル(予約時点支払い)かエージェンシーモデル(チェックアウト時点支払い)のチョイスを可能にする。 Expediaは、当初はマージンの大きなマーチャントに拘ったが、サプライヤーの要求に屈したようだ。 MarriottとHiltonは、Expediaとの新たな契約をエージェンシーモデルとした。 エージェンシーモデルとなるとOTAに支払うマージンは減少するものの、グロス価格にかかることになるクレジット手数料や チェーンに支払うフランチャイズ料金が上昇することになるので、ホテルオーナーにとっての収支はプライスマイナス何方もどっちだ。 それよりもホテルは、エージェンシーモデルの場合の取消し手数料のとり漏れを心配している。 そのため、ホテルは、Expediaのエージェンシーモデルの採用を歓迎していない。 業界の一部は、エージェンシーモデルになると、現在集団訴訟が起こされている大手ホテルチェーンとOTA間の価格の談合の問題(レートパリティー参加)を回避できると指摘している。 エージェンシーモデルとなれば、OTAなどの第三者流通業者は、マーチャントレコードとはならずに済むからだ。(rate parity =オンライン上のどこでも同一価格とするために、ネットレートとコミッションを調整すること) つまり第三者流通業者は、消費者に販売する価格と同一のインベントリーをリストするだけでよくなるからだ。 価格を値引きすれば即自分自身のコミッションの減少に繋がってしまうことにもなる。 或るアナリストは、レートパリティー協定がなくなり、誰もが自由に価格を設定できれば、自然とベスト価格に修練して、結果として全てのOTAの価格がパリティーになるじゃないかと言っている。(HNN.com, 8/29/2012)
(関連記事:情報546 P2「エクスペディアの新ペイメント モデル」参照)
(9)ホテルのドリップ・プライシングが問題
Ø リゾートホテルが、消費者にとって不明瞭な「リゾートフィー」を徴収している。 リゾートホテルは、飲料水、カジノクーポン、域内電話、ワイアレスインターネットのようなアメニティーの料金だと説明している。 不可思議なのは、これらを使用しなくても一律に徴収されてしまうことだ。
Ø Pricelineのオペーク販売Name Your Own Priceでは、ホテル購入を決定するまではホテル名を明かさない。 何よりも問題なのは、購入決定後に初めてリゾートフィーが追加料金として明らかにされることだ。 1泊 $150で購入意思決定したホテルが、購入後になってリゾートフィー $22の追加料金が初めて明らかにされることだ。
Ø 予約の操作過程で、各種の手数料を付け加えて行く販売方法をドリップ・プライシング(drip pricing)と言う。 自動車や金融商品などでもドリップ・プライシングが存在する。
Ø 公正取引委員会(FTC)は、今春この問題のワークショップを開催した。 消費者の不満に対応している。 いずれは、ホテルのドリップ・プライシングも規制されるだろう。
Ø 米運輸省は、航空会社の燃油サージャーや付帯サービス運賃(それに税金やフィー)を含めた航空運賃の全額表示を航空会社と流通業者に義務づけた。
Ø リゾートフィーもホテルの付帯サービス運賃の一種だ。 NYC大学の調査によると今年にホテルは $2bnの付帯サービス運賃を稼ぐと予測している。
(wshingtonpost.com, 8/30/2012)
(10)ホテルはゲストのレビュー投稿に回答するべきだ
ホテルは、宿泊したゲストに対してレビューの投稿を奨励している。 それにも拘らず、レビューの投稿に対してマネジメントが回答しているホテルは32%しか存在しない。
レビューに回答しているホテルのレビュースコアーは、していないホテルよりも平均 +6%も高く評価されている。 また回答しているホテルは、していないホテルよりも 148%もより多くのレビューを掻き集めている。 レビューを多く集めることができれば、SEOを改善できてより多くのトラフィックをサイトに誘引することができるだろう。 ホテルのマネジメントは、レビューに対してそれが"お褒め"か"苦情"のコメントに拘らず、真摯にそしてタイムリーに回答することが不可欠だ。 1ヶ月後の回答は、回答しないのに等しい。(tnooz.com, 8/31/2012)
(11)旅行会社用ホテル予約Webサイト
CCRA Travel Solutionsが、旅行会社のWebサイトでホテルインベントリーを提供できるプライベートレーベルの新たなテクノロジープロダクトCCRA OnDemandを開発した。 旅行会社は、CCRAホテルプログラムに参加している18,000のホテルの予約が可能になる。 このプロダクトは、ネット、GDS、インターネット、CCRA Preferred、15% Enhanced Commissionの5つのレートカテゴリーを表示する。
CCRAのもう1つのプロダクトCCRA Connectは、カスタム予約アプリケーションを開発する能力を有している旅行会社、ホストエージェンシー、アグレゲーター、その他の旅行流通プロバイダー用に作られたシステムを販売している。 このシステムを使用すれば、Webサービスを通じてCCRAのホテルコンテンツ自社システムに取り込むことできる。(travelmarketreport.com, 8/30/2012)
(12)ハーツのダラー買収は旅行会社に影響を与えないだろう
HertzがDollar Thriftyを $2.3bnで買収することになった。 Hertzは、数年前に旅行会社にコミッションを支払うことを中止した。 Dollarは、依然としてコミッションを支払っている。 Hertzは、Dollar買収後もDollarのDaily Dividendsによる旅行会社に対するレンタル当り $5までのコミッション支払いを継続させるだろう。
HertzのDollar買収により、米レンタカー市場はEnterprise, Hertz, Avis and Budgetの大手3社が93%を席巻する寡占市場となる。 HertzによるDollar買収は、公正取引委員会(FTC)の厳しい審査が予想されている。(travelmarketreport.com, 8/30/2012)
空 運
【共 通】
(1)空港無人化
航空会社が空港の無人化(自動化空港)に努力している。 搭乗旅客が最初に会う航空会社の社員を客室乗務員とすることを実現化しつつある。 Alaska航空は、空港無人化に最も積極的な米航空会社だ。 SEAとSand Diegoの空港で手荷物のセルフタッギングを開始した。 そして、年内にこれを更に8空港に展開する。 AA航空は、NYC, LAX, CHIとその他の主要空港のKIOSKでセルフタッギングを開始しつつある。 先月、JetBlueは、LAS空港でセルフボーディングゲートを導入した。
航空会社の組合は、本来航空会社が提供するべきサービスを顧客に実施させているセルフ化の動きに批判的だ。 しかし、SITAの調査によると70%の旅客が手荷物のセルフタッギングを欲している。 IATAによれば、セルフタッギングやセルフボーディングは、世界の115カ所で実施されている。 IATAは、2020年までに世界の航空旅客の80%にセルフサービスを経験させる目標を立てている。 セルフ化により、航空会社は▲$2.1bnのコスト削減が可能になるという。
独LH航空は、1990年代後半からセルフボーディングの試験を開始した。 そして、昨年ドイツの主要3空港で正式にセルフを開始した。 IAGのBAは、MADのBarajas空港に於けるIB航空が所有する30のKISOKで、チェックイン手荷物のタッグのプリントを可能にした。 QF航空は、何回でも使うことができる旅客情報を格納した電子手荷物タッグを開発した。 LASのMcCarran空港の新ターミナルでは、150のKIOSKUと14ゲートで、セルフ搭乗券とセルフタッグの発行を可能にした。 しかし、搭乗旅客がセルフに慣れるまでに時間が少しかかるだろう。 カナダのWestJetでは、KIOSKの脇に案内係を配置している。(wsj.com, 8/27/2012)
(2)IATA 7月国際線旅客実績 前年比+3.4%増
IATAの7月国際線輸送実績が、旅客(RPK = Revenue Passenger km)で前年同月比 +3.4%増となった。 6月の +6.3%、今年上半期の +6.5%増よりも増率が半減している。 貨物(FTK = Freight Ton km)は ▲3.2%減であった。 6月の▲3.1%減と余変わらない。(iata.com, 8/30/2012)
【米 州】
(1)ジェットブルー航空、ゴーパック運賃拡大
JetBlue航空の"Go Pack"運賃の適用地域が、加州、ボストン、Washington D.C.から32市場に拡大した。 運賃は $768〜$2,506(含む税とフィー)で、8月28日〜9月6日の間の予約の9月13日から12月19日の間の片道直行便10回搭乗(11月20日〜26日はブラックアウト期間)に適用となる。 JetBlueは、6月にBOSとテキサス州間をバレル当りの原油価格と同じ価格で発売した。 2009年には、需要閑散期の9月と10月に限ってJetBlueの路線何処でも乗り放題のAll-You-Can-Jetプランを $599で販売した。(wsj.com, 8/28/2012)
(2)ゴーゴー、カナダから周波数割当られる
Gogo Inc.が、カナダから同国の無線周波数スペクトラムの一部の割当を受けた。 これにより、Gogo社製システムによる米加国境を跨ぐ機内Wi-Fiサービスの提供が可能になった。 Gogoは、米国最大の航空機機内Wi-Fiシステムのメーカーである。 北米の商業機の84%に相当する1,500機が、Gogoシステムを装着している。 今年上半期に $112.1mの収入を計上し、NASDAQ上場のための登録書(registration documents)を申請したが、上場時期は明らかにしていない。 Gogoは、カナダで空地移動通信用鉄塔を建設し、2013年末までに同国における商用機とビジネス機の機内Wi-Fiサービスの提供を開始する。(wsj.com, 8/28/2012)
(3)アルゼンチン航空 スカイチーム参加
Aerolineas Argentinas航空が、正式にSkyTeamに参加した。 同社は、昨年よりDL航空とコードシェア協定を締結している。(travelweekly.com, 8/29/2012)
(4)ユナイテッド航空 旅客システム障害
UA航空で、8月28日、旅客システムの2時間以上にわたる障害で全世界の空港に於ける搭乗券の発行と搭乗手続きができなくなり、580便(総便数5,600便/日の約10%)が遅延、9便が欠航した。 この障害で、スケジュール混乱時の旅行会社の顧客支援能力が見直されている。(travelmarketreport.com, 8/30/2012)
(5)マイレッジ報償航空券の賢い使い方
航空会社のマイレッジ報償航空券(アワードチケット)の希望便予約成功率は2009年以来55%〜60%となっている。 2006年〜2009年の70%よりも低下している。 各社が供給を絞り、クレジット会社などにもマイレッジを大量に販売しているためだ。 賢いマイレッジの使い方は;
① コールセンターに電話しろ。 月曜日〜金曜日の昼間帯には、日勤のベテランの予約係が希望便の予約を助けてくれる。
② FFP会員となっている航空会社と提携している航空会社の座席を予約しろ。 パートナーの航空会社の座席の方が予約できる確率が高い傾向がある。
③ クレジット会社のポイントをマイレッジに転換しろ。
④ ExpertFlyer.com($4.99/月から)を利用して、マイレッジ使用可能便を自動検索しろ。
⑤ 安い(マイレッジ使用が少ない)間際予約によりマイレッジ使用を節約しろ。
(wsj.com, 8/29/2012)
(6)米航空会社、9月業績低下
米航空会社の9月業績がパッとしない。 Airlines for Americaは、9月の航空旅客需要が8月に比して▲16%低下したと言っている。(9月はもともとスラックシーズンであることに注意が必要) 各社の月次の単位収入が、今年1月に比べて7月が大幅に低下した。 UA航空では1月の前年同月比 +9%であったのが 7月にはゼロ%に、DLでは +15%が +5%に、USでは10%が1%にそれぞれ落ち込んだ。 世界の航空旅客需要も、6月の +6.3%から7月の +3.4%増に増率が減少している。 ジェット燃料のガロン当りスポット価格は、今年後半4ヶ月で、前8ヶ月のスポット価格 $3.06よりも10セント〜20セント上昇すると予想されている。 昨年の平均価格は $3.0であった。
アナリストは、業績に翳りが見られるものの米航空会社は、需給調整方式の改善、イールド管理の充実、付帯サービス運賃の増収、コンソリの進展などにより今年に利益を計上すると予想している。(wsj.com, 8/30/2012)
(7)アメリカン航空とUS航空の合併交渉開始
AA航空とUS航空が、8月31日、合併交渉のために必要となる秘密遵守協定(NDA)を締結した。 両社は、Unsecured Creditors' Committeeとの密接な協業によりこの交渉を進展させることに合意した。 なおNDAの締結は、合併交渉の合意を保証するものではない。 AAの3主要組合は、4月に合併した場合のUA航空労働協約案に暫定合意している。(wsj.com, 8/31/2012)
【欧州&アフリカ】
(1)スタンステッド空港 売却へ
BAAが、英競争委員会(Competition Committee)の命令に屈して、遂にSTN空港を年内にも売却することを検討している。 同空港は、2007年の2,400万人利用をピークに減少傾向にあり、2011年には1,800万人、今年は更に減少することが予想されている。
これで、ロンドンのハブ空港であるLHR、LGW、STNの3空港の内、LHRだけがBAAが所有し運営する空港となる。 ロンドン中心部から40マイル北北東に位置するSTNは、2級のモーターウエーの接続に依存し、鉄道リンクは存在しないアクセスの問題がある空港である。 買収者は、高速鉄道リンクの建設を優先させなければならいだろう。
Lord Foster設計の2009年に建設された旅客ターミナルは、年間3,000万人の利用者を収容可能で、LGWの老朽化したターミナルの再建の問題はここでは発生しない。
観光旅客の減少により、AA, CO, EL ALなどの多くの航空会社がSTNから撤退した。 STNを基地とした航空会社では、大西洋全席ビジネスクラスのMaxjetやEosが運航停止(倒産)を、最近ではAirAsia Xが運航停止を余儀なくされた。 BAが作ったGoは倒産して、その一部はEasyJetに吸収された。 KLMのBuzz(元AirUK)も倒産した。 STNの価値は幾らになるのだろうか? Edinburgh (£800m), London City (£750m), LGW (£1.51bn), Southend (£21m) の空港の売却価格が参考にされるだろうが、これらは売却後に即空港改善投資が必要となった。 この空港を基地としているRyanairが、買収コンソーシアムと組んでSTNの27%の買収を検討している。 韓国の仁川空港も買収に興味を示している。 有力買収候補にはManchester Airport Groupのグループか、または中東の買収者の可能性も存在する。(btnews.co.uk, 8/27/2012)
(2)ルフトハンザ客室乗務員組合でスト
LHの客室乗務員組合Independent Flight Attendants' Organizationが、より長い乗務時間や給与支給基準などの会社の労働条件の改訂に反対して、8月31日、FRA空港で少なくとも18,000人の組合員が参加した8時間のストライキに突入した。 FRA空港発着のおよそ200便が欠航し26,000人の乗客に影響が出た。 LHでは、管理部門の3,500の職を削減し▲€1.5bnをコストカットするリストラが進行中である。 組合は、FRA以外でも同様のストを実施する構えだ。 会社と組合は、客室乗務員の労働協約改訂で既に13ヶ月間も交渉しているが、未だに合意に達していない。(FT.com, 8/31/2012)
(5)欧州委員会、ライアンエアーのエールリンガス買収審査開始
欧州委員会の競争監視当局が、8月29日、Ryanairの3回目の €694mによるAer Lingus買収計画に対する本格的審査を開始すると発表した。 同委員会は、2007年のRyanairの第1回目の買収の試みに対して、アイルランド発着路線に於ける競争環境が著しく悪化するとしてこれを承認しなかった。 2008年の第2回目の買収計画は、25%の株式を保有するアイルランド政府の反対により成功しなかった。 アナリストは、今回の買収計画も競争環境の顕著な阻害の理由により先ず承認されないだろうと予想している。 事実、RyanairとAer Lingusの両社が競合しているアイルランド発着国際線は、2007年の35路線から今日では50路線に増加しているので、合併により予想される競争環境の悪化は一掃ひどいものとなるだろう。 Ryanairは、欧州委員会から買収の承認を得るために一部路線の空港発着枠を他社に割譲する用意があると言っている。 そしてAF/KLM, easyJet, Etihad, Flybe, IAG, Virgin Atlanticに対して、割譲した発着枠を使用して路線参入する意思があるかどうかを問い合わせているが、各社からはポジティブな回答を得られていない。 Ryanair CEO Michael O'Learyの本当の狙いは何なのだろうか?と憶測されている。 Ryanairが保有するAer Lingus株29.8%に対する英競争審査委員会の審査を引き延ばすためなのだろうか?(Ryanairは、欧州委員会の審査の間の英競争委員会審査の中断を要求している) あるいは、Aer Lingus株の高値売却のための狡猾な戦術なのだろうか? Ryanairは、2010年頃より全機ボーイング機による成長路線から株主配当を優先する戦略に変更している。 ボーイング機の大幅値引きによる第2回目の大量発注計画が成功していないからだ。 そのため、機材発注のための資金を株主に還元し始めているのだ。(FT.com, 8/29-30/2012)
(6)ベルリン新空港開港さらに少なくとも半年延期
BERの新空港の開港が、更に少なくとも半年延期されることが確実となった。 火災時の安全確保の問題などの解決のために、2013年以前の開港が絶望的となっている。 同空港は、当初計画では昨年6月開港予定であったが、2012年3月に延期され、今回の延期は3度目の延期となる。 建設費用も、€2.8bnから €4bn以上に増加し、現時点でどれだけ更に膨らんでいるのかはっきりしていない。(wsj.com, 9/04/2012)
【アジア&中東】
(1)中国国際航空、上半期減益▲77%
中国国際航空(Air China)の6月30日に終了した上半期が、前年同期比▲77%減益の9億4,450万元となった。 為替差損▲3億4,100万元が大きく影響した。 為替差損、燃油飛行等、旅客需要の翳りにより、中国国営3社合計でも▲50%以上の減益を余儀なくされている。
【中国国際航空】 (単位:億元)
収入 |
利益 |
燃油費 |
為替差 |
旅客数 |
L/F |
453 |
9.445 |
178.1 |
▲3.41 |
3,475万人 |
80.04% |
+4% |
▲77% |
+13% |
+14.8 |
+3.3% |
+0.71%p |
【中国南方航空】 (単位:億元)
収入 |
利益 |
燃油費 |
為替差 |
旅客数 |
480.3 |
4.24 |
178.1 |
▲3 |
4,121万人 |
13% |
▲85% |
+13% |
+12 |
+7.2% |
(wsj.com, 8/28/2012) (channelnewsasia.com, 8/28/2012)
(2)バージンオーストラリア航空、利益計上復帰
Virgin Australia航空が、6月30日に終了した会計年度でA$22.8mの利益を計上した。 前年同期の損失▲A$67.8mから利益計上に復帰した。 ライバルのQF航空(▲A$244mの損失計上)からハイイールド旅客の転移とSQを含むコードシェア便の収入増が、この好決算に貢献した。 収入の20%は国内線収入。 しかし、今後の収支の見通しがはっきりしないため配当を見送る。(channelnewsasia.com, 8/28/2012)
(3)フィリピン航空、エアバス機×54機発注
PR航空が、8月28日、エアバス機×54機($7bn)を発注したと発表した。 内訳はA321×44機(内A321neo×10)、A330-300×10機。 同社は、合計で100機(内26機は長距離機)の新造機の購入を計画している。 今年4月にフィリピンのコングロマリットSan MiguelがPRの49%を $500mで買収し経営権を獲得した。 しかし過半株はフィリピンの第2位の富豪Tanが保有している。 1941年に運航開始したPRは、2011年12月に終了した四半期で前年同期の +$15.1mの利益計上から▲$51mの損失計上を余儀なくされている。 昨年9月には、ケータリング、空港サービス、コールセンターのアウトソーシングによる▲2,600の職の削減に抗議した山猫スト(1日間)が発生したが、会社はこのリストラを強行した。 現在、39機のフリートにより内際31地点に路線網を張っている。(channelnewsasia.com, 8/28/2012)
(4)ボーイング、2031年までに34,000機の新造機需要予測
ボーイング社は、新造機需要が2031年までに34,000機になると予測した20年航空機需要予測を発表した。 この内、アジア太平洋地域(APAC)の需要が40%を構成し、この地域が世界最大の新造航空機市場となると予測している。 また、この予測は2030年までに185,600人のパイロットと243,500人の整備士がAPACで必要になると言っている。 ボーイングは、これらの要員養成を支援する。 一方エアバスは、アジアの需要が今後20年間で9,370機に達すると予測している。(channelnewsasia.com, 8/28/2012)
ボーイングはインドの2031年の新造機需要を1,450機($175bn)になると予測している。 昨年予測の1,320機より増加させている。 インドの商業機の世界シェアが、数年前の1%以下から2031年には4.3%に増加すると予測している。(wsj.com, 9/04/2012)
(5)中国、エアバス機×50機発注
中国が、8月30日、A320型機×50機($3.5bn)を発注した。 ドイツの貿易使節団の団長として訪中したメルケル首相と中国温家宝首相との間で結ばれた中独貿易協定の中にこの航空機購入も含まれている。 中国の機材発注者は、国営銀行ICBCのリース部門ICBC Leasing社となる。 中独間貿易は、2011年に $169bnに達している。(channelnewsasia.com, 8/30/2012)
(6)目立つカンタス業績悪化
QF航空が、6月31日に終了した会計年度で、過去ほとんど20年間で初めての損失▲A$245mを計上した。 国際線のEBITDA欠損▲A$450mが足を引っ張った。 世界経済の低迷、燃油費高騰、中東航空会社との競争激化、労使交渉の緊張などがQFの業績悪化の原因だ。 それに引き換え他社は好決算を計上している。 Virgin Australiaは、+A$22.8mの利益を計上した。 昨年の▲A$67.8mの損失から利益計上に見事に転換した。 豪大手旅行会社のFlight Centreは、過去最大の増益を達成した。 来年度に利益倍増予想を発表したNZ航空の株価は +12%上昇した。 QFにとって都合に悪いことには、Virgin Australiaは、来年国内線供給を +9%拡大する。 これは、QFにとって現在でも利益を計上しているシェア65%の国内線の競争が激化することを意味している。
(wsj.com, 8/30/2012)
(7)カンタスがエミレーツと提携
Ø QFが、世界最大の国際線旅客を輸送しているEmirates航空と提携した。 この提携は、運賃共同設定やFFPプログラムの相互承認などを含むコードシェア協定以上の10年間の協定だ。
Ø QFは、欧州線の経由地をSINからDXBに移動させる。 現在QFの欧州地点5地点が、Emiratesとの提携によりDXB経由の33地点となる。 そして20年間続いたBAとのコードシェア協定を破棄することとなった。 SINからDXBへのシフトで余剰となるSIN Changi空港発着枠は、アジア路線拡大に使用することになる。
Ø 今までのライバルであったEmiratesとの提携は、QFの国際線戦略の180°の戦略変更を意味している。
Ø アナリストは、この提携はQFに年間A$90m税前利益の収支改善をもたらすと言っている。 QF CEO Alan Joyceの2014年までの国際線損益分岐達成計画を実現するドライバーとなり得ると言っている。
Ø Emiratesは、従来から国際提携を回避する戦略をとっていたが、ライバル中東航空会社のEtihad航空の矢継ぎ早の国際提携(例えばVirgin AustraliaやAir Berlinとの提携)に対抗するためにQFとの提携を選択した。
Ø しかし、Emiratesとの提携がQFの収支改善の特効薬になる訳ではない。 国内線の競争激化と燃油費の高騰の対応や 労使関係改善は、この提携とは無関係だ。
Ø QFとEmirateの提携は、今まで提携関係にあったBAやカンガルー路線が全旅客収入の25%以上になるSQにも大きな影響を与えるだろう。 また、この提携は、LHやDLが繰り返し批判しているEmiratesのドバイ政府からの不公平な政府補助の問題を再燃させることになるだろう。
(wsj.com, 9/06/2012)
(8)エティハド航空、バージンオーストラリア株10%に増加
Etihad航空が、9月2日、保有しているVirgin Australia株を10%に増加させたと発表した。 同社は、Virgin Australia以外にAir Berlin, Air Seychelles, Aer Lingusの各社の株式を保有している。 Etihadは、2011年に830万人の旅客を輸送し、67機のフリートで世界の86地点をカバーしている。 現在A380×10機を含む新造機100機を発注中である。(channelnewsasia.com, 9/02/2012)
(9)キングフィッシャー航空監査役、昨年度決算の損失過小計上指摘
Kingfisher航空の監査役が、3月31日に終了した2011年度決算の損失額▲232.8億ルピーが過小計上であると指摘した。 本来は、▲344.4億ルピーであると言っている。 同社はインド富豪のVijay Mallyaにより2005年5月に設立された航空会社であるが、設立以来一度も利益計上をしたことがない。 当初の毎日便400便が、現在は1/4の100便程度に規模縮小を余儀なくされている。 大きな負債と流動性の枯渇のために、何時でも運航停止に追いやられてもおかしくない状況だ。(wsj.com, 9/05/2012)
ホテル & リゾート
(1)ポーカーは、頭脳プレーなのか
NYCの連邦判事Jack Weinsteinが、ポーカーは より技術を要するゲームであると判定した。 この判定は、オンラインポーカーで一儲けしようと考えている企業のゲーム機器メーカーZynga、大手カジノCaesars Entertainment、インターネットポーカーPokerStarsを喜ばしている。 過去10年間、ポーカーが運不運に基づくゲームなのか、それとも技術を要するゲームなのかが争われてきた。 一般的には、ポーカーは、運不運に基づくゲームと見なされて賭博法の対象にされて来た。 H2 Gambling Capitalによると、米国の2010年のインターネット ポーカーの賭け金収入は $20.2bnに達した。 これは、法的に疑問があるインターネット企業により運営された。 昨年、当局はこれらの違法賭博を取り締まった。 3つの大手ポーカーサイトを閉鎖させ、ポーカー企業と賭け金決済企業の幹部11人を告発した。 その結果、2012年の収入は、 $3.5bnに激減すると予測されている。 Weinstein判事の判定が、俄にインターネットのポーカー企業を合法化させることには繋がらない。 その他の連邦法や州法が、依然として違法としているからだ。 しかしこの判定は、オンラインポーカーの合法化の問題に一石を投じた効果は存在する。 連邦政府は、昨年、Wire Actの適用によるスポーツ賭博サイト以外のオンライン賭場企業摘発を実施しないこととした。 ネバダ州は、今年、州内に限ったオンラインポーカーのライセンスの発給を開始した。 しかし、他の州や連邦政府は、業界が期待しているよりは、よりゆっくりとこの問題に取り組んでいる。 多くの州は、Illegal Gambling Business Actなどの法律を盾に明確にあるいは暗示的にオンラインのポーカー賭博を依然として規制している。(wsj.com, 8/23/2012)
(2)ホテルの顧客誘致の奇策
ホテルは、顧客誘致のために努力している。 以下が最新の10誘致策だ。
① Amelia Island, FloridaのRitz Cartonでは、海賊や女王様の衣装をまとったホテルの従業員やオウムが、子供の就寝時に本を読んで聞かせるサービスを提供している。
② Playa del Camen, MexicoのViceroy Riviera Mayaでは、ゲストに石鹸の選択をさせている。
③ 香港のPeninsula Hotelでは、飛行場のCIQのエスコートとロールスロイスの送迎サービスを提供している。
④ NYCのBenjaminでは、枕の選択サービスを提供している。
⑤ インドGurgaon Oberoiでは、24時間のバトラーサービスを提供している。
⑥ Mexico CityのWでは、バスルームにハンモックを吊るしている。
⑦ スペインBarcelonaでは、24時間ブユッフェサービスにより、何時でも食事がとれるようにしている。
⑧ カルフォルニアPalm SpringsのOrbit Innでは、古い蓄音機を用意してエルビスやフランクシナトラの名盤を聞くことができる。
⑨ Main Beach, FloridaのHotel St. Augustineでは、広いシャワー室に複数のマッサージジェット噴射とスチームを用意している。
⑩ ドミニカ共和国Zoetry Agua Punta Canaでは、ヘリコプターによる送迎を行っている。
(heraldsun.com, 8/28/2012)
(3)プライスルオーターハウス、米ホテルの力強い業績向上を予想
PricewaterhouseCoopers(PwC)が、今年の米ホテルのRevPARが、前年同期比 +7.2%(Room rate +4.6%、Occupancy +1.5%ポイント)増加すると予測している。 これはPwCの6月の予測 +6.5%を上回る。 PwCは、ハイエンドのホテルの業績が継続して良いと言っている。 2013年のRevPARは+5.6%増加し、オキュパンシーは61.9%になると予測している。 米国のホテルのオキュパンシーは過去4年間連続して上昇している。 ピークは2007年の62.8%。(travelweekly.com, 8/28/2012)
(4)パディーパワー、上半期税前利益 +21%増益
アイルランドのブックメーカーPaddy Powerの上半期税前利益が、前年同期比 +21%増益して €68.7mとなった。 ネット収入は、+29%増収の €311.2mであった。 オンライン賭博の営業利益は +7%増益の €48.5m、リテールの営業利益は +70%近く増益して €16.6mとなった。 リテール部門は、英国とアイルランドで400の店舗を保有している。 Paddy Powerは、ライバルのWilliam HillとLadbrokesよりもオンライン賭博の依存率が高い。(FT.com, 8/29/2012)
(5)888、ポーカーのおかげで増益
888の2012年上半期の税前利益が $18.4mと昨年同期の損失▲$22.1mから黒字に転換した。 配当1株当り2.5セントを支払う。 ポーカー収入が +72%増収の $41.3mであった。 カジノ収入は +20%増収の $83.1m、ビンゴ収入は▲2%減の $26.9mであった。 全収入は、+21%増の $186.4mであった。(FT.com, 8/29/2012)
(6)アコー、上半期アンダーライング利益 +29%増益
Accor(仏)の上半期アンダーライング利益が、+29%増益の €80mとなった。 米バジェットチェーンMotel 6の売却に伴う減損会計▲€612mの計上で、ネット損失▲€532mを計上した。 同店舗比較ベースの上半期収入は、+3.6%増収の €2.7bnであった。 2012年通期のEBIT見通しは、€510〜€530と予想している。 Accorの客室の63%は欧州で展開されている。 イタリア、スペイン、ポルトガルのユーロ危機により 欧州の業績悪化が懸念されている。 Accorは、上半期で141ホテル20,700室を新たに開業したが、アジア太平洋地域がこの新規開業の57%を構成する。 これからもAPACの展開を拡大する計画だ。(FT.com, 8/29/2012)
(7)マカオSJM、HK$480m投資
マカオ賭博大君Stanley Hoが支配するSJM Holdingsが、7年前に建設したMacau Fisherman's Wharf(写真)を再建するMacau Legend Development(総工費 $650m)にHK$480m($62m)を投資することになった。 この133,300平米の土地開発プロジェクトを担当する企業の18%は、Stanley Hoの第3婦人Ina Chanが保有している。 SJMの社長は、Stanley Hoの第4婦人のAngela Leongである。
SJMは、マカオ賭博市場($34bn)の27%シェアを保有しているが、Sands China, Wynn Macau, Galaxy Entertainmentなどの新規参入者たちに継続してシェアを奪われている。
SJM株は、Stanley Hoの死後に予想される遺族間の財産争奪のために、マカオのカジノ企業中で最も低い株価収益率となっている。 今回のSJMの投資(第4婦人から第3婦人が関係する企業への投資)は、HOファミリーの仲の良さをことさらに強調する意味合いも含まれているようだ。(FT.com, 8/30/2012)
(8)プレイテック、オンライン賭博好調
Paddy PowerやGalaなどの顧客にオンラインとランドベースのソフトウェア プラットフォームを開発しているPlaytech(英)が、Webサイトとモバイル販売の急増で 上半期の収入が €153.8mと前年同期比倍増となった。 EBITDA利益は +64%増益の €91.2mとなった。 Playtechは、William Hill Online株の29%を保有している。 この合弁企業の将来について、William Hillともめている。(FT.com, 8/30/2012)
(9)マーリン、アジアでレゴランド展開
ディズニーに次ぐテーマパーク最大手のMerlin Entertainment(英)が、マレーシア南ジョホール経済地域のイスカンダル開発区にアジアで最初のLegolandを9月15日にオープンする。 マレーシア政府は、この地区を投資・娯楽・教育の拠点とする国家プロジェクトを進めており、Legolandの誘致は同プロ ジェクトの一環である。 Merlinは、Legolandのフランチャイズオーナーとして、マネジメントフィーを受け取る他、この事業(総工費 $300m)の20%の買収権利のオプションを保有している。 Merlinは、SINの2つの複合カジノリゾートとマレーシアのジョホール経済地域を合わせた地域を 東南アジア版Orlandにすることを考えている。 また、日本にLegolandを建設する計画を交渉中だ。 なお、現在、お台場にレゴランド・ディスカバリー・センター東京の屋内施設を運営している。 そして、3つ目のLegolandのアジア展開を検討している。 Merlinの株式の大半は、プライベートエクイティー企業CVC Capital PartnersとBlackstoneによって所有されている。 2010年に £2bnの上場を試みたが、市場環境の悪化からこの計画を延期した。 昨年の業績では、同店舗ベース +7.2%増収、営業利益 £212mを計上し、ネット負債 £1.2bnを保有している。(FT.com, 9.06/2012)
編集後記
「GDSスライドプレゼンテーション」


(以上)